東京モーターショー 日産EV ▲東京モーターショー2019に出品されたスタディモデル、アリアは、その完成度の高さからほぼ市販版に近い姿だったのではと思われる。フロントマスクを左右に貫くブレード状のガーニッシュは、日産EVの特徴として今後、幅広く使われていく模様だ

前後ツインモーターを採用

他社に先がけて、国内でピュアEVに注力してきた日産。リーフに続く電動登録車として、SUVの開発を進めている。前後別々に駆動するツインモーターで、きめ細かい制御を実現し、エンジン車には真似のできない挙動がもたらされるだろう。

電気自動車(以下、EV)の将来を巡っては、議論百出だ。フォルクスワーゲンが、2030年に世界販売の4割近く(約400万台)をEVにすると宣言している一方で、トヨタは100万台程度との見通しを示すなど、温度差がある。

こうした中、EVのパイオニアを自認する日産が、東京モーターショー2019で、アリアコンセプトを公開した。同車はクロスオーバーSUVのEVで、「近い将来、皆様に実際に運転していただける車だ」とプレゼンしていた。

アリアコンセプトには、新しいEV専用プラットフォームが採用されている他、前後にモーターを配置した、ツインモーター四輪駆動システムが搭載されている。

前後のモータートルクやステアリング、ブレーキなどを統合制御することで、これまでにない安定感と走行性能を実現しているという。
 

▲前後それぞれのモーターを制御することで、揺れを抑えたり、爽快なコーナリングを実現するなど、さまざまな可能性が導き出される公算だ▲前後それぞれのモーターを制御することで、揺れを抑えたり、爽快なコーナリングを実現するなど、様々な可能性が導き出される公算だ

洗練される乗り味

新世代プラットフォームの統合制御だが、例えば姿勢変化の抑制では、減速時には、フロントに加えリアのモーターも回生させることで、車体が前のめりになることを抑えるようになるという。

また、加速時や段差を乗り越える際にも、モーターを最適にコントロールすることで、前後方向に揺れを抑えられる。

前後に加え、左右も独立して駆動力を制御でき、旋回力や駆動力、限界を超えた際の復元力なども、内燃機関ベースの車両よりもはるかに高められる。

EV特有の静粛性も加わり、カタログなどでよくうたわれる、「異次元の走り」が本当に実現されそうだ。

EVの静粛性やトルクフルな走り、ワンペダルの操作性は少しずつ認知されてはきている。

それでもEVに乗ったことのない人を中心に、「航続距離が短い」、「充電時間が長い」といったネガティブなイメージが根強いことも確かだ。

内燃機関の車両にマネのできない走りの良さをPRすることが、じつはEV普及の近道なのかもしれない。

なお、アリアの市販版は、早ければ2020年末にも公開され、21年に発売されるだろう。

日産 アリアコンセプト▲アリアコンセプトは、内装も作り込まれていた。インパネとドアトリムがシームレスにつながっていて、包まれ感を強調。12.3インチの大型ディスプレイが備わり、センタークラスターには、EVシステムを起動するスタートボタンと、空調関連のスイッチが配置されていた

【諸元・スペック】
■予想発表時期:2021年
■全長×全幅×全高:4550×1815×1640(mm)
■搭載エンジン:電気モーター×2基

※2019年12月25日現在における新型車の発表についての予測記事です。発表を保証するものではありません

text/マガジンX編集部
photo/マガジンX編集部、日産自動車