▲人間も中年世代ともなればそれなりの車には乗りたいものだが、「それなりの車」はどうしたって少々お高いのが悩みどころ。そんなとき、この現行ボルボ V40が救世主になるかも? ▲人間も中年世代ともなればそれなりの車には乗りたいものだが、「それなりの車」はどうしたって少々お高いのが悩みどころ。そんなとき、この現行ボルボ V40が救世主になるかも?

ある程度の年齢になると「チープシック」は似合わない

個人的には車なんてのは大して高いモノなど買う必要はなく、100万円台ぐらいの中古輸入車で全然OKと考えていたのだが、近頃はそうもいかなくなってきた。なぜならば、老けてきたからである。

筆者は数年前までは妙に若く見られるタイプだった。しかしここ最近は順調に中年力が増し、おおむね実年齢どおり(40代後半)に見られるケースが9割以上になってきたように思う。若作りをしたい欲求はゼロであるためそれ自体はどうでもいいのだが、問題は、「そうなると100万円台ぐらいの中古輸入車が妙に似合わなくなる」という、困った事態が出現したことである。

若い人間が安い車に乗っている姿とは、似合ってるというか爽やかですらあるというか、なんとも好印象なものだ。しかしおっさんになるとそうもいかず、単純に「みすぼらしい感じ」に見えてしまうのである。個人の感想ですが。

まぁビル・ゲイツさんや孫正義さんぐらいの人であれば、仮にボロを着てボロい車に乗っていたとしても、只者ではないオーラが自然とにじみ出るはず。しかし筆者程度の一般中年がそれをやると、なんだかとっても悲しいビジュアルになってしまうのだ。「持ち物の質にはこだわらないとマズい年齢になった」ということなのだろう。

ということで筆者は過日、年齢なりの車に乗ろうということで新車のBMW 420iグランクーペを買った……と報告できればいいのだが、あいにくこちとら自慢じゃないがカネはない。カネがないなかで、それなりのクオリティ感とシブい中年感がにじみ出る車を探せねばならないのだ。

だが世の中にウマい話はないので、たいていの中古輸入車が持っている雰囲気は「値段なり」だ。筆者が無理なく出せる予算(100万円台とか、せいぜい200万円ちょい)でイイ感じに見える中古輸入車を探す作業は難航を極めた。

▲例えばこのBMW 4シリーズ グランクーペあたりに乗れれば中年男としては言うことなしだが、その新車価格はベースグレードでも528万円ゆえ、簡単にホイホイ買えるものでもない ▲例えばこのBMW 4シリーズ グランクーペあたりに乗れれば中年男としては言うことなしだが、その新車価格はベースグレードでも528万円ゆえ、簡単にホイホイ買えるものでもない
 

ならば車両価格190万円前後でイケる現行ボルボ V40でどうだ!

しかし、「このまま俺はみずぼらしい中高年として生きるしかないのか……」と絶望の淵をさまよっていたとき、一つのモデル名が天啓のように閃いた。

「そうだ、ボルボ V40があるじゃないか」と。

ボルボ自身が「プレミアム・ショートワゴン」と呼ぶ現行V40は、現行フォルクスワーゲン ゴルフより10cmほど全長が長い5ドアハッチバック。登場は13年2月で、今なお様々な改変を受けながら新車の製造販売が続けられている。

当初のエンジンは4気筒の1.6L直噴ターボまたは5気筒の2Lターボだったが、15年モデルからは「Drive-E」戦略に基づいて5気筒の2Lターボが4気筒になり、15年途中からの16年モデルは1.6L仕様が1.5Lの直噴ターボへとダウンサイジング。同時に2Lのディーゼルターボも登場した。

で、このV40の当初モデルが今、非常にお安いのだ。

具体的には車両価格190万円前後で走行1万から2万km台ぐらいの13年式V40 T4 SEが狙え、そのなかには当初20万円のパッケージオプションだった「セーフティパッケージ(10種類の先進安全技術がセットになったもの)」付きの個体もある。13年モデルT4 SEの新車価格が最初期309万円、6月以降は329万円だったことを考えると、これはなかなかのお買い得相場といえるだろう。

そして現行V40は走りも当然ながら優秀だ。個人的にはアウディ A3スポーツバックの方が同年式であれば感触は上と考えるが、それは現行A3スポーツバックが変態的なまでに緻密すぎるだけの話で、基本的にはV40の走りも十分以上に素晴らしい。内外装の質感についても、いわゆるCセグの車ゆえ、プレミアムDセグメント以上の車のように「超いい感じ!」というほどではないが、筆者のような一般中年にとってはちょうどいい程度に上質だ。文句は何もない。

▲ステーションワゴンと呼ぶには短い全長だが、5ドアハッチバックとしてはなかなか長いという、絶妙なサイズ感の現行ボルボ V40。ボルボ自身はこれを「プレミアム・ショートワゴン」と呼んでいる ▲ステーションワゴンと呼ぶには短い全長だが、5ドアハッチバックとしてはなかなか長いという、絶妙なサイズ感の現行ボルボ V40。ボルボ自身はこれを「プレミアム・ショートワゴン」と呼んでいる
▲いかにも北欧の車らしい、モダンでありながらナチュラルぽくもあるボルボ V40の内装 ▲いかにも北欧の車らしい、モダンでありながらナチュラルぽくもあるボルボ V40の内装

初期モデルが妙に安い理由は「その後の過剰なマイナーチェンジ」だけ?

「でも中古車相場がそれだけ安いってことは、何かネガな部分があるんじゃないの?」といぶかしむ人もいるだろうが、そこについても大した心配はない。輸入車らしい(?)マイナートラブルは生じるのかもしれないが、特に大きな弱点が報告されている車ではない。

それがなぜここまで安くなっているのかといえば、筆者の勝手な想像だが「マイナーチェンジのしすぎ」だろう。

現行V40はデビュー当初からなかなかステキな車ではあったが、登場から数ヵ月後には「ヒューマンセーフティ」がバージョンアップされ、その半年後には「セーフティパッケージ」がオプションから標準装備へと昇格。そして先進安全装備の内容は年を追うごとに向上していき、さらには前述の「Drive-E」戦略に基づいてエンジンとトランスミッションもさらに効率的なものへと置き換えられていった。

この進化のスピードが速すぎ、そして更新頻度が高すぎたため、初期のボルボ V40は「相対的にイマイチな存在」となり、その結果として中古車相場は格安傾向になったのだ。

そういったモロモロの帰結として、当然ながら最新年式の方が何かとイイのは間違いないわけだが、しかし初期年式の現行V40だって全然悪くはない。個人的には十分以上であり、これに乗る毎日というのは「最高」かどうかは知らないが、いち中年として「なかなか満足できるもの」であることは間違いないように思える。

その低走行物件が100万円台の車両価格で狙えるというのだから、これはもう据え膳食わぬはナントカ状態かと思う次第だが、筆者以外の一般中年各位はどうお考えだろうか?

▲ふた昔前のボルボというと「走りはユルめ」といった印象もあったが、最新世代に属する現行V40の走りはシャープかつスポーティな方向性。こういったシーンでもストレスなく駆け抜けることが可能だ ▲ふた昔前のボルボというと「走りはユルめ」といった印象もあったが、最新世代に属する現行V40の走りはシャープかつスポーティな方向性。こういったシーンでもストレスなく駆け抜けることが可能だ
text/伊達軍曹
photo/ボルボ、BMW