ダイナミックな動力性能や運動性能を重視した
セドリック/グロリアに代わる日産の高級スポーティセダン

日産 フーガ|人気車購入ガイド

コンセプト
走行性能を際立たせてライバルと一線を画す

セドリック/グロリアに代わる高級セダンの中核として、H16年に投入されたのがフーガ。セド/グロが国内専用車だったのに対し、フーガはインフィニティブランドでも販売されるグローバルカーとして生まれた。車名は、クラシック音楽の楽曲形式「フーガ」に由来する。
日産車らしさを明確化し、欧州車との競争力を高めるため、ダイナミックな動力性能や運動性能を重視した性格づけを実施。コンセプトは「高級車のパフォーマンスをシフトする」とし、国内市場では、快適性や華やかさを重視するライバルのクラウンとの違いを際立たせた。
サイズ的にもクラウンより若干大きく、2900mmというホイールベースは日産のセダン最長。全高も1510mmとライバルより4~5cm高く、居住空間の広さは1クラス上をいく。
グレードはGT系と高級仕様のXV系でスタートしたが、現在はGT系に統一されている。

メカニズム
前期と後期で異なる2.5L/3.5Lエンジン

プラットフォームはV35系スカイラインのFR-L型をベースとするが、サスペンションは新設計。フロントにダブルウィッシュボーン、リアにマルチリンクを採用し、サブフレームからアーム類に至るまでアルミ製という贅沢な仕様だ。
エンジンは2.5Lと3.5LのV6のほか、4.5LのV8も用意される。V6の2機種は、H19年12月のマイチェンで高回転まで回るVQ25/35HRに換装された。
トランスミッションは全車5速ATで、マニュアル変速モードを装備。運転操作や走行状況を検知し、ドライバーの意図に反する変速を抑える「アダプティブ・シフトコントロール」機能や、シフトダウン時にスロットルバルブを開けて回転合わせをする「シンクロレブ・コントロール」機能が採用された。
このほか、スポーツパッケージは、後輪を操舵する「リア・アクティブステア」と19インチタイヤをセットで装備している。

エクステリア&インテリア
安定感と空力特性を両立させたエクステリア

名前こそ変わったが、フロントグリル上部のデザインや、ボンネットを前後に走るキャラクターラインが、どこかセドリック/グロリアを思わせる。
背の高いプロポーションながら不安定さを感じさせないのは、長いホイールベースに加え、大径のタイヤを採用したことによるもの。特にスポーツパッケージに用意される19インチホイールは、国産車として初採用となる大径サイズだ。
空力性能は高く、CD値は0.28を実現。フロントの揚力係数はゼロで、中高速域での操縦安定性向上にも寄与している。
内装では、インパネのデザインが特徴的。センタークラスター中央部が上を向いており、空調やナビのスイッチはダッシュボードに手首を乗せ、パソコンを打つように操作できる。
2.5Lおよび3.5Lエンジン搭載車の木目“ 調”パネルは、H18年5月の一部改良で本木目にグレードアップした。

インプレッション
ドライビングプレジャーを味わわせてくれる一台

欧州車的な硬質感とダイレクト感が、フーガの乗り味。しっかりとしたステアリングフィールから豊富なインフォメーションを感じつつ、車と対話するドライビングが楽しめる。
乗り心地にもソリッド感があり、路面の凹凸には忠実に反応。角のある突き上げはないため不快ではないが、この車がドライバーズカーであることを認識させられる乗り味だ。後席に人を乗せる機会が多い人は、XVかタイプP系を選ぶと良い。
優雅に走るなら2.5Lでも不足はないが、フットワークの良さを存分に味わいたいなら、3.5Lエンジン車がおすすめだ。
バイヤーズガイド
狙い目グレード
H17年式の350GTが最も豊富で探しやすい
予算をできる限り抑えたい場合は、H16年式、H17年式がオススメ。相場が安く、運が良ければ350GTスポーツパッケージが210万円程度という場合もある。また、探しやすさでもH16年~ H1年式が◎。特に流通量が最も豊富なH17年式なら、気に入った一台に出会えそうだ。グレード別では、350GT&スポーツパッケージが全年式中で最も豊富。なお、4.5L車はかなり少ないので、どうしても欲しい場合は辛抱強く探したい。
購入時のチェックポイント
走り込まれた可能性も考慮して念入りに確認を
丁寧に乗られた物件が多いものの、特にGT系はスポーツ走行に使われていたケースがある。可能であれば実際に試乗して、乗り心地などを確認したい。また、リコール関連情報はいくつか発表されているが、その一つは運転席側のパワーウインドウスイッチの不具合。これは、H16年10月からH17年3月までに生産された車両の一部に見られるものだ。該当物件の場合は対策品と交換されているかを、整備手帳で確認しておこう。
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↑流れるようなルーフラインがスポーティさを、ワイドトレッドと大径タイヤが安定感を醸し出している。写真はXVで、多用されたクロムモールが特徴
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↑リアコンビランプの形状が個性的。マフラーは大容量化により、静粛性と高出力化を両立している。2本出しとなったことで、パワフルな印象だ
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↑幅広のセンタークラスターを採用。前方に配したモニター部とピアノタッチと呼ばれるスイッチレイアウトにより、開放感を与えるデザインとなった
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↑数々のITS装備を設定。オプションのインテリジェントクルーズコントロールは低速追従機能付きで、約40km/h 以下でも先行車との車間距離をキープ