’66 FORD MUSTANG
カテゴリー: クルマ
タグ: EDGEが効いている / VINTAGE EDGE
2012/01/23
車には「憧れ」が大事だと教えてくれる車だね
1964年のデビュー時はクーペとコンバーチブルの2種類で、1965年から特徴的なルーフラインを持つファストバックを追加。エンジン、トランスミッション、快適装備など、あらゆることが選択可能な「フルチョイスシステム」を採ったことも大ヒットの要因となった。以後、同じ手法、同じカテゴリーのライバルが登場し、「スペシャリティカー」という新しいジャンルを作り出した。
徳大寺 今日見に行くお店はどこだ?
松本 “BUBU横浜”さんです。前に初期型のカマロを見に行った1960年代のアメ車が揃ったお店ですよ。
徳大寺 よく覚えているよ。アメリカ車を熱心に集めているお店は貴重だからな。
松本 今回はそのBUBU横浜さんにある、フォード マスタングです。
徳大寺 楽しみだな。ところで前にここで見た初期型のカマロあっただろう。GMがカマロを作ったのは、マスタングが空前の大ヒットとなって慌ててマスタング風なモデルを作ったんだ。だけど本家本元のマスタングのほうがネームバリューが轟いているのは君も知ってるだろ。
松本 もちろんです。子供の頃は“ムスタング”と言っていましたね。実は我が家にもあったんですよ。コンバーチブルで白いマスタングが。おそらく1965年の初期型じゃないかと。ATのセレクターレバーとダッシュボードの間に純正のクーラーも付いていて、吹き出し口も格好良かったのをよく覚えています。
徳大寺 当時はクーラー付きというだけでも「すごい」という時代だったからね。マスタングはさまざまな装備を自由に選べるフルチョイスシステムを採用していたんだよ。車両の本体価格を抑えて購買意欲を誘う戦略だな。単なるレトロフィットではなくマスタング専用の純正オプションを豊富に揃えてユーザーの細かな要望に応えたんだ。これを参考にして、後にトヨタがセリカで同じ方式を採っていたね。
松本 現在、さまざまな仕様の車がある理由はそこにある訳ですからね。さて、こちらが今回の車です。1966年式の初代マスタングクーペ。横にももう一台、ワンオーナーのリペイントされていないクーペがありますね。こっちもオリジナリティが高くていい感じです。
徳大寺 マスタングと言えば、やっぱり1964年から1967、1968年までのファーストシリーズだろう。綺麗な赤だな。「男と女」に出てたマスタングも赤だったよな。
松本 ですね。1964年当時発売と同時に2万台のオーダーが入ったと言われるだけあって今見ても独自のカッコ良さがありますね。マスタングの開発責任者である“リー・アイアコッカ”は、後にフォード社の社長になりますが「商品が良ければ、優れたマーケッターは必要ない!」と言っています。
徳大寺 その後アイアコッカはクライスラーの社長に就任してクライスラーを救ったんだ。すごい男だよ。その豪腕が作ったマスタングは1年間で約42万台が販売されたんだ。
松本 マスタングには3種類のバリエーションがありますね。販売当時の1964年に2ドアハードトップクーペ、これが今回の車ですね。そしてコンバーチブル、1965年からは映画「ブリッド」やシェルビーGT350でもおなじみのファストバックも追加されたんですね。
徳大寺 僕は1966年、GT350を作ったキャロル・シェルビーに会いにアメリカに行って、フォードの招待でル・マン24時間を見に行ったんだ。
松本 夢のような話ですね。その時にパリでGT40に乗ったというのは本当ですか?
徳大寺 本当だよ。当時、フォードはル・マンに8台のワークスGT40を出場させたんだけど、そのときはヘンリー・フォード2世もイタリア人の奥さんと一緒だったんだ。フォードは1~3位まで独占して宿敵フェラーリに勝つことが出来た。このGT40は純レーシングカーだからね。発表当時の1964年はマスタングのV8と同じブロックで289キュービックインチ(4.7L)の排気量でチューニングされたんだ。だからマスタングの289は由緒正しいんだよ。
松本 なるほど。発売当時のマスタングは2.8L直列6気筒と4.3LV型8気筒がありましたね。
徳大寺 エンジンのバリエーションもそうだけど、ブレーキもディスクブレーキ、センターコンソールといった細かいところまでチョイスが可能だったんだ。フロントグリルの内側にフォグランプが付いたモデルもあって確かGTフォグランプだったかな。
松本 映画「男と女」はマスタングのためにある映画ですけど、これに出てたマスタングのコンバーチブルは恐らくGTコンバーチブルだと思います。ドア下の部分にGT専用のデカールが張ってありますからね。
徳大寺 君も好きだな(笑)。フォードはこの映画に感謝しなくちゃな。車は人の憧れを作らなくてはいけないんだよ。今も、これからの車もそのことを忘れてはいけないんだ。
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