M・ベンツGクラス|伊達セレクション
写真上は日本へは正規輸入されなかったG300ターボディーゼル。正確な年式は不明だが90年代の写真と思われる。最新世代のGクラスとホイールなどの細部は異なるが、基本デザインは同一だ。写真下は70年代に描かれた初代Gクラスのデザインスケッチ。
M・ベンツGクラスデザインスケッチ|伊達セレクション
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200万円でもGクラスはGクラス

いきなり私事で恐縮だが、数年前、拙宅の隣にある一軒家にお住まいの方がメルセデス・ベンツ Gクラスの中古車を購入した。なぜ新車ではなく中古車だとすぐにわかったかといえば、それが230GEプレディカートという、1990年にはすでに絶版となっていたグレードだったからだ。

しかし、「あぁ、あれは現行のW463じゃなくて旧型のW460で、しかもプレディカートってのは今や200万円もしないぐらいで買えるんだよ」てなことを即座に考えつくのは筆者のような変態だけで、大多数の者は「このお車、ベンツのゲレンデ……でしたっけ? ステキですねぇ」ぐらいの感想になるものだ。実際、隣人の230GEプレディカートは世田谷の住宅街になかなか似合っていた。

当たり前だが本稿の目的は隣人の230GEプレディカートをクサすことではない。むしろ逆で、「手頃な価格のGクラス、イイじゃないですか!」ということだ。

まず、あえて低俗な観点で言えば、メルセデス・ベンツ Gクラスはその初代モデルから現在に至るまで外観デザインがほとんど変わらないため(もちろん、玄人目線で見ればいろいろ違うが、素人目にはほとんど同じ形だ)、多少古い年式の中古車であってもあからさまな“型落ち感”がない。それゆえ、購入時にボディの磨きとコーティングをしっかり行い、納車後もボディ表面をなるべく清潔にキープすれば、かなりの長期間「いい感じ」を保つのだ。

Gクラスは多少古めぐらいのほうが“本格感”がある?

そして第二に、GクラスはもともとNATO軍に制式採用された軍用車の民生版であるからして、その作りは基本骨格も外部パネルもおそろしいほどに本格感があり、多少の歳月でズタボロになることはない。もちろん、歴代オーナーの扱い方や販売店次第という部分もあるが、大切に扱われてきた感の強い個体を、Gクラス取扱い実績の多い専門店で買えば、ひどいことにはならないはずだ。

さらに第三のポイントとして、Gクラスの最新世代であるG65AMGロングなどのキラキラ感は確かにステキで、動力性能にも空恐ろしいものがあるが、しかしあのキラキラ感は“チャラチャラ感”と言い換えることもできる。好みや信条により意見の分かれるところではあろうが、筆者個人としてはGクラスはキラキラと夜の六本木などに乗りつけるよりも、多少古びたものを丁寧に磨き込み、そして朴訥に使い込むほうが「らしい」と思うのだ。

少々古めのGクラスを買うにあたっていくつかの注意点はある。作り的に特殊な部分もある車ゆえ、できれば専門店ないしはGクラスの取り扱い実績が豊富な店で探したほうが良いと筆者は考える。そして5Lエンジンを積むG500はそうでもないが、重量に対して非力なエンジンとなるG300/G320のロングは率直に言って激遅である。筆者はあまり飛ばさないタチなのでG320でも気にならないが、その部分が気になる人は最初からG500系オンリーで探すべきだろう。

ということで、今回の伊達セレクションはずばりこちら。
アンダー300万円で手に入れる“ゲレンデヴァーゲン”はどうでしょう!


文・伊達軍曹 text/Sergeant DATE