▲2シーターオープンは何かと不便な部分も多いですが、割とフツーに使えるのが4座のオープンカー。オープンカー全般の相場が下がり始めるこの時期、いよいよ「屋根なし生活」を開始してみては? ▲2シーターオープンは何かと不便な部分も多いですが、割とフツーに使えるのが4座のオープンカー。オープンカー全般の相場が下がり始めるこの時期、いよいよ「屋根なし生活」を開始してみては?

夏のイメージが強いオープンカーだが、本当のシーズンは秋から冬

鬼のように暑かった今年の夏もやっとこさ終わり、嬉しいような寂しいような微妙な感慨とともに秋がやって来た。ということは、いわゆる一つの「オープンカーシーズン」の到来である。

どうにも理解しがたいのだが、中古車市場におけるオープンカー全般の相場というのはなぜか夏場にかけてジリジリと上昇し、秋の訪れとともにジリジリと下がっていく。あまりの暑さに愛車・96年式マツダ ロードスターをこの夏は1回しか出動させていない筆者などは「……それってむしろ逆じゃね?」と思うわけだが、まぁ相場様の流れには逆らえない。とにかく秋は相場的にも気候的にも、オープンカー道楽の始まりの季節だ(ついでに言えば今から3~4ヵ月後の冬場、凍てつくなか暖房をガンガン利かして走るオープンカーも最高ですよ)。

で、以上のようなことは、筆者のご同類であるオープンカー愛好家には今さら説明するまでもない周知の事実である。問題は「オープンカーのことは憎からず思い、かなり興味もあるんだけど、実際はまだ一度も所有したことがない」というオープンカー生活未経験の皆々様だ。

▲灼熱の太陽が照りつける真夏ではなく、海にもちょっと寂しげなムードが漂い始めてからの季節が、実はオープンカー生活者にとっては最高の頃合いなのです ▲灼熱の太陽が照りつける真夏ではなく、海にもちょっと寂しげなムードが漂い始めてからの季節が、実はオープンカー生活者にとっては最高の頃合いなのです

案ずるより産むが易し。まずは始めてみようじゃないか!

こちとら他人様の趣味嗜好や生活に口を挟むほど偉くも野暮でもないため、あまりグダグダとモノを言いたくはない。しかしそれでも、「……もしもご興味があるのなら、相場が微妙に下がるこの時期に、最初のご購入をされてみてはどうでしょう? なにせオープンカーがある暮らしというのは本当に素晴らしいものですから」と、余計なお世話を焼きたくなる気持ちはどこかにある。

まぁスポーツタイプの2シーターオープンだと、様々な点で「自分には無理!」という人も多いだろう。しかし「4座のオープン」であれば、特に気負うこともなくサクッと買えばいいと思うのだが、どうだろうか? 幌の隙間からの雨漏りや、幌の開閉機構のトラブル等々が気になるのかもしれないが、実際は中古のオープンカーといえども(ちゃんと選びさえすれば)そう頻繁に幌関係のトラブルに襲われることはない。まだ起きてもいない、そして必ず起きるとは限らないトラブルに怯え、人生の可能性を自ら狭めてしまうのはいかがなものか……と思う不肖筆者だ。

「他人様の趣味嗜好や生活に口を挟むつもりはない」と言っておきながら、ちょっと説教くさくなってしまってしまったかもしれない。大変申し訳ない。気を取り直して、「今オススメの高コスパな4座輸入オープンカー」の数々をテンポ良く挙げていくことにしよう。それを見ていただいて、もしもビビビと来たらご購入すればいいし、ビビビと来ないなら致し方ない。

▲開閉機構の故障や雨漏りなどが絶対にないとは言えないが、巷で噂されているほどしょっちゅう壊れるものではない。ちゃんとした個体を選びさえすれば、さほどの心配は無用ですよ! ▲開閉機構の故障や雨漏りなどが絶対にないとは言えないが、巷で噂されているほどしょっちゅう壊れるものではない。ちゃんとした個体を選びさえすれば、さほどの心配は無用ですよ!

「最初の1台」に、例えばこんなモデルはいかが?

