「ドラマを作りたくなる車」。テリー伊藤が、名車『シトロエン DS ID20』と出合った
カテゴリー: クルマ
タグ: シトロエン / EDGEが効いている / テリー伊藤
2017/11/16
個性的な輸入車をラインナップするお店へ
今回は、「エーゼット オート横浜」で出合った1970年式のシトロエン DS ID20について、テリー伊藤さんに語りつくしてもらいました。
~語り:テリー伊藤~
DSはデザインが素晴らしい。そこに佇むだけで車が語りかけてくる。こんな車はなかなかありません!
中でも特徴的なCピラーとそこに載るリアウインカーは、『ELLE』や『marie claire』のモデルがリアウインドウから顔を出して後ろを振り返る姿を想像させますね。とても美しい、ドラマチックな光景です。この部分だけで車がすべてを語るなんてすごいですよ。フランスのシャルル・ド・ゴール大統領が愛用していたことでも知られるDSは、すべてにおいてドラマチックすぎます!
この車は年配の方はもちろん、POPEYE(ファッション&カルチャー雑誌)を読むシティボーイにも似合うと思いますよ!
例えば2CVで青山や代官山あたりを走るなら、思い切り背伸びしてDSに走っても悪くないと思います。こういう車はお店のディスプレイに使われたりもするけれど、僕はちょっと違うと思う。車は走らせてナンボ。とくに古い車ほど、せっかく生き残っているのだから存分に走らせてあげたいですね。
エーゼット オート横浜の岩原社長にDSの状態を聞いてみたところ、「入庫したばかりでまだ手を入れていませんが、かなり仕上がっていていい感じですよ」という返事が。思わず大声で「なに~! いいだと~!!」と叫んでしまいました。こういう車でお店が自信を持って「いい」と言ってくれるなんて、それだけで嬉しいじゃないですか。
ラッキーなことに今回は試乗させてもらうこともできました。50年近く前の個体だしエンジンをかけるのも一苦労するかと思いましたが、なんと一発で始動! よく見たらダッシュボードの下にETCが付いているじゃないですか。つまり前オーナーはこれを飾っていたのではなくちゃんと乗っていたという証しです。
乗り心地はまるで馬車。ソファのようなシートに体が沈み込み、ふわふわと走る感じは車とは思えません。馬車とは違いますが、「刑事コロンボ」になった気分で走らせました。
これが1000万円だったら「すごいねー」で終わってしまいますが、300万円ちょっと(※)で手に入るんですよ。夢があるじゃないですか! しかも前オーナーがしっかり手をかけてくれているので、ギアも入りやすい。もちろんエアコンは付いていませんが、逆にエンジンを傷めてしまう心配が減るからいいことですよ。
※取材時の価格です
テリー伊藤なら、こう乗る!
もしDSを手に入れたら、僕はそのままドラマを作りたい。
テーマは“老いらくの恋”。奥さんを捨てて若い女性と恋に落ちたけれど、結局その女性にも捨てられて帰る場所がなくなった男。そして小雨の中、泣きながらひとりで北海道に向かう……。そんなストーリーが思い浮かびます。
あと、DSのような名車を手に入れたら、多くの人は一生付き合うつもりで大事に乗り続けるでしょうね。乗るのは車的にも気候的にもコンディションのいい日のみ。ただ、このそれだけコンディションを整えても、DSに長く乗り続けるのはかなりの覚悟が必要です。僕ならひと夏の短い恋に落ちるつもりで1シーズンを全力で楽しみます!
でもね……もし本当にこれを買って帰ったら奥さんは怒るだろうなあ。だから僕は「これを買った」とは決していいません。「知り合いからしばらく借りている」と言い訳します。それくらいの嘘、ついてもいいですよね。
シトロエン DS ID20
DSは1955年に登場したシトロエンの上級セダン。空力性能を高めたその特異なフォルムから“宇宙船”と呼ばれ、のびやかで優雅なスタイルに多くの人が魅了された(発表の舞台となったパリサロン初日で1万2000台以上の注文が入ったといわれている)。足回りはエアスプリングと油圧ポンプで車高調整も可能にしたシトロエン独自のハイドロニューマチックシステムを搭載。
■ テリー伊藤(演出家)
1949年12月27日生まれ。東京都中央区築地出身。これまで数々のテレビ番組やCMの演出を手掛ける。現在『白熱ライブ ビビット』(TBS系/毎週火曜水曜8:00~)、『サンデー・ジャポン』(TBS系/毎週日曜9:54~)に出演中。単行本『オレとテレビと片腕少女』(角川書店)が発売中。現在は多忙な仕事の合間に慶應義塾大学院で人間心理を学んでいる。
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