ミニ クラブマン▲軽自動車からスーパーカーまでジャンルを問わず大好物だと公言する演出家のテリー伊藤さんが、輸入中古車ショップをめぐり気になる車について語りつくすカーセンサーエッジの人気企画「実車見聞録」。誌面では語りつくせなかった濃い話をお届けします!

日本人のミニ好きは、ハワイを愛しているのと一緒!?

~語り:テリー伊藤~

日本自動車輸入組合の統計を見ると、日本で最も売れている輸入車ブランドはメルセデス・ベンツですが、モデル別だと2020年に最も売れたのは、2万195台のBMW ミニでした。

クラシックミニは、日本人が世界で一番好きだったように、新しいミニも多くの日本人が愛している。

きっと日本人がハワイを大好きなように、ミニとの波長が合うのでしょうね。

ミニ クラブマン▲ボディラインが全く違うのに、どれを見てもしっかり“ミニ”に見える。これがBMW ミニの凄さです

BMW ミニが日本に導入されたのは2002年。初めてミニを見たとき、僕はとても嬉しい気分になりました。

だって当時は、イギリスだけじゃミニを作り続けることができない状況に陥っていたのですから。

BMWのような巨大企業の力を借りないと、ブランドを維持できなかった。それはアストンマーティンも、ベントレーも同じです。

ミニ クラブマン
ミニ クラブマン▲ミニの中でも人気が高いディーゼルエンジン

BMW ミニだと、僕は初代のミニワンが大好きです。理由はとにかく安かったから。5MTは税抜きで200万円を切っていたのですからね。

その後ミニはだんだんと豪華になり、ボディサイズも拡大していきました。これはマーケットを広げるうえで必要なことだったのでしょう。

ミニ クラブマン▲室内高は決して高くありませんが、広い空間が与えられた荷室。容量は360Lあります

「ミニがミニじゃなくなった」と嘆く人もいますが、僕は受け入れるべきことだと思っています。

だって、お客さんが求めていたことだからこそ、ミニの変化が世界中で支持されているのですから。

ミニ クラブマン▲一目見て「ミニだ!」とわかる理由のひとつがライトデザイン。六角形のグリルもミニのアイデンティティです

ミニは、様々なボディタイプを登場させました。単にいろいろなタイプを出すだけでなく、どれを見てもしっかり“ミニ”に見えるところがすごい。デザイナー、そして戦略を考えた人たちは天才ですよ。

スバル 360やホンダ N360は、その気になれば今のミニと同じように、形を変えて長く愛されるモデルになれたかもしれません。でも、現代にうまくマッチさせることができなかったのは残念です。

ミニ クラブマン▲BMWはミニというブランド、そしてイギリスという国へのリスペクトがすごいよね

現行ミニのラインナップの中で、僕はクラブマンが好みです。

観音開きのバックドアがオシャレじゃないですか! それぞれのドアに付いたワイパーが正確に動作するあたりからは、BMWの緻密さを感じます。

テリー伊藤ならこう乗る!

ミニ クラブマン▲クラシックミニのウイングエンブレムをモチーフにしたBMWミニのエンブレム

これは僕の予想ですが、モデルチェンジごとに大きくなっていったゴルフやポロに対して、フォルクスワーゲンがルポやup!を作ったように、ミニもいずれ本当に小さなモデルを送り出すのではないかと思っています。

だんだんと大きくなる車に合わせて、ヨーロッパの道が広くなっているわけではありませんからね。

そして今、ヨーロッパはEV化の流れが加速している。BMWも様々な戦略を考えているのではないでしょうか。

ミニ クラブマン
ミニ クラブマン▲インパネ下のトグルスイッチや、センターモチーフをモチーフにしたディスプレイなど、ミニのインテリアには遊び心が溢れています

どうすればミニをオシャレに乗りこなせるか。そんなこと、僕がとやかく言う問題ではありません。

だって、ミニのオーナーはみんな幸せそうにしているのだから。

もうね、「初代のミニワンが好きだった」と言っている時点で、彼らにアドバイスする資格はないと思います。

自分のライフスタイルを確立して楽しそうに暮らしている人に向かって、毎日奥さんに怒られている僕が意見を言うなんておこがましいですよ。

「お前にだけは言われたくないよ」と一蹴されるでしょう。

ミニ クラブマン▲シートは着座位置が低くスポーティな雰囲気に

二子玉川にある高島屋の駐車場などでミニオーナーを見かけると、あまりにも幸せそうで、思わず僕が目を背けてしまいます。どこかでうらやましいと感じる部分があるのでしょう。

そういえば幸せそうなオーナーは、クラブマンの比率がとても高いかもしれません。

ミニ クラブマン▲幸せなミニオーナーに向かって、僕みたいなだらしない大人が何かアドバイスするなんてできるわけありません!

これは僕の印象ですが、世界中にファンがいるアメリカの、あのテーマパークを最も好きなのは日本人だと思います。おそらく本場であるアメリカ人の何倍も愛しているでしょう。そして、日本人はスターバックスコーヒーも大好きですよね。

きっと日本人は海外の文化を上手に消化して、自分たちの価値観に溶け込ませるのが得意なのだと思います。ミニもそれと同じ雰囲気を感じます。きっとこれからも、長く日本で愛されていくでしょう。

ミニ クラブマン(2代目)

ハッチバックをベースにホイールベースと全長を拡大し、後席と荷室を広くしたミニのワゴンモデルがクラブマン。2007年10月に登場した初代は後席へのアクセス用に運転席後ろに観音開きのバックドアを用意したが、2015年11月にフルモデルチェンジした現行型は完全な4ドアに。そのうえで荷室のドアを左右に開く観音タイプに。初代よりも後席が広くなり、快適性が高められた。2019年のマイナーチェンジで内外装のデザインを変更。リアコンビライトはイギリスの国旗であるユニオンジャックをモチーフしたデザインが採用された。

文/高橋満(BRIDGE MAN) 写真/柳田由人

テリー伊藤

演出家

テリー伊藤

1949年12月27日生まれ。東京都中央区築地出身。これまで数々のテレビ番組やCMの演出を手掛ける。現在『爆報!THE フライデー』(TBS系/毎週金曜19:00~)、『サンデー・ジャポン』(TBS系/毎週日曜9:54~)に出演中。新著『老後論~この期に及んでまだ幸せになりたいか?』(竹書房)が発売中。You Tubeチャンネル『テリー伊藤のお笑いバックドロップ』を開設!