フィアット パンダ|伊達セレクション
「アコースティックCAR」というと様々な候補が考えられるが、最右翼のひとつはフィアットの初代パンダか。工業デザイン界の巨匠ジョルジェット・ジウジアーロ先生の筆によるそれは、あくまで実用的でありながらすべてがいちいち洒落ていて、大型キャンバストップの採用により車内と車外の境界がある意味曖昧。まさに風と光、そして音を常に感じることのできるアコースティックCARだ。
フィアット パンダ内装|伊達セレクション
●伊達軍曹公式サイト「伊達軍曹.com」
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自分のセンスに合う時代の車に乗れる。だから、中古車はすばらしい!

日経平均株価の爆上げや1USD=100円突破の円安などで好景気ムードが漂い、やれポルシェだフェラーリだランボルギーニだと浮かれ始めた世の中。それを何やらこう「なつかしのジュリアナ東京で大爆音のユーロビートを無理やり聴かせられている、アコースティック音楽好きな青年」のような心もちで、苦々しくとまでは言わないまでも、困惑して眺めている人もおられよう。

ダンスホール……という呼び方も死語かもしれないが、とにかくそういった場所で爆音ハイテンポの音楽に疲れたならば、そっとホールを出ればいい。っていうか、そもそもそういった場所に立ち入らなければいい。

車も同様だ。仮に時代の潮流が「ジュリアナ的なるもの」に傾いたとしても、「アコースティック音楽のような車」というのは常にあるものだ。いや新車には少なかったりもするのだが、中古車であれば、必ずどこかにそんな車がたくさんある。それが、年代不問で自由に選べる中古車というものの美点のひとつだ。

新車というのはどうしても「時代のムード」みたいなものに添った設計およびデザインになるが、中古車は違う。というか製造された年代により価値観とセンスはバラバラだ。それゆえ現代の風潮が自分にイマイチ合わないと思ったならば一人で勝手に時間をさかのぼり、自分のセンスに合うどこかの年代の、どれか1台を選べばいいのだ。すばらしいじゃないか、中古車!

風と光をごく普通に感じられるという、ある種の贅沢

「センス的にイケイケじゃない人のための、まるでアコースティック音楽のような車」という説明もやや抽象的すぎるため、とりあえず筆者が具体的に選んでみたのが下記物件リンクである。

リンクされた物件に共通するものを強いて言葉で表現するならば、「風と光、そして適度な速度感を、ごく当たり前に感じられる車たち」といったところだろうか。若干ポエムな表現で我ながら少々恥ずかしいが、しかし実際、やたらAピラーが寝ていて密閉感もウルトラ高い現代の車では、風やら光やらをごくフツーに感じるのは意外と困難だったりするものだ。

下記リンクはあくまで筆者個人の好みと主観に基づく選定でしかないため、あとはご自身で検索車種を適宜入れ替えていただけると嬉しい。そして実際にアコースティックな車をどれか1台購入し、「爆音テクノ」ばかりが鳴り響く世の中を、ノラ・ジョーンズさんあたりのような感じで飄々と、涼しげに走っていただけたなら、さらに嬉しい。

ということで、今回の伊達セレクションはずばりこちら。
この時代、あえてアコースティックな音楽のような車はいかが?


文・伊達軍曹 text/Sergeant DATE