▲新開発プラットフォームを使用したホンダのプラグインハイブリッド車の予想イラスト。全長4500mm程度でプリウスと同クラスを想定か ▲新開発プラットフォームを使用したホンダのプラグインハイブリッド車の予想イラスト。全長4500mm程度でプリウスと同クラスを想定か

エンジン車からEVまでカバーするモジュール式

車の基本となるプラットフォームの考え方や、解釈が大きく変わりつつある。多品種に対応できるよう、最近は応用できる構造の採用が目立っている。生き残りと環境対応を視野に入れて、ホンダもその流れに乗る。

ホンダが次世代プラットフォームの開発に取り組んでいるとの情報をキャッチした。同社はもともと、少ないプラットフォームで、より多くの車種を開発&生産する効率的なメーカーのひとつだ。

この事業効率の高さは優れた利益率となって反映され、結果として独立路線を守りながら、世界7位という現在の立ち位置にもつながっている。

もっとも、この効率の良さは「エンジンが主流ならば」のただし書き付き。今後パワートレインが多様化するにつれて、開発&生産の要件は複雑になり、事業効率が次第に悪化する心配も出てきた。そこで浮上したのが、ここで報じる次世代プラットフォーム構想だ。

▲床下にバッテリーを搭載する手法は、フィットEV(上記画像)や、クラリティFCで実証済み。2012年に発表されたフィットEVの航続距離(JC08モード)は225km、車両重量は1470kgだった ▲床下にバッテリーを搭載する手法は、フィットEV(上記画像)や、クラリティFCで実証済み。2012年に発表されたフィットEVの航続距離(JC08モード)は225km、車両重量は1470kgだった

変更するくらいならイチから開発

新プラットフォーム最大の特徴は、パワートレインの多様化を念頭において開発されていること。ガソリンおよびディーゼルエンジンはもちろんのこと、ハイブリッド(以下HV)やプラグインハイブリッド(以下、PHV)、そしてEVまで共用できるよう、構造が抜本的に見直される。

フォルクスワーゲンや日産で採用が始まったモジュール(複合部品)式の発想が取り入れられる。これによって開発と生産のコストを抑えつつ、多彩な車種を投入してグローバル市場のニーズに応えようというわけだ。

搭載位置が大きな問題となる駆動用バッテリーと燃料タンクのレイアウトが真っ先に決定される。これらの重量物は居住性や積載性といったパッケージングだけでなく、生産要件や走行安定性、衝突安全性をも左右し、あとから簡単に変更は利かない。変更するくらいなら、イチから開発し直した方がよほど早いシロモノだ。

床下バッテリー非搭載車は、二重底構造に

この新しいプラットフォームでは、PHVやEVに必要な駆動用バッテリーが、床下に敷き詰められる。これは燃料電池車のクラリティFCと同じ考え方だ。

もっとも、床が極端に高くならないよう、バッテリー技術の進化を見込んで、薄型化が前提となっている。エンジン車とバッテリー搭載量が少ないHVでもフロアはそのまま流用され、二重底のような仕立てとなる。当然、この構造をデメリットとせず、むしろアイポイントの高さをPRする可能性も考えられそうだ。

また、ホンダはPHVをエコカーの主力と位置づけていると考えられる。下図を見ると、PHVにホイールベースの短い仕様が用意されていることからも明らかだろう。

▲ホンダが考える次世代プラットフォームから展開される5つのシャシーを図にまとめた ▲ホンダが考える次世代プラットフォームから展開される5つのシャシーを図にまとめた


米カリフォルニア州など先進国で、HVがエコカーの優遇枠から外れる動きも出てきたことから、メーカー各社はあらためて、PHVに注目している。ホンダも事情は同じだろう。

次世代プラットフォーム構造だが、グローバルで数種類のパワートレインを展開したり、生産することによって、経費が大きく膨らんでしまうとの資産もある。一説によると、人件費に代表される経費は、日産の2倍近くに達してしまうとのウワサもあるから、穏やかではない。まだまだ紆余曲折はありそうだ。

※2016年9月7日現在における新型車の発表についての予測記事です。発表を保証するものではありません

【SPECIFICATIONS】
■予想発表時期(PHV車):2020年
■全長×全幅×全高:4500×1765×1500(mm)
■搭載エンジン:電気モーター など

text/マガジンX編集部
photo/マガジンX編集部