で、いくつかあるオススメな高コスパ系4座輸入オープンのなかで、今もっとも好バランスだと個人的に思うのがフォルクスワーゲン ニュービートルカブリオレだ。

▲03年6月から10年12月まで販売されたフォルクスワーゲン ニュービートルカブリオレ。見てのとおりベースはニュービートルで、エンジンは2Lの直4DOHC。ソフトトップは電動開閉式 ▲03年6月から10年12月まで販売されたフォルクスワーゲン ニュービートルカブリオレ。見てのとおりベースはニュービートルで、エンジンは2Lの直4DOHC。ソフトトップは電動開閉式

車としての「出來の良さ」みたいなものは後継のザ・ビートル カブリオレの方が断然上で、こちらニュービートル カブリオレはすべてが若干のおとぼけ系である。走りしかり、パッケージングしかり。だが、オープンカーというのはガチガチに出来が良い必要はあまりなく、ニュービートルぐらい(悪い意味ではなく)ヌケてる方が、意外と気持ちよく乗れるものだ。またトランスミッションもごく普通のトルコン式ATであるため、妙な機械的・電気的トラブルに悩まされることも少ないはず。とはいえ走行距離がかなり伸びている個体だとATの状態も内装コンディションも若干不安が残るため、走行5万km以下ぐらいを目安に探したいところだ。それでも車両価格70万~90万円あたりで好条件な1台が探せるだろう。

もう少し小さなサイズでも支障がないのであれば、旧々型のミニ コンバーチブルも素敵だ。

▲こちらは旧々型ミニ コンバーチブル。販売期間は04年9月から09年3月で、エンジンはクーパーが1.6Lの自然吸気で、クーパーSには1.6Lのスーパーチャージャー付きが搭載された ▲こちらは旧々型ミニ コンバーチブル。販売期間は04年9月から09年3月で、エンジンはクーパーが1.6Lの自然吸気で、クーパーSには1.6Lのスーパーチャージャー付きが搭載された

こちらもニュービートル カブリオレと同様、さほど硬派なモデルではない。ハッチバックのミニはスポーティな走りも十分こなしてくれるなかなかの硬派だが、こちらは飛ばそうとすると(峠道などでは)若干だが心もとない部分も顔を見せる。でもまぁいいじゃないですか。目を三角にしてぶっ飛ばすオープンカーなんてカッコ悪いですから、のんびり行きましょうよ。そのように走るのであれば、旧々型のミニ コンバーチブルも(良質な個体であれば)最高に近い選択だ。おおむね90万~120万円ぐらいの車両価格で、走行4万kmぐらいの個体が探せるはず。

Aピラーの傾斜角かかなりキツいため開放感には欠けるが、もしもそこがさほど気にならないのであればプジョー 207CCも悪くない。

▲25秒で開閉する電動メタルルーフを採用したクーペ・カブリオレ、プジョー207CC。エンジンはBMWと共同開発した1.6Lで、自然吸気には4AT、ターボの「GT」には5MTが組み合わされる ▲25秒で開閉する電動メタルルーフを採用したクーペ・カブリオレ、プジョー207CC。エンジンはBMWと共同開発した1.6Lで、自然吸気には4AT、ターボの「GT」には5MTが組み合わされる

こちらはいわゆるクーペ・カブリオレなので、トップは幌ではなく電動格納式のハードトップ。それゆえトップを閉めていれば固定屋根の車とほぼ変わらない静粛性となる。開閉機構の作動チェックと、そこに関する整備履歴の確認は確実に行った方が良いとは思うが、問題なさそうであることが確認できたなら、なかなかオシャレでなかなかスポーティな、つまり「いい感じ」の選択となるだろう。相場は、車両価格110万円前後で走行3万~4万km台の物件が探せるだろう。

その他、BMW 1シリーズカブリオレもなかなか素敵なのだが、そもそも流通量が少なめで、「お手頃高コスパ物件」に絞るとさらに数が少なくなるため、ここでは省略させていただいた。

いずれにせよ、上記の概略説明でもしも軽くビビビと来たモデルがあったなら、カーセンサーnetでより詳しい情報を精査していただきたい。そしてそのうえで、この秋をきっかけに「こちら側(オープンカー乗りの世界)」に来ていただけたなら、あなたがオープンカーを買ったからといって別に筆者は一銭も儲からないわけだが、純粋にとても嬉しく思う。

text/伊達軍曹
photo/BMW、フォルクスワーゲン、プジョー・シトロエン