▲現行型の登場から10ヵ月がたった現在でも十分シュッとした印象の旧型アウディ A4。これの比較的低走行な物件が今、かなりお手頃な相場になっています ▲現行型の登場から10ヵ月がたった現在でも十分シュッとした印象の旧型アウディ A4。これの比較的低走行な物件が今、かなりお手頃な相場になっています

車両価格150万円ぐらいから十分探せます

「そろそろ上質で機能的なドイツ車ってやつに買い替えてみたい。しかし新しめの年式はどうせ高いに決まってるし、かといってあまり古いのには乗りたくないし……」とお思いの人、結構いらっしゃるかと思います。そんなあなたにぜひ注目していただきたいのが、今年初めに「先代」となったばかりの旧型アウディ A4およびA4アバントです。

ご承じのとおりA4シリーズは、アウディの販売上における中核を成しているミドルクラス。「A4」というのがセダンで、「A4アバント」はいわゆるステーションワゴンです。で、前述のとおりセダンは今年2月から、アバントは同4月から、フルモデルチェンジを受けた新型が日本市場に投入されましたので、それまでのモデルはめでたく(?)旧型と相成りました。

通常、フルモデルチェンジが実施されると旧型の中古車相場は大きく下がるものですが、旧型A4/A4アバントはなぜか下がりませんでした。や、もちろんそれなりには下がりましたが、あまり大きくは下がらなかったのです。その事実が「あえての旧型狙い派」を落胆させたわけですが、しかしここへきてようやく旧型の相場が大きく下がってまいりました。

モデル末期にあたる14年式や15年式付近はさすがにまだ少々お高いですが、08~12年式あたりの平均価格は10月10日頃を境に急落。具体的には11月8日現在、09~12年式アウディ A4の平均価格が約194万円で、同年式のA4アバントは約210万円です。そしてこの数字は「平均」ですので、実際の市場にはさらにお手頃プライスな旧型A4およびA4アバントが数多く流通しています。イメージ的には「車両価格150万円ぐらいから余裕で探せる」という感じでしょうか。

▲こちらはセダンの旧型アウディ A4。販売期間は08年3月から16年1月で、主なグレードは1.8Lターボの1.8 TFSI(FF)と2Lターボの2.0 TFSI クワトロ(4WD)、そして3.2L V6の3.2 FSI クワトロ(4WD)。100万円台で狙えるのは1.8 TFSIと2.0 TFSI クワトロが中心で、3.2 FSI クワトロは希少 ▲こちらはセダンの旧型アウディ A4。販売期間は08年3月から16年1月で、主なグレードは1.8Lターボの1.8 TFSI(FF)と2Lターボの2.0 TFSI クワトロ(4WD)、そして3.2L V6の3.2 FSI クワトロ(4WD)。100万円台で狙えるのは1.8 TFSIと2.0 TFSI クワトロが中心で、3.2 FSI クワトロは希少
▲こちらが旧型A4アバント。スタイリッシュなステーションワゴンですが、荷室容量もそこそこあります ▲こちらが旧型A4アバント。スタイリッシュなステーションワゴンですが、荷室容量もそこそこあります

確かに現行型や旧型末期の方が何かと充実はしているが

「でもそういう安い中古車って、どうせ過走行車とかなんでしょ?」と思うかもしれませんが、そうでもありません。「走行距離3万km台まで/修復歴なし」という条件に絞っても、車両価格おおむね150万~199万円ぐらいでイケてしまうのですよ。

要するに新車の軽自動車に毛が生えたぐらいの予算感です。それで旧型とはいえアウディ A4/A4アバントの好条件車が狙えてしまうのですから、「これはもう注目するしかない!」と声を大にして言っているわけです。

もちろん、走行3万km台までとはいえ旧型は旧型ですから、最新の現行モデルと比べればいろいろ劣る点はありますし、同じ旧型でもモデル末期のモノと比べて不利な点はあります。

