この車の魅力に気づいている人はごく少数!? 乗ればわかる魅力的な1台がホンダ ジェイドだ!
2018/04/26
いい車が売れるとは限らない不思議な現象がジェイドにも
「松本さん、少し前にホンダのジェイド、好きって言っていましたよね? あれ、自分もいい車だと思っているんですけど、残念ながらいまだに我々の期待に応えるような販売結果が出ているとは言えないじゃないですか」
編集部の大脇さんから、意味深な電話をもらい、ジェイドが登場した2015年の新型試乗会を思い出した。個人的に好みのデザインで、とても魅力的な新型車が登場してきたなと感じると同時に試乗への期待も高かった。
発売当初はハイブリッド車のみで、途中から1.5Lガソリンターボ車が加わっている。大脇さんの言うとおり、彼と車の話をするときにジェイドが好きといっている記憶が確かにある。
そして、この人から振られるこの手の話の目的……、何となく察しが付く。
「いやね、今、自分乗っているんですよ、ジェイド。人気爆発しない理由がわからないくらい、やっぱりいい車なんですよ。久々に松本さんも乗ってみてくださいよ!」
やはりそうきたか。
登場当時に試乗したのは、1.5Lエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドモデルだった。発進時や追加速時にモーターが介入するハイブリッドならではの力強さを感じるモデルだった。
高負荷時にエンジンが介入してくると、ホンダの命と言ってもいい、乾いたイイ音を奏でるエンジンサウンドが楽しめた。
ハンドリングは一言で表せばスポーティ。言い換えれば、ドライバーは楽しいが、後席の乗り心地は硬めで決してソフトではないということ。
大脇さんが試乗中のモデルはRSらしい。1.5Lターボのガソリンエンジンモデルだ。
先を見据えたホンダらしいデザインには工夫がいっぱい
大脇さんの言うとおり、斜め後方から見るとアヴァンシアを想起するシルエットに見えなくもない。
ジェイドのフォルムは、フロントノーズの延長線上にAピラーを配置し、コンパクトながら室内の広さを作る手法が採用されており、いかにもホンダらしいデザイン。
ジェイドの絶妙さは乗って走ってみないと気づけない!?
運転席に身を沈めると着座位置の低さに驚く。
とはいえ、サイドウインドウもグッと下げてあり実は視認性が高い。
グラスエリアが狭いと見た目はカッコイイが、タイトな感じで圧迫感を感じるのも事実。そう考えるとジェイドのサイドウインドウの高さは絶妙と言える。
少し大げさな表現をすれば、センタークラスターの低さなど最近のヨーロッパ車に採用されているプレミアムセグメントさながらの様相だ。
実によくできた車なのに、なぜか現実はバカ売れとは言えない。近々の新車月販販売台数は200台くらいという。
「どのメーカーにも登場タイミングが早すぎた故に、不発に終わってしまうモデルってありますもんね。絶版になってから中古車で急に人気が出てくるあのパターン」
大脇さんと合流する前にホンダの技術者に聞いたところ、登場時から細かい改良・変更をしているとのこと。
同社のミニバンである、オデッセイもそうだったのだが、発売当初はドライバーが楽しむ仕様だったところ、マイナーチェンジで乗り味をしなやかに仕立ててくるようなことがある。ジェイドはどうだろうか。
進化が見られる乗り心地。トータルバランスは確実にアップしていた!
エンジンは静か。走り出しは中々軽やかで好印象。ホンダはCVTに力を入れている方だと思っている。
レスポンスを機敏にするため、ベルトに細かなチューニングをしてマス(質量)をコントロールする工夫がされている。
CVTは回転を一定にしてエンジンのおいしい部分を作り出し、燃費とパワーを両立するのだが、ジェイドのそれは小気味よく変速してスポーティな味を出している。
高回転まで回すとホンダのエンジンサウンドが楽しめる。エンジン腰下の剛性も抜群。あらためてホンダのエンジンは素晴らしいと思う。
そしてコーナリングでも不安感がないことに驚く。ハイブリッド仕様でもスポーティだと思ったが、RSのターボはそれ以上にスポーティなフィーリングだ。
おまけにダンパーが初期から細かく動くことから、発売当初のモデルよりも後席の乗り心地は間違いなく優しくなっている。
貴重な3列シートスポーティカーの魅力にあらためて注目してほしい
販売台数など関係ない。ジェイドは車としてやっぱり素晴らしいと思った。
価格戦略や、他メーカーのライバル車、または自社車種に食われている可能性など、売れていない理由はひとつだけではないだろうが、今買える、ジェイドのようなパッケージの走りも良いモデルはそうそうあるものではない。
ジェイドは5月にマイナーチェンジをする。その出来栄えと車としての魅力の浸透に思いっきり期待したい。
【SPECIFICATIONS】
■グレード:RS ■乗車定員:6名
■エンジン種類:直列4気筒DOHC+ターボ ■総排気量:1496cc
■最高出力:110(150)/5500 [kW(ps)/rpm]
■最大トルク:203(20.7)/1600-5000 [N・m(kgf・m)/rpm]
■駆動方式:FF ■トランスミッション:CVT
■全長×全幅×全高:4650×1775×1530(mm) ■ホイールベース:2760mm
■ガソリン種類/容量:レギュラー/47(L)
■JC08モード燃費:18.0(㎞/L)
■車両価格:253.0万円(税込)
【関連リンク】
日刊カーセンサーの厳選情報をSNSで受け取る
あわせて読みたい
- 【総予算100万円!】格安90’sミニバンを自分仕様に仕上げて遊ぶ(前編)
- 【試乗】新型 日産 ノート|市販モデルではプロトタイプのネガ部分が消え、スタビリティの高さが際立った
- 【フェルディナント・ヤマグチ×編集長 時事放談】自動車業界と半導体について(後編)
- ドア開閉音からも分かる卓越したビルドクオリティ、空冷時代だからこそ生きたポルシェの技術力
- 【試乗】新型 トヨタ MIRAI|日本が生んだ大人のサルーンは、世界初の技術とともに進化を続ける
- 【試乗】マツダ MAZDA3ファストバック|その特徴的なデザインにも負けないパワーユニットへ進化した「SKYACTIV X」
- 【名車への道】’14 BMW i8
- 本場ドイツの名門レース「DTM」が、再び注目を集めるワケ!【EDGE MOTORSPORTS】
- 【マンガ】ホンダ N-ONE(現行型)ってどんな車? 詳しく解説【人気車ゼミ】
- ホンダがスポーツEVを投入か!?