ドリキン・土屋圭市に突撃インタビュー!「そもそもスポーツカーってなんですかね?」
2019/08/25
走りのプロに聞く「スポーツカーとは?」
価格がこなれた中古スポーツカーを狙う人たちは、実は多い。
スポーツカーは一般的な実用車に比べ流通量が少ない。その少ない物件数を多くの人たちが買い求める「早い者勝ちのバトル」が常に繰り広げられているのだ。
人気車であればあるほど、お得感がある物件であればあるほどその激しさは増す。
そこで、情報誌 カーセンサー・10月号(2019年8月20日発売号)の特集では「早く買わないと狙った物件が消えてしまう」率が高い順にランキングを作成し紹介している。ちなみに上位7位、いわゆる“神7”はこちら。
1位:ホンダ シビックタイプR(現行型)
2位:トヨタ スープラ(80型)
3位:スバル WRX(現行型)
4位:マツダ ロードスター(現行型)
5位:マツダ ロードスターRF(現行型)
6位:日産 スカイラインGT-R(R33型)
7位:日産 GT-R(現行型)
誌面ではトップ30位まで紹介しているので、興味がある方はぜひチェックしてほしい。
また、同特集内ではドリキン・土屋圭市さんのほか、有名な自動車雑誌、WEBメディアの編集長たちにもスポーツカーについてインタビューを実施。誌面には収まりきらなかった話も含め、Webでも紹介していく。
レーシングドライバー
土屋圭市
1956年生まれ。長野県出身。1977年にプロデビュー後、ル・マン24時間レースをはじめとする数々のトップカテゴリーでタイトルを獲得。その走りのスタイルからドリフト・キング“ドリキン”の称号を得る。現在はドリフト競技「ドリフトキングダム」を主宰する。
インタビュアー
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル XV。
まず編集部が集計したランキングを見ての印象はいかがですか?
シビック タイプRとかトヨタの80スープラとかの上位陣はまあ「順当かな」と思うけど、6位に入ったR33型日産 スカイラインGT-Rについては「マニアックだな! でも、わかってるな!」と思いましたね。
R33のGT-Rってさ、スカイラインGT-Rの中ではもっとも不人気で、それゆえ中古車相場も安いんだけど、乗ってみると実はいい車なんだよ。だからR33って中古車としては本当に狙い目だと思いますよ。
あと、同じ感じなのが13位に入ったマツダ ロードスターのNC(3代目のマツダ ロードスター)。これも今イチ人気薄で相場も安いんだけど、いい車なんだよ。「スポーツカーの本質」って感じがある。ぜひ中古で手に入れて、普通に毎日乗ってほしいね。
なるほど。ところで「スポーツカー」って、特に決まった定義はないじゃないですか? 言ったもん勝ちみたいな部分もありますし。そういった意味で、土屋さんにとって「スポーツカー」ってどんな車のことなんでしょうか?
そりゃもう単純に「スポーツできる車」は全部スポーツカーだよね。「スポーティな運転ができる車」って言った方がわかりやすいかな?
例えばスバルのステーションワゴンとかSUVなんて、雪道では一般的にスポーツカーと呼ばれてる車よりぜんぜん速いじゃない? 四輪ドリフトとかもすごいし、雪道に行くと妙に生き生きしてるしさ(笑)。
だから、ああいった車を「でもスポーツカーじゃない!」なんて否定する奴に対しては「じゃ、冬に勝負しましょうか?」って言えばいいんだよ。
つまり「ココからこっちがスポーツカーですよ」みたいな明確な線はないんだよね。雪道でフェラーリをぶち抜くスバルのワゴンは、その瞬間は十分スポーツカーなんですよ。
それでも「速さ」っていう要素はやっぱり必要じゃないですか?
や、それもあんまり関係ないよ。例えばKP61(2代目トヨタ スターレット。最後のFRスターレットだった)とかトヨタのAE86とか、実は決して速くないじゃん?
でもなんていうかな、心拍数が上がるじゃない? ドキドキするじゃない? 運転してて。そういった感じで「心拍数が上がる車」がスポーツカーなんじゃないかとオレは思うね。ボディタイプとかは関係なく。
その「心拍数が上がる」とか「ドキドキする」っていうのは、気持ちが盛り上がるというだけでなく「不安感がある」というのも含んでますか?