例えば現行型と比較するなら、最廉価グレードである1.8 TFSIに搭載されるエンジンは現行世代から完全に新設計となり、詳しい説明は省きますが「アトキンソンサイクル」という技術をターボと組み合わせたことで、レスポンスも燃費も大きく向上しました。また1.8 TFSIの場合はトランスミッションがCVTから7速Sトロニック(DCT)に変更されたのも大きなポイントでしょう。

また現行A4はグレードに関わらずリアシートがかなり広くなったため「A6いらず」などとも言われますし、12.3インチの液晶モニターを使った「Audi バーチャルコックピット」や、LTE通信でインターネットに常時接続する「Audi connect」などが全車に装備されているのも素敵です。

同じ旧型同士で比べても、12年4月以降のモデルは初期年式と比べてグッと現代的な内外装デザインに変更されましたし、それと同時に車線逸脱防止機能がオプションで用意されたり、13年4月以降はリアビューカメラ付きAPS(アウディパーキングシステム)が標準装備になったりと、かなり充実しています。逆に言うなら、旧型の初期年式は「そのあたりがやや貧弱」とも言えるかもしれません。

▲写真は旧型A4アバント(本国仕様)の運転席まわり。これ単体で見るといまだかなりモダンな印象を受けますが、現行型の運転席まわりと比べると、確かに「時代」を感じることもあるかもしれません ▲写真は旧型A4アバント(本国仕様)の運転席まわり。これ単体で見るといまだかなりモダンな印象を受けますが、現行型の運転席まわりと比べると、確かに「時代」を感じることもあるかもしれません
▲旧型A4シリーズの主力エンジンだった1.8L/2Lの直列4気筒直噴ターボエンジン。1.8Lバージョンの方は、現行型では完全新開発のものに刷新されています ▲こちら旧型A4シリーズの主力エンジンだった1.8Lまたは2Lの直列4気筒直噴ターボエンジン。1.8Lバージョンの方は、現行型では完全新開発のものに刷新されています

しかし旧型でもいまだ十分以上の能力と存在感は発揮する

しかし、それらをすべて理解したうえで「でも良質なA4/A4アバントが車両価格100万円台なんだから、それでもう十分以上じゃないか」とも思うわけです。

そりゃ現行世代の走りは確かに素晴らしいですし、バーチャルコックピットやマトリクスLEDヘッドライトも魅力です。また旧型末期のリアビューカメラ付きAPSだって、あった方が絶対に便利に決まってます。しかしそんなモノ……と言ってはカドが立つかもしれませんが、そういったモノがなくたって車はちゃんと走りますし、現行と直接対決をすれば「劣っている」と判断できる走りにしたって、旧型だけに乗ってみれば「うむ、なかなか素晴らしいな。さすがはアウディだな」と、おそらく10人中8人は思うはず。世の中そんなもんです。

もちろん、あなたがうなるほどのご予算をお持ちであったり、一つの趣味として自動車の最新テクノロジーを常に追いかけたい人であるならば、選ぶべきは最新世代でしょう。しかし、もしもそうでもないのであれば……100万円台半ばから狙えてしまう旧型アウディ A4およびA4アバントは絶対に注目すべき存在の一つであり、日々の生活のかなり良きパートナーとなる可能性が非常に高い選択肢なのです。

旧型A4の中古車相場は今後、さらに待てばさらに下がっていくことでしょう。しかしモードっぽいデザインを採用しているアウディ車の場合、年式があまりにも古くなってしまうと正直その魅力は減じますので、過剰に待つのは得策ではありません。ぜひこれを機に、まだまだデザイン的にも旬な旧型アウディ A4およびA4アバントを、あなたが現在検討中のF-X(次期主力戦闘機)候補の一つに加えていただけたならば幸いです。

▲いまだに十分洒落てる「モード系」と言えそうな旧型A4のリアビュー。というか、現行A4とぱっと見はあまり変わらないような気も? ▲いまだに十分洒落てる「モード系」と言えそうな旧型A4のリアビュー。というか、現行A4とぱっと見はあまり変わらないような気も?
▲こちらは旧型A4アバントのリアビュー。セダン同様、今でも十分シュッとして見えます ▲こちらは旧型A4アバントのリアビュー。セダン同様、今でも十分シュッとして見えます
text/編集部
photo/アウディ