最近目にする安全性能基準標語「サポカー」「サポカーS」って一体何?分かりやすくまとめてみました
2019/07/19
最近よく目にする「サポカー」「サポカーS」
自動車メーカーのWEBサイトや車のカタログ、TV CMを見ていると「サポカー」という言葉を目にします。みなさんはサポカーをご存じですか?
サポカーとは「セーフティ・サポートカー」の略で、先進安全技術を活用した一定の運転支援機能を備えた車のこと。
高齢運転者による事故が社会問題化する中で、被害軽減ブレーキをはじめとする先進安全装備の普及啓発を目的に、経済産業省や国土交通省などがとりまとめたものです。
トヨタ セーフティセンス、ニッサン インテリジェント モビリティ、ホンダ センシング, マツダ i-ACTIVSENSE……。
自動車メーカーは先進安全技術に独自の名称を付け、技術開発と普及に取り組んでいます。
サポカーは、各モデルの先進機能の搭載状況を横並びで比較できるというメリットがあります。
2017年から使われるようになったサポカーという言葉。
スタートから2年が経過し、中古車でも先進安全装備を搭載した車が手に入るようになっています。
自分たちが先進安全装備が付いた中古車を探しているという人はもちろん、自分の親に先進安全装備が搭載される中古車を勧めたいという人も多いはず。
そこで今回は、サポカーという標語がどのようなものかを見ていきましょう。
サポカー/サポカーS
サポカーには大きく2つの種類があります。
●サポカー:被害軽減ブレーキを搭載した車
●サポカーS:被害軽減ブレーキとペダル踏み間違い時加速抑制装置などを搭載した車
経済産業省ではサポカーを「すべての運転者に推奨する自動車」、サポカーSを「特に高齢運転者に推奨する自動車」としています。
これは死亡事故の人的要因を比較したときに、75歳以上の高齢運転者の「操作不適」による事故がかなり高くなっていることに起因します。
中でもブレーキペダルとアクセルペダルの踏み間違えは75歳以上の運転者が6.2%なのに対し、75歳未満の運転者では0.8%、その差は歴然です。
一方で、「自分は高齢者ではないし、踏み間違うことなんかない」と考えるのは危険。
インターネットリサーチを手がけるNEXERが2019年6月5日に発表した「運転に関するアンケート」の結果を見ると、実は若い人ほどブレーキとアクセルを踏み間違えた経験があるという結果に。
深刻な事故にこそつながっていないものの、ブレーキとアクセルの踏み間違いは誰でも起こす可能性のあるものと捉えた方がよさそうです。
サポカーSはさらに3分類
なお、被害軽減ブレーキとペダル踏み間違い時加速抑制装置などを搭載した車に付けられる「サポカーS」は、その内容によってさらに3つに分けられます。
●サポカーSベーシック:低速被害軽減ブレーキ(作動速度域が30km/h以下/対車両)、ペダル踏み間違い時加速抑制装置を搭載した車
●サポカーSベーシック+:被害軽減ブレーキ(対車両)、ペダル踏み間違い時加速抑制装置を搭載した車
●サポカーSワイド:被害軽減ブレーキ(対歩行者)、ペダル踏み間違い時加速抑制装置、車線逸脱警報、先進ライトを搭載した車
同じ「サポカーS」でも、ベーシック、ベーシック+、ワイドになるにつれ、多くの先進安全装備が搭載されているのが分かります。
ここで、それぞれどのような機能なのかを見ていきましょう。
「被害軽減ブレーキ」とは?
レーダーやカメラで車両前方を監視し、
衝突の可能性があると判断するとドライバーに警報。衝突の可能性が高い場合は自動でブレーキを作動し衝突を回避または被害軽減をサポートする機能のこと。搭載される被害軽減ブレーキの性能により、作動速度や検知できるものが異なります。
※多くの人が「自動ブレーキ」と呼んでいる機能ですが、機能の過信を防ぐ目的で現在は自動ブレーキとは呼ばなくなっています。
「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」とは?
停止時や低速走行時にレーダーやソナー、カメラで車両前方や後方を監視。近くにある壁や車両などの障害物を検知しているときにアクセルを踏み込むと、エンジン出力を抑制して衝突を回避または被害軽減をサポートする機能です。
「車線逸脱警報」とは?
カメラで道路上の車線を検知し、意図せず車線からはみ出しそうになるとドライバーに警報する機能。近年では、60km/h以上(高速道路走行時)で作動するものが多くなっています。
「先進ライト」とは?
先行車や対向車を検知して自動でハイビームとロービームを切り替える機能、先行車や対向車を検知してハイビームの照射範囲の一部を減光する機能、ハンドル操作などに応じて照射範囲を自動制御する機能などが「先進ライト」と呼ばれるものです。
先進安全性能を考慮することが交通事故対策の第一歩の時代
先進安全装備に対する考えは人それぞれであります。
中には「カメラやレーダーでがんじがらめになったら走りを楽しめない」と感じている声もあるかもしれません。
しかし運転に自信をもてない方、特に高齢者の方にとっては、車が安全運転を手助けしてくれるのは大きな安心につながります。
また、高齢者の親の運転を心配している人も、親が先進安全装備が付いた車を選ぶことは安心材料になるはずです。
より大きな安心を得たい人は、迷わず被害軽減ブレーキに対人機能が備わる「サポカーSワイド」を選びたいところ。
欲しい車がサポカー、サポカーS、どれに該当するかはメーカーのHPなどで公開されていますのでチェックしましょう。
ただ、ひとつ気をつけないといけないのは、グレードによってサポカー、サポカーSと分かれる車種もあること。
これは先進安全装備がオプション設定、グレード別設定になっているためです。
先進安全装備は後付けが難しいので(一部後付け可能なものもあります)、中古車を買う際は店頭で内容を確認しましょう。
事故を減らすうえで被害軽減ブレーキをはじめとする先進安全装備は、大きな効果をもたらしています。
スバルはWEB上で「アイサイト搭載車の追突事故発生率が84%減少、歩行者事故発生率は49%減少」と公表。
トヨタも「Toyota Safety Senseとパーキングサポートブレーキを搭載したプリウスは追突事故を約9割低減」と公表しています。
一方で、先進安全装備に対する過信は禁物。
これら機能の検知能力には限界があるため、すべての状況で事故を回避できるとは限りません。
そして、ドライバーの安全運転を前提にして開発されていることも忘れないでください。
自動車ライター
高橋満(BRIDGE MAN)
求人誌編集部、カーセンサー編集部を経てエディター/ライターとして1999年に独立。独立後は自動車の他、 音楽、アウトドアなどをテーマに執筆。得意としているのは人物インタビュー。著名人から一般の方まで、 心の中に深く潜り込んでその人自身も気づいていなかった本音を引き出すことを心がけている。 愛車はフィアット 500C by DIESEL
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