アウディ A7スポーツバック▲背の高い車がフツウになった今、SUVの車種カブリがちょっと面倒になってきた人もいるのではないでしょうか。今回はそんなSUVに疲れたみなさんの気分を変えてくれる“流麗なフォルムでまとめられたモデル”を紹介します

SUVに疲れた気分をガラリと変えてくれる

背の高い車が元来苦手な私などは、今更ようやくSUVに乗ってもいいかなと思い始めているのだけれど、世間にはどうやら“もうSUVは飽きちゃった”という人も少なくないらしい。“SUV疲れ”とでも言おうか。それに世の中これだけ背の高い車がフツウになってしまうと、もはや優越感もない。依然として高い視点はデイリーユースに便利な要素とはいえ、そもそも他人との車種カブリがちょっと面倒になってきた、という人がいたっておかしくない。

というわけで今回は、SUVに疲れたみなさんの気分をガラリと変える5台を紹介してみましょう。

まずは原点回帰で背の低い車を選ぶ、という最も劇的な選択から。セダン全盛期にSUVを勧めたように、SUV全盛の今だからこそ乗っておきたい背の低い車ってなんだろう。

SUVに以前の無骨なイメージは特定の人気モデルを除いて今やない。むしろスタイリッシュでカッコいいから選んでいる。とはいえ、いきなり2ドアクーペを選べと言われても厳しい。そりゃカッコいいだろうけど、2ドア1台で実用を賄うことは難しい。SUVをキープしつつというなら話は別とはいえ、そんなことができるほど余裕のある人は提案されずともすでに実行済みだろう。
 

最新セダンにも採用される“新しいスタイル”

SUVも当初は“ブーム”で始まった。流行りだ。デザイン的に新しい波だった。ならば実用領域でSUVとは異なる別のムーブメントを探ってみようじゃないか。

例えば、流麗なフォルムでまとめられた4ドアもしくは5ドアのセダンはどうだろう。最新のセダンはたいていこのカテゴリーに属している。この10年くらいで定着しつつある、まだまだ新しいスタイル。Eセグメント以上のサイズを選べば、SUVから乗り替えても実用的には不満のない居住性を備えつつ、引き締まった空間がかえって新鮮、それでいてワンモーションに近い格好にまとめあげる。積載能力も十分。大昔に流行った背の低いカッコだけのセダンではなく、実用性を確保しながらスタイリッシュさをアピールするスタイルに注目してみよう。
 

 

候補1|アウディ A7スポーツバック(現行)

アウディ A7スポーツバック▲“クーペの美しさにセダンのプレステージ、アバントの機能性を備えた”とうたわれる、ファストバックスタイルの 4ドアクーペ「アウディ A7スポーツバック」。2代目となる現行型は2018年に登場している

イチオシが2代目(現行)のアウディ A7スポーツバックだ。とにかくワイドなスタンスと迫力のリアデザイン、流れるようなフォルムが個性的で、アウディの実用車では最も美しいと思う。

予算を考えるとA5スポーツバックも惹かれるが、そこは中古車選びの醍醐味というやつで、ひとクラス上をあえて狙った方が満足度は高い。今後、これほどスタイリッシュにまとまったセダンが出てくるとは思えないので、そういう意味でも今が狙い目だ。支払総額400万円くらいから探せる。
 

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候補2|メルセデスAMG GT 4ドアクーペ

メルセデスAMG GT 4ドアクーペ ▲メルセデスAMGが独自に開発したGTシリーズの4ドアモデル「メルセデスAMG GT 4ドアクーペ」。全長5054mmのファストバックスタイルで、最高出力367psの3L 直6ターボのGT43 4マチック+から639psの4L V8ツインターボを積むGT63 S 4マチック+まで、3モデルを用意する

もう少し予算を出せるなら現行モデルのメルセデスAMG GT 4ドアクーペ(2019年~)はどうだろう。

43なら支払総額600万円台から見つかる。ベースとなったのは実績あるEクラス。スタイルはもちろん乗り味もスポーティにまとめあげた。ステータス性も十分に高い。
 

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候補3|フォルクスワーゲン アルテオンシューティングブレーク

フォルクスワーゲン アルテオン シューティングブレーク▲フラッグシップであった4ドアクーペ「アルテオン」のマイナーチェンジ(2021年)にあわせて追加された、ワゴンモデルが「アルテオン シューティングブレーク」。ラゲージ容量は565~1632Lとなる

もう少し荷物を積みたいならシューティングブレークという手もある。幸か不幸かブームに終わったというほどブームにはならなかったので、見た目はいまだに新鮮なまま。

オススメはフォルクスワーゲンアルテオン シューティングブレーク。2024年に生産の終わった、つまりは現行モデルに存在しないモデル名というあたりも今後、モデルチェンジを気にしなくていいから嬉しい。変わった形の多いシューティングブレークとしてはかなり美しいスタイルだと言えるし、街でも見かけることもマレだから、飽きることなく乗れそう。支払総額で400万円台から探せる。
 

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候補4|メルセデス・ベンツ Eクラスオールテレイン(先代)

メルセデス・ベンツ Eクラスオールテレイン▲Eクラス ステーションワゴンをベースとしたクロスオーバーモデルが「メルセデス・ベンツ Eクラスオールテレイン」。エアサスペンションを装備し最低地上高はワゴン比で25mmアップの140mm、2Lディーゼルターボと4WDの組み合わせとなる

どうせなら荷物もSUV以上に積めるステーションワゴンで、しかもSUVのようにオフロードを気にせず走りたい、という向きにはグランドワゴンがベター。ワゴンの最低地上高を上げたタイプなので、ちょっとしたラフロードなら問題なく走破できる。ステーションワゴンとSUVのクロスオーバーだ。

支払総額300万円台から狙える先代のメルセデス・ベンツ Eクラスオールテレインなら、1990年代の奥ゆかしいメルセデス・ベンツフィールを乗り味に残す数少ないモデルでもある。
 

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候補5|ジャガー XJ(最終型)

ジャガー XJ▲1968年に誕生した、ジャガーのフラッグシップサルーン「XJ」。2010年から国内販売を開始した最終型は、流線型のスポーティなスタイルへと大きな変貌を遂げている。全長5247mmのロングホイールベースや、ハイパフォーマンスモデルとなるXJRもラインナップしていた

最後にちょっとギャンブルだが、フルサイズの4ドアクーペはいかがだろう。このセグメント、BMW 8シリーズ グランクーペやマセラティ クワトロポルテなどが該当するが、個人的に注目するモデルがジャガー XJ(2010年~)だ。

フル電動化まっしぐらのジャガー、スタイルも我々の理解を超えようとしている、となれば、エンジン付きのモデルが再注目される可能性も十分にある。そうなる前に狙っておきたい。今なら支払総額150万円台から見つかる。もっとも、そこまで頑張るならアストンマーティン ラピードという手もあるけれど……。
 

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文/西川淳 写真/アウディ、メルセデス・ベンツ、フォルクスワーゲン グループ、ジャガー・ランドローバー

自動車評論家

西川淳

大学で機械工学を学んだ後、リクルートに入社。カーセンサー関東版副編集長を経てフリーランスへ。現在は京都を本拠に、車趣味を追求し続ける自動車評論家。カーセンサーEDGEにも多くの寄稿がある。