【伊達セレクション】異端の中古車評論家・伊達軍曹、空冷911の買い方を提案する
カテゴリー: クルマ
タグ: EDGEが効いている / EDGE SELECTION
2012/09/21
http://www.sgt-date.com
空冷911の購入は「給料逆天引き発想」で
「ポルシェ911は空冷に限る」というのもあまりにアナクロな思い込みで、時代は水冷911の天下である。不肖伊達、古めの輸入中古車を専門とする書き手ではあるが、いちおうは最新911の試乗もしており、そのうえで言う。やはり最新のポルシェは素晴らしい。武田騎馬軍団のように突進し、そしてUFOのように曲がる。アレは旧世代の空冷911ではちょっと真似できない芸当だ。
しかしそれでも、個人的な嗜好から、自分が買うならばやはり空冷であり、実際、2年ほど前まではタイプ964のカレラ2に乗っていた。で、わたしと似た感じの嗜好をもってらっしゃる方もそれなりに多いだろうと推測している。
ベテラン空冷ユーザーの方にはわたしごときから言うべきことは何もないが、「これから初めて空冷911を買ってみたい!」とお思いの方に対しては、ちょっとしたアドバイスがある。
それは「給料逆天引き発想購入術」というものだ。
オイル漏れ修理費用コミで車両予算を考える
空冷911を初めて買う方が不安に思うのが「オイル漏れ問題」だろう。様々な媒体が「空冷911はどこどこからオイルが漏れる」「その場合の修理費用は○×万円が目安」などと不安をあおっている。まぁそれはあおっているというか、実はほとんどそのとおりで、99.9999%の確率であなたはオイル漏れを経験するだろう。で、そのときの修理費用が心配でたまらない、と。
問題の解決策はいたってシンプルだ。オイル漏れ修理にかかる金額はケース・バイ・ケースだが、ざっくり「最大100万円ぐらい」というのが1つの目安。で、その100万円を、初めからインクルードして物事を考えるのだ。逆天引き発想である。つまり支払総額300万円のタイプ964があったとしても、「いや、この車はそもそも400万円なのだ!」と無理やり脳内でイメージし、そのうえで購入計画を練る。そうすれば、仮に途中何かが起こったところで屁でもないではないか。
とはいえ「100万円は無理だよ・・・」と思う方もいるかもしれない。そういった方には、さらに2つのアドバイスをさせていただきたい。
まず第一に、「空冷911は、そのぐらいの整備予算はプールしておくことが必要な頃合いになりました。もしもそれが無理ならば、酷なようですが空冷の購入はやめといたほうがいいでしょう」ということ。そして第二に、「とはいえ実際は100万円もかからないケースは多いですよ」という、身もフタもないリアルだ。
前述のとおりオイル漏れ自体は99.9999%の確率で発生するが、オイル漏れ修理=必ず100万円ではない。オイルの補充だけで乗りきれるケースもあるし、補機類からの漏れならば、おおむね30万円ほどで修理できることも多いのである。
つまり、本当に必要なのは100万円というお金そのものではない。それを用意し、そして最初から勘定に入れるという「覚悟」こそが、空冷911を買うにあたって最低限必要なものなのだ。言い換えるならば「空冷愛」。それさえあれば、空冷911の維持はある意味楽勝である。(※とはいえ年式的に何かとコマゴマ壊れるとは思いますよ!)。
ということで、今回の伊達セレクションはずばりこちら。
車両プラス100万円か、もしくは「愛」があればOKな空冷911はいかが?
日刊カーセンサーの厳選情報をSNSで受け取る
あわせて読みたい
- 西川淳の「SUV嫌いに効くクスリをください」 ランボルギーニ ウルスの巻
- EVハイパーカーメーカー「リマック」が今熱い!従来のスーパーカーを猛追するクロアチアの新星【INDUSTRY EDGE】
- 【功労車のボヤき】「オペルとは思えないほどイカしてる!」というトホホな褒め言葉に涙した日もあったけど……。オペル一族の逆襲!?
- 【試乗】メルセデス・ベンツ 新型Sクラス│”新時代の車”を堪能できるラグジュアリーセダンの最高峰!
- ドア開閉音からも分かる卓越したビルドクオリティ、空冷時代だからこそ生きたポルシェの技術力
- 【試乗】新型 フォルクスワーゲン T-Cross│「TさいSUV」はハッチバックよりもどこが欲張りか? 実際に乗って考えた
- 今はもう中古車でしか味わえない高純度FR、国産を代表するミドルセダンのレクサス GS【Back to Sedan】
- 世界で3社しか市販していないレアなFCVの1台、トヨタ MIRAIのドライブフィールに注目! 【EDGE’S Attention】
- 【試乗】新型 アウディ A4 アバント│実用性の高いアバントボディがクアトロらしい俊敏な走りとマッチし、絶妙にバランスがとれた逸品
- アルピナ B8 4.6リムジン。それはある意味「永遠の命」をもつ希少名車だった。【NEXT EDGE CAR】