平日、奥さんが使うなら20CSがオススメだ

  • マツダビアンテ フロント|ちょい乗り試乗
  • マツダビアンテ Aピラー死角|ちょい乗り試乗
マツダの久々となる新型ミニバン・ビアンテが「Zoom-Zoom Tall」をコンセプトに、トヨタのヴォクシー/ノア、日産セレナ、ホンダステップワゴンのいる激戦区に参戦してきた。同社のプレマシーのシャーシを前後左右に拡張して、クラス最大の室内空間を誇る。
エンジンは2Lの直噴DOHCと2.3LのDOHCの2種類が用意され、価格はFF車で219万9000円~265万円と手頃な設定になっている。

エクステリアは斬新で躍動的なデザイン。試乗中、すれ違うビアンテの姿は、なかなか魅力的に思えた。このクラスの強力なライバル車に対して、デザインでの個性は十分に主張している。
ただ、緩やかに流れるAピラーが、運転中に対向車線を隠してしまう死角をもっているのが残念(上の写真右)。またボンネットのヒンジの収納のために、Aピラーが途中で切れているのも残念なところ(下の写真左)。

  • マツダビアンテ Aピラー根本|ちょい乗り試乗
  • マツダビアンテ 3列目シート|ちょい乗り試乗
  • マツダビアンテ 2列目シートベルト|ちょい乗り試乗
クラス最大の室内空間を誇っているが、3列目の乗り心地は、大人ではさして良くはない。
CMでアピールしているように、2列目シートを最大限に後ろへ下げたリビングモード時には3列目は使えず収納のみとなる。この時、2列目の乗員は3列目用のシートベルトを使用する(上の写真右)。
実は、このモードの時だけ、3列目シートは通常のロック位置よりさらに後ろのロック位置まで下げられる。これ、普段からこの位置でロックできれば、大人でものびのびできて居心地が良くなるのだが、残念ながら、こうするとリアウインドウの開閉時に頭が当たる可能性があるので、PL法(製造物責任法)によってできないらしい。

一方で、乗り心地や操縦性は、この手のトール系ミニバンの宿命でもある重心の高さゆえのロールが出ているものの、悪くない。ハンドルを切ってシュッと曲がっていく感じは、マツダらしいもので、ライバル車より好ましく思えた。
足回りは2.3Lの23Sが215/50R17でアルミ、2Lの20Sは205/60R16のアルミ、20CSは205/60R16で鉄ホイールを履く。まるでアルミに比べて鉄がバネとなり振動を吸収しているかのようで、乗り心地は20CSがもっとも心地良い。操縦性では16インチの20CSと20Sが良く、路面からの振動も少なくハンドルも軽い。普段、奥さんが運転するのなら、20CSと20Sがオススメ。

23Sの300ccのパワーのゆとりは確かに魅力的ではある。しかし17インチのホイールとちょっと幅の広くなったタイヤは、毎日女性が使うには少しスポーティすぎるし、ただでさえ車の先端の見えない車なのに、ハンドルも重め。もし23Sを夫婦で運転するのであれば、オプションのフロント・サイド・バックモニターをオススメしたい。ただし追加で34万1250円必要になってしまうのだが。
<自動車評論家・奈落院煩悩寺和尚>