アルファ ロメオ アルファスパイダー▲軽自動車からスーパーカーまでジャンルを問わず大好物だと公言する演出家のテリー伊藤さんが、輸入中古車ショップをめぐり気になる車について語りつくすカーセンサーエッジの人気企画「実車見聞録」。誌面では語りつくせなかった濃い話をお届けします!

町屋造りや合掌造りに似合う繊細な車は中古車でしか手に入らない

今回は、「エーゼット オート横浜」で出合ったアルファ ロメオ アルファスパイダーについて、テリー伊藤さんに語りつくしてもらいました。

~語り:テリー伊藤~

アルファ ロメオ アルファスパイダーは、1966年から製造されている歴史あるモデルです。初代は1993年まで日本に輸入され、シリーズ1からシリーズ4まで、大きく4つの時代に分類されます。

アルファ ロメオ アルファスパイダー▲25年以上、ほとんど雰囲気を変えずに製造され続けた初代スパイダー

僕は長く“スパイダー=ボートテールのシリーズ1”と考えていました。 なぜなら1967年に公開された映画『卒業』で、ダスティン・ホフマンがボートテールの赤いスパイダーに乗っている光景が脳裏に焼き付いているから。

この映画に憧れ、僕は若い時にボートテールの真っ赤なスパイダーを手に入れたくらいです。

そんなシリーズ1のスパイダーもデビューから50年以上経過したことで中古車相場は高くなり、気軽に乗れる車ではなくなってしまいました。

一方で今回出合った初代最終型のスパイダーは、車両本体価格が約140万円。これならまだ気軽に乗ることができます。

ボートテールとは一味違う、リアをストンと落としたデザインも今見ると逆に新鮮です。

アルファ ロメオ アルファスパイダー▲ストンと落としたリアデザインで、現代的な雰囲気をまとうことに

しかも、このスパイダーのトランスミッションはオートマチック。ますます気軽に乗ることができます。今の僕にとって理想の1台ですよ!

アルファ ロメオ アルファスパイダー
アルファ ロメオ アルファスパイダー▲最終型に設定された3ATにより、多くの人が選びやすくなりました

ご承知のように現在はあらゆるブランドが大きなSUVを作っています。

コンパクトSUVといいながら、全幅が1800mm近くあるモデルもざらです。

もちろんSUVは世界的に人気がありますが、セダンなども含めて大柄な車が主流になったのは、人口の多い中国市場をにらんで車を作っているから。

残念ながら、これが国力というものです。

今後も世界のメーカーでは、国土が広い地域に合わせた車作りが続くはず。

石畳の街並み、日本の町屋造りや合掌造りに似合うアルファスパイダーのような繊細な車はなかなか出てこないでしょう。

だから、僕は今日も中古車探しにいそしんでいます!

アルファ ロメオ アルファスパイダー▲日本の古い町にも似合う繊細な車が好きなんです

テリー伊藤ならこう乗る!

アルファロメオ、それもこの時代のスパイダーは休日や夜のイメージがありますが、販売店でこの車と対面した瞬間、僕は “場違い”なところに乗っていって周りのリアクションを楽しみたいと思いました

アルファ ロメオ アルファスパイダー▲人々が憂鬱な顔をしている月曜日のビジネス街に、のんきな顔のこの車で現れたら最高だと思いませんか?

現在はリモートワークが推奨されていますが、例えば朝の通勤時間の憂鬱なビジネス街にこの車で乗りつけたら、歩いているビジネスマンはどんな顔をするでしょう。

月曜朝の渋滞に幌を開けた状態ではまっている人を見ると、ものすごくたくましいなと感じます。日本はまだまだ安心だってね。

あるいは、地方の寺院をめぐりながら御朱印集めをする。そんなドライブにも似合いそうです。

そして、オープンカーが似合う究極の場違いな場所は、雪道。ルーフに雪を載せたSUVやステーションワゴンと並んで幌を開けたオープンカーが走っていたら、周りの車は度肝を抜かれるはず。

様々な楽しみ方が思い浮かんでくるアルファスパイダーに、140万円で乗れるというのは決して高くないと思います。

ただ、他のモデルも含めてオープンカーが日本で車選びの主流になることはないでしょう。

アルファ ロメオ アルファスパイダー
アルファ ロメオ アルファスパイダー▲搭載される直4エンジンの排気量は2Lです
アルファ ロメオ アルファスパイダー▲真っ赤なボディに明るいインテリアが似合います!
アルファ ロメオ アルファスパイダー▲クラシカルな雰囲気のメーターがオシャレです!

今から20年ほど前、日本では開放的な気分でお茶を楽しめるオープンカフェが流行りましたよね。今は空前のアウトドアブームで、キャンプ場には多くの人が押し寄せます。

それでも開放的な気分でドライブできるオープンカーは流行らない。それよりもキャンピングカーに目を向けるのが日本人です。

私ならこの真っ赤なアルファスパイダーでキャンプを楽しんじゃいます

オープンカーだと荷物が積めない? そんなこと気になりませんよ。今のキャンプ場はレンタルも充実しているから、現地で借りればいいんです。

それよりも、自然豊かなキャンプ場にこの真っ赤なスパイダーが止まっている光景を楽しんだ方が何倍も豊かな気分になれます。今の子供たちには、そんな感性をもった大人になってほしいですね。

アルファ ロメオ アルファスパイダー▲街中をのんびり走っても楽しめる。自然の中を走ったら絶対に気持ちいいですよ!

アルファ ロメオ アルファスパイダー(初代)

1966年に登場したアルファ ロメオの2シーターオープンモデル。幾度かのマイナーチェンジを受けながら、1993年まで27年間にわたり製造された。リアのテール部分の形状により、初期のものをボートテール、2期目のものをカムテールと呼ぶこともある。取材車両は1990年にマイナーチェンジされた最終モデルで、パワステやエアバッグが装備されるなど、現代的な機能が搭載されるとともに、3ATも選択できるように。搭載エンジンは2L直4DOHCで、標準グレードと上級グレードのヴェローチェが存在する。

▼検索条件

アルファ ロメオ アルファスパイダー(初代)×全国
文/高橋満(BRIDGE MAN) 写真/柳田由人

テリー伊藤

演出家

テリー伊藤

1949年12月27日生まれ。東京都中央区築地出身。これまで数々のテレビ番組やCMの演出を手掛ける。現在『爆報!THE フライデー』(TBS系/毎週金曜19:00~)、『サンデー・ジャポン』(TBS系/毎週日曜9:54~)に出演中。単行本『オレとテレビと片腕少女』(角川書店)が発売中。現在は多忙な仕事の合間に慶應義塾大学院で人間心理を学んでいる。そんなテリーさんがYou Tubeチャンネル『テリー伊藤のお笑いバックドロップ』を開設したので、要チェック!