それは「両方」って感じかな。不安感はぜんぜんないんだけど、それでもとにかく運転していて盛り上がる、運転席に座るだけでアガるっていう車もあるし、フェラーリみたいに危険な車(笑)も、あれはあれで楽しいものだしね。
中古で買う世代のスポーツカーはさておき、最新世代のスポーツカーは電子制御満載じゃないですか? あれはあれで「運転が楽しい」と言えるものなんですかね?
まあ時代の流れだからね、電子制御だらけになるのは致し方ないことだと思うよ。現代の安全基準を満たしたうえで大企業が売るんだから、そうするしかないじゃん?
でも腕に覚えがある人は、そういった車も一度「電子制御OFF」で走ってみるといいんじゃないかな。そうすると、その車が本当にいい車なのか、それとも「なんだ、電子制御のおかげで走れてただけか……」っていうのがわかるし。
もしも電子制御OFFでもしっかり走れる車であったなら、それって「一粒で二度おいしいスポーツカー」だよね。
腕に覚えがある人はそれ(電子制御OFF)ができると思いますが、自分なんかはヘタなんで、そういった車だと電子制御ONで走るしかないと思うんですが……それってダメですかね?
ぜんぜんダメじゃないよ! それもまたアリなんだよ! ……スポーツカーってさ、極端に言えば走らなくたって楽しいわけじゃない? 車庫にあるのを眺めてるだけでも楽しいしさ、洗車して磨くのも楽しいし、のんびりと銀座とかを流すのもいい。
あるいは「……サスぺンション、替えてみようかな?」みたいにカスタムしてみるのも楽しいし、我々みたいにモータースポーツに本気で熱中してみるのもアリ。とにかく決まった「型」はないし、その人が「楽しい!」と思えるなら何だってOKなんだよ。
だから、さっきあなたが言った「電子制御をOFFにする自信はない」っていうのも、それはそれでぜんぜんアリなんだよね。オレはそれでいいと思ってます。本質的なポイントは「オーナーが楽しめてるかどうか?」だけなんですよ。
先ほど一例としてサスペンションを替える的な話が出ましたが、そういった「チューニング」をする人って最近は少なめだと思います。いわゆる車のチューニング文化って、今後はどうなっていくと見てますか?
うーん、わかんないけどさ、車が好きで、特にスポーティな車が好きだっていう人間の中にはいつの時代も1割ぐらい、必ず「バカ」がいるんだよね、オレみたいな(笑)。
で、そういったバカっていうのは時代がどう変わっても決して絶滅することはないんで、チューニング文化はこれからも残るんじゃないかな。規模は別として。
そもそもなんでチューニングをするんですか?
……なんでだろうね? 逆にオレが教えてほしいよ! だってさ、車ってチューニングすればするほど壊れるんだよ(笑)。
サーキットで勝つためにエンジンを1万回転まで回るようにしてさ、それでも足りないんで1万500回転、1万1000回転ってやってれば、そりゃそのうち壊れますよ(笑)。
それでもやっちゃう。……これはもうビョーキだよね。まあ楽しいビョーキなんだけどさ。
ビョーキかどうかはさておき(笑)、これからチューニングを楽しんでみたいと考えている人にオススメの車種は?
トヨタ 86/スバル BRZと、ホンダ S660はいいんじゃないかな? 86/BRZはそれを取り扱うチューニングショップの数が今すごい増えてて、そこがいろんなパーツを開発してる。
だからチューニングのしがいがあるし、中古車相場も今後はそんなに下がんないんじゃないかな? そういった意味でオススメできる選択肢だよね。
ホンダのS660も相場は下がらないかな? そもそもの数が少ないし、チューニングショップの数も増えてるから、これもやりがいがあるよね。
最初の頃、S660のチューンドカーって実はしょっちゅう壊れてたんだけど(笑)、今はどんどん知見がたまって、馬力を上げても壊れなくなってきてますよ。
なるほど……。最後の質問ですが、人間は「スポーツカー」に乗った方がいいんでしょうかね?
乗るも乗らないもその人の自由だけどさ、「乗ると、人生における楽しい引き出しがひとつ増えますよ」とは言いたいよね。知らないよりは知った方がいい、って感じかな。
お酒みたいなモノとも言えるよね。飲みたくない人が無理に飲む必要はないし、むしろ飲まない方が健康にはいいんだけど(笑)、でもお酒が好きな人は「こんなおいしいモノを知らない人生なんてもったいない!」って思うじゃない?
スポーツカーもそれと同じだね。無理強いするつもりはないけど、この楽しさを一度も体験しない人生はちょっともったいない。だから、もしも少しでも興味があるなら、一度は乗ってみた方がいいとオレは思うね。
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