フィアット パンダ▲軽自動車からスーパーカーまでジャンルを問わず大好物だと公言する演出家のテリー伊藤さんが、輸入中古車ショップをめぐり気になる車について語りつくすカーセンサーエッジの人気企画「実車見聞録」。誌面では語りつくせなかった濃い話をお届けします!

パンダをデザインしたジウジアーロはすごい!

~語り:テリー伊藤~

これまでカーセンサーで数え切れないほどの中古車販売店に足を運んでいますが、フィアット パンダを取り上げるのは初めてです。これだけ人気があるのに視界に入っていなかったのが不思議ですね。

最近では中古車相場も上昇傾向にあり、この1年だけ見ても10万円以上値上がりしています。

10年くらい前は50万円以下の中古車が簡単に見つかりましたが、パンダはヤングタイマーブームのけん引役になり、今はMTだと予算は100万円くらい見ておかないと買うのが難しくなりました。今後はさらに買いづらくなるかもしれないですね。

フィアット パンダ▲ファッションへの関心が高い層などから人気のパンダ

パンダが世に出たとき、「やっぱりジウジアーロはすごいな」と感じたのをよく覚えています。

実車を初めて見たときはこれぞ現代のビートルだと感じ、「ジウジアーロは天才だ!」とすら思いました

僕らはゴルフや117クーペを通して、ジウジアーロという名前に憧れた世代。だから当然パンダにも注目しました。

シンプルで実用的なのに上品。ハンモックっぽいリアシートも好きでした。しかも走りはフィアット 500より格段にいいのですから。

パンダのデザインで僕が好きだったのはダッシュボードにある灰皿。これ、左右に自由に動かすことができるのです。すごいアイデアですよ!

フィアット パンダ
フィアット パンダ▲初代パンダの中古車は流通量が50台弱。4WDは10台ほど流通しています

今回見つけたパンダは、MT+4WDという組み合わせです。

前オーナーがレーシーな雰囲気に仕上げていて、なかなかカッコいいですよ。

フィアット パンダ
フィアット パンダ▲チェック柄のシートがいい雰囲気。状態も良好です

シートの日焼けも少なく、前後でほとんど色が変わらない。しかも縫い目のほつれも目立たない。前オーナーが大切に乗っていたのが伝わってきます。

ただ、僕が好きな灰皿はなくなっていました。きっと助手席に座る人の足にあたったりして邪魔だったのでしょう。

灰皿なら、おそらく簡単にパーツが見つかるはずですから、次に乗る人はぜひ探してみてほしいですね。今だとタバコを吸う人は少数派ですが、小銭入れとしても重宝するはずです!

フィアット パンダ▲インテリアの状態がいい車は、前オーナーが大切に乗っていたことが伝わってきますね!

テリー伊藤ならこう乗る!

もし僕がパンダに乗るなら、2WDのMTを選びます。この時代の4WDはやや走りづらいイメージがあるのでね。

ただ、4WDはパートタイム式なので、街中ではFFで走り、雪山などに行くときは4WDにするという使い方もできそうです。

フィアット パンダ▲ジーンズのような内張りがおしゃれ! インパネまわりはスポーティな雰囲気です

残念ですが、僕はもうパンダを買うことはないでしょう。古いイタリア車ですからトラブルが心配ですからね。

最近、僕は「夜中に1人で軽井沢まで快適に出かけられるか」という基準で買う車を決めています。

僕の周りにも何人かパンダに乗ったことがある人がいますが、話を聞いていると夜中に1人でドライブするのは、ちょっと勇気が必要かもしれません。僕は都内をチョロチョロ走って楽しみます。

だからこそ、何も気にせず「かわいい!」と飛びつける若者がうらやましい

とくに機械のことを何もわからないのにパンダを乗りこなしている女性を見ると、大したものだなあと感心します。

フィアット パンダ▲エンジンは一発で始動。エンジンルーム内にはスペアタイヤが収まります

パンダでヤングタイマーデビューする人は、気軽に調子を見てもらえる工場と仲良くなっておくといいですよ。

今回取材したお店には大きな整備工場が併設されていました。メカニックさんはみんなキビキビと動いていて、見ていてとても気持ちがいい。こういうお店なら安心です。

そしてパンダに乗るなら、大らかな気持ちで接することが大切

ボディやホイールが少しくらい錆びていても気にしない! 僕が住んでいる鎌倉では、潮風で錆びてしまったパンダをよく見かけます。もしかしたら都心だとみすぼらしく感じるかもしれませんが、海のそばだと不思議と様になっているんですよ。

フィアット パンダ▲少しくらいボロい方が様になる。枯れ感を楽しみましょう!

パンダオーナーになるなら、ダメージジーンズを履いている感覚で、錆や汚れも味ととらえて気軽に乗りこなしてください!!

そうすれば長くパンダとの暮らしを楽しめるはず。パンダは枯れていくのも含めて楽しめる、不朽の名車なのですから。

フィアット パンダ

ジョルジェット・ジウジアーロが立ち上げたイタルデザインが手がけた傑作。1970年代のオイルショックにより、世界の自動車メーカーが燃費のいい小型車の開発に着手。パンダもその流れの中で1980年に誕生した。ガラスを含め、直線と平面で構成されるデザインが特徴で、Aセグメントに属する小型車ながら室内はかなり広い。駆動方式はFFと4×4と呼ばれる4WDをラインナップ。日本には1982年に4気筒902ccエンジン搭載モデルが導入された。1991年にはCVT仕様のセレクタが登場。初代パンダは1999年まで製造された。

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フィアット パンダ(初代)×全国
文/高橋満(BRIDGE MAN) 写真/柳田由人

テリー伊藤

演出家

テリー伊藤

1949年12月27日生まれ。東京都中央区築地出身。これまで数々のテレビ番組やCMの演出を手掛ける。現在『爆報!THE フライデー』(TBS系/毎週金曜19:00~)、『サンデー・ジャポン』(TBS系/毎週日曜9:54~)に出演中。新著『老後論~この期に及んでまだ幸せになりたいか?』(竹書房)が発売中。You Tubeチャンネル『テリー伊藤のお笑いバックドロップ』を開設!