新型車ではかなえられない“充実の時間”をつくり出すパサートワゴン
2019/10/14
ベース車の選び方で購入後の維持費は大きく変わる
スズキ ジムニー、スバル レガシィツーリングワゴンと、アウトドアでも活躍するモデルを乗り継いできた原田大輔さんは、ある悩みを抱えていた。
レガシィの買い替えを考え始めたが、乗りたいと思える車が思い浮かばない。
最近の車は流線型が強調されたり、イカツイ雰囲気が全面に出すぎていてカッコイイと思えなくなっていたからだ。
「せっかく車を買うなら“生活が充実しているという雰囲気”を味わいたいし、周りの人たちからも“あの車乗って楽しそうだな”と思ってもらいたいじゃないですか」
そんな状態から、原田さんはごく自然に少し古めの車種に目をやるようになった。
でもそういった車は、税金面や修理費など、何かと維持費がかかりそうだと踏ん切りがつかなかったという。
そんなとき、友人からInstagramを見せられる。そこにあったのは“チープアップ”というコンセプトでカスタムされた、1990~2000年代の欧州車だった。
「カスタムといっても、パッと見はどこをいじっているかわからない。でもノーマルとは明らかに違うユルい雰囲気を醸し出している。一目見ておもしろいと感じました」
原田さんは、チープアップを手がけている大阪の販売店「ゼロカートラブル」を訪ねてみた。
そして、最近の車に興味をもてないこと、Instagramを見てチープアップを一発で気に入ったこと、でも維持費が心配で踏ん切りがつかないことを相談した。
「そこで『同じモデルでも、グレードによって機関系が異なるケースがある。丈夫さに定評があるものを選べば維持費は抑えられるよ」と背中を押してもらえたんです」
普通に車選びをしているとわからないマニアックなアドバイスを聞いて、この人なら安心して相談できると思えたという。
妻に恐る恐る話すと、一言「むっちゃ似合ってんで」
そうして選んだのは、フォルクスワーゲン パサートワゴンV5。
原田さんの趣味は、ウインドサーフィンとキャンプ。この車にボードを積んだらカッコいいかな。テントには似合うかな。そんなことを考えながら決めた1台だ。
「V5だけは、タイミングベルトではなくチェーンだから楽だし、ミッションもタフなので心配ない」というアドバイスも決め手になった。
実は原田さん、チープアップしたパサートを買うと決めたとき、奥さんからは反対されることを覚悟していた。
恐る恐る話すと、あっさりOKが。
「一瞬だけ『えっ?』という感じでしたが、カスタムしてあっても新車より安いこと、維持費もそんなにかからず乗れそうなことを話したら、だったら安心と言ってもらえました。納車されたとき『むっちゃ似合ってんで』と言ってもらえたのは嬉しかったですね」
手に入れた充実した時間
原田さんに取材をしたのはまだ納車されて間もない頃で、趣味を楽しむのはこれからだという話だった。
でも、高速道路を走っているとたまに出合うシルバーのタンクローリーに映る自分の車を見ると、気分が良くなるという。
「僕はバイクにも乗っていて、バイクだと自分でこんなカスタムにしてみようとイメージできるのですが、車は大きいから全体のイメージがつきづらい。だからお店がパッケージで提案してくれなかったらカスタムを楽しむことはなかったと思います」
あえてチープさをまとわせたことでレトロな雰囲気も醸し出しているが、クラシックカーではないので実用性も兼ね備える。
そんなちょうどいい具合のパサートに、原田さんは大満足だ。
「人生は一度きり。好きな車に乗って暮らしを豊かにした方がええんちゃうかな」
手に入れたのは車ではなく、充実した時間だったように思えた。
現在発売中のカーセンサー11月号では、原田さんのように、“個性が出せてかつフツーに乗れる車”を特集している。
自分の趣向に合った車を手に入れたオーナーや、人とかぶらない車を製作・販売するお店も多数掲載。
あなたにピッタリはまる“個性車”を、ぜひ誌面でもチェックしてみてほしい。
インタビュアー
高橋 満(たかはしみつる)
求人誌編集部、カーセンサー編集部を経てエディター/ライターとして1999年に独立。独立後は自動車の他、 音楽、アウトドアなどをテーマに執筆。得意としているのは人物インタビュー。著名人から一般の方まで、 心の中に深く潜り込んでその人自身も気づいていなかった本音を引き出すことを心がけている。 愛車はフィアット500C by DIESEL
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