▲リトラクタブルヘッドライトはスポーツカーの証しとして廃れぬアイコンだ ▲リトラクタブルヘッドライトはスポーツカーの証しとして廃れぬアイコンだ

リトラクタブル・マジック……付いているだけでスタイリッシュに見える!?

好きだったのにそばにあるときは気付かず、失ってから後悔……。そんな経験のない人は少数派だと思う。車に関しては絶版車や限定車など、たくさんがあるけれど、今回フォーカスしたいのは「リトラクタブルヘッドライト」だ。

80年代~90年代を振り返ると、リトラクタブルヘッドライト(以下リトラ)はスポーティなクーペを中心に採用されていた。低く構えたフロントマスクはスタイリッシュであり、リトラさえ採用しておけば格好よく見える! という風潮があった。もちろん、空気抵抗が少なくて空力的にも優れているといった実利もあったはずだ。

実際のところ、スーパーカー世代にはリトラは憧れの的だった。当時の大人だけでなく少年たちの心もわしづかみにしたものだから、リトラを採用した自転車(「ブリヂストン モンテカルロ」を検索されたし)があった。それくらい印象的だったのだ。

リトラ装着モデルはプレミアム化で値段もポップアップ気味?

リトラがなくなってしまったのには理由がある。飛び出させるギミックは重量増になるし、製造コストもかかる。なにより最新の安全基準を満たすのが難しいのが痛い。そんなリトラの復刻を願うのには無理があるのかもしれない。であるならば、リトラへの憧れは、中古車として手に入るうちに成就させておきたい。

そんな渇望を抱く方にアメリカンマッスルカーのコルベットを勧めたい。2代目~5代目(~2004年)までのヘッドライトがリトラで、比較的最近まで、このスタイリングを粘って守っていたことだけでも表彰したいくらいだ。リトラでなければコルベットじゃないという尖った意見にもうなずけるほどスタイリッシュだと思う。狙うなら、まだ2代目や3代目のようにプレミアム化していない4代目と5代目。特に5代目は中古車の平均価格が約206万円と、今のところ身近な存在と言っていいだろう(2014年12月15日現在)。

キドニーグリルに4灯ランプのイメージが強いBMWだが、ブランド初のスーパーカーであるBMW M1はリトラだった。ただ、M1はランボルギーニ社製であることは別にしても価格が超高騰中。入手が困難だが、同様にリトラを採用する8シリーズなら何とか手に入る。

しかも、そのリトラはポップアップさせると薄い角形ライトが現れる。ゾクッとさせられる独特の雰囲気だ。実にいい。8シリーズの平均車両価格の約225万円よりも、いつまで市場で手に入るのかが気になるところだ。

▲2004年までリトラクタブルヘッドライトだった5代目コルベット ▲2004年までリトラクタブルヘッドライトだった5代目コルベット
▲8シリーズはV8エンジンの840とV12エンジンを積んだ850がある。2+2シーターだ ▲8シリーズはV8エンジンの840とV12エンジンを積んだ850がある。2+2シーターだ

リトラクタブルヘッドライト王国のイタリア製で狙い目となるのはX1/9

アメ車、ドイツ車も及ばないリトラ大国なのがイタリア。真っ先に思い浮かぶのはフェラーリであり「F355やF348あたりなら何とか射程距離だ」という方もいるだろうが、支払いを考えると少し大変だ(F348の平均価格は約489万円、その後継モデルのF355だと約875万円)。そこで、よりお手頃なフィアットX1/9をオススメしたい。

ザックリと言えばフィアット バルケッタの前身だが、FF(前輪駆動)のそれとは異なり、ミッドシップエンジンにウィッシュボーンのリアサスをもつ。平均車両価格は約262万円。フェラーリほどではないにせよ相応の高値を維持しているのが、根強いファンがいることを反映しているともいえる。

今回紹介した物件を見て、子供のころの“憧れ”を思い出した方には、熱冷めやらぬうちに、この「オトナの我儘」を叶えてほしい。

▲X1/9は開発コードがそのまま車名になっている。1972年から1989年まで製造された ▲X1/9は開発コードがそのまま車名になっている。1972年から1989年まで製造された
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  • Car:シボレー コルベット(4代目&5代目)&BMW 8シリーズ&フィアット X1/9
text/ブンタ