絶滅危惧車のトヨタ ヴォルツは、まさに日本とアメリカのハーフだった!
2018/06/04
若者の車離れを阻止するために生まれた
2000年初頭といえば、コンパクトカーブームが日本を席巻し、若者の車離れが騒がれた時期だった。危機感を感じていた自動車メーカーは、個性の打ち出しをさかんに訴えていたことが記憶に新しい。
そんななか、2002年に登場したのがトヨタ ヴォルツだ。
トヨタとGMが共同開発し、アメリカの合弁会社「NUMMI(New United Motor Manufacturing, Inc.,)によって生産された“輸入車”であった。
なお、アメリカではGMからはポンティアック ヴァイヴとして、北米トヨタからはマトリックスとして販売された。
大径ホイール、ちょっと張り出したフェンダー、スキッドプレートを模したバンパー下部のデザインなどで“ヤング”、“アクティブ”を演出。自称「SUV」ではあったが、さほどクロスカントリー性能には長けていなかったのも事実。
ハードウェアはカローラフィールダー、ランクス、WiLL VSなどと共用だったが、最低地上高はFF車で170mm、4WD車で180mmが確保されていた。そういう意味ではSUVルックのショートワゴン、と解釈できなくもない。
アメリカではデビューから好調な滑り出しを見せただけでなく、2代目も投入されるほどの支持を得た。ファミリーユースというよりも、ターゲットどおり、若者の移動の足として人気を博したようだ。
そこそこのボディサイズを確保しながら、フラットに倒せるリアシートなどでアクティブに使いこなせるようには仕上がっていた。
荷室のフロアはプラスチックで、ガンガン使い倒しても汚れは洗い落とせるような工夫がされていた。また、荷室床には任意でフックを固定できる「デッキフロアレール」なるものが配され、実際によく考えられていた。
インテリアではなぜか安っぽいプラスチックパーツを採用し、同時期のコンパクトカーの方が高そうな雰囲気があったのも事実。この辺は、アメリカ市場では気にされない部分だったのか、今でも謎だ。
2009年、GMが連邦破産法11条の適用を申請した際、NUMMIからの撤退を表明しヴォルツはおろか、ポンティアックの廃止も決まった。そういう意味では自動車史における大きなターニングポイントに生まれた、面白い車でもあった。
日本では販売店の統合を機に打ち切られたが、販売期間は1年8ヵ月と振るわなかった。
まぁ、それでも9000台強が登録されたようだが、中古車市場で見かけることはめったになくなってしまった。少しでも興味を持たれた方は、中古車物件をチェックしてみてほしい。
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