この車に乗るなら……という視点で人気車が持つ魅力に注目するカーセンサー(雑誌)の連載。今回は日産 エクストレイルをクローズアップ!

▲今回取り上げるエクストレイルは、アウトドアスポーツを楽しむ人に向けた本格SUVの3代目。「タフギア」をキーワードに、高い走破性能を誇る4WDシステムや防水シートなど、アウトドアを楽しむための機能が随所に盛り込まれている。今年6月のマイナーチェンジでは、自動運転技術「プロパイロット」をメーカーオプションとして採用するなど、さらに利便性を高めた▲今回取り上げるエクストレイルは、アウトドアスポーツを楽しむ人に向けた本格SUVの3代目。「タフギア」をキーワードに、高い走破性能を誇る4WDシステムや防水シートなど、アウトドアを楽しむための機能が随所に盛り込まれている。今年6月のマイナーチェンジでは、自動運転技術「プロパイロット」をメーカーオプションとして採用するなど、さらに利便性を高めた

オーナーの要求を受け入れる懐の広さに大満足

会社の仲間と釣り船に乗って魚釣りに。今回の道具はさほどかさばるわけではないが、クーラーボックス、それに熱中症予防のために多めに用意した飲み物など何かと荷物は多い。普段は格納している3列目シートを引っ張り出して7人乗車しても、二重底になったラゲージを駆使したうえで、残りを後席の足元に分散して置くとすべての荷物を飲み込んでくれた。

やはりこういう用途にはミニバンかなと購入検討時に迷いに迷ったが、3列目シートの使用頻度、悪路走破性、見た目の好みなど、様々な項目を考慮した結果、荷物の積載能力には多少目をつむってエクストレイルを選んだつもりだったが、4WDでこれだけ積めるなら正解だった。

優先した悪路走破性には満足している。街中から雪道までほとんどの場面を4WDオートに入れておけば車が駆動を最適化してくれる。岩場などを走る際にはロックを選ぶよう説明を受けたが、まだお世話になったことがない。ただ急にそういう状況に出くわしても大丈夫だろうという安心感につながっている。乗車人数、荷物量、走行シーンなど、いろいろな要求をまとめて受け入れてくれるこの車の懐の深さは実にありがたい。
 

▲現行型エクストレイルは2013年末に発売。先代は世界有数の厳しさを誇る日本のディーゼル規制を最初にクリアしたディーゼルエンジンを搭載したことで話題を集めたが、現行型では廃止、代わりにハイブリッドモデルを設定したのが特徴。ミニバンユーザーとSUVユーザーの両方を取り込むべく、3列目シートを備えるようになったのも現行型から。汚れに強い材質をインテリアに使うのは初代からの伝統となっている ▲現行型エクストレイルは2013年末に発売。先代は世界有数の厳しさを誇る日本のディーゼル規制を最初にクリアしたディーゼルエンジンを搭載したことで話題を集めたが、現行型では廃止、代わりにハイブリッドモデルを設定したのが特徴。ミニバンユーザーとSUVユーザーの両方を取り込むべく、3列目シートを備えるようになったのも現行型から。汚れに強い材質をインテリアに使うのは初代からの伝統となっている

魅力の“タフギア”にプロパイロットが加わった

次ページでも述べるが、このクラスのSUVは強力なライバルが多い。そんななかでエクストレイルが3世代にわたって存在感を示し続ける理由のひとつが、初代以来の“タフギア”っぷりであることは間違いない。例えば、シートやラゲージスペースが撥水加工されていて、泥や雪が付着してもひと拭きで汚れを落とすことができる。「趣味に仕事に家族サービスに車を使い倒す」と言うとカッコよいが、車が新しいうちからそういうふうに使うのは案外難しい。裏を返せば、子供や仲間に「汚すなよ」と注意せず落ち着いていられれば、“お父さんはなんて寛大な人なんだ”と株を上げることができるはずだ。

同一車線内で渋滞時、高速走行時に先行車を追従してくれ、車線中央維持をアシストしてくれるプロパイロット機能が加わった。家族や仲間が乗っていればどうしたって車内の会話は盛り上がるし、一日遊んだ帰り道は同乗者全員が爆睡する可能性も高い。どっちにせよ運転に集中するのが難しい状況下で、これはありがたい。
 

▲黒一色のインテリア。ところどころアクセントとしてクロームパーツが用いられる ▲黒一色のインテリア。ところどころアクセントとしてクロームパーツが用いられる
▲プロパイロットはステアリングの右手親指がくる部分の青いボタンを押した後、速度セットボタンを押せばスタート ▲プロパイロットはステアリングの右手親指がくる部分の青いボタンを押した後、速度セットボタンを押せばスタート
▲撥水加工されたシートは飲み物をこぼしても、濡れた服で乗り込んでも大丈夫。だからといって夏場に長時間座ると不快なビニール表皮というわけではなく、通気性も考慮された表皮なのがありがたい ▲撥水加工されたシートは飲み物をこぼしても、濡れた服で乗り込んでも大丈夫。だからといって夏場に長時間座ると不快なビニール表皮というわけではなく、通気性も考慮された表皮なのがありがたい
▲3列目を格納すれば広大なラゲージスペースが広がる。4WDにも関わらず跳ね上げ式ではなく格納式の3列目シートを確保したのは立派 ▲3列目を格納すれば広大なラゲージスペースが広がる。4WDにも関わらず跳ね上げ式ではなく格納式の3列目シートを確保したのは立派


【解説した人】塩見智
1972年、岡山県生まれ。自動車雑誌編集部を経てフリーランスライターへ。年を重ねるにつれ、派手でパワフルな車よりも実用的で経済的な車に関心を抱くように。

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日産 エクストレイル(現行型)
text/塩見智
photo/篠原晃一