【乗るならラストチャンス!】「あ、ガルウイング!」 伝説の名車トヨタ セラ
2016/01/28
路上オーラはスーパーカーに匹敵。室内が丸見えなのはご愛嬌
バブル絶頂だった1987年。東京モーターショーに突飛とも言えるコンセプトカーが出展されました。その名はAXV-II。出展したのはトヨタです。丸い宇宙船のような形でドアから上がすべてガラスエリアに。しかもドアはスーパーカー世代憧れのガルウイング!
AXV-IIは当時の車雑誌はもちろん、一般誌でも大きく取り上げられることに。筆者は当時高校2年生でしたが、POPEYEかHot-Dog PRESS(すみません。どっちだったかは忘れました……)の記事内に描かれたイラスト(リアハッチを開けてカップルが車内から釣りを楽しみ、そのまま車の中で「ムフフ」な展開に持っていく)を見て「これだ!!!」と大興奮したのを30年近くたった今でも鮮明に覚えています。
さらに驚いたのはこのAXV-IIがほぼそのままの形で市販化されたこと。それが1990年3月に登場したセラです。この頃、ボンボンの友達は親から買ってもらったS13シルビアQ’sや3rdプレリュード(BA5)などのデートカーで女の子を誘いまくっていました。しかしセラのおかげでそれらは一気にかすむことになります。
だってガルウイングですよ。路上で、駐車場で助手席からきれいな女の子がドアを上げて降り立つと、20代の若者はもちろん、子供からおじいちゃんまで歩道でどよめきました。スターレットをベースに開発されたセラですが、路上オーラはスーパーカーと肩を並べるほど。一般庶民は「安い中古車が出てきたら絶対に買うぞ!!」と心に誓ったのです。
世代を超え、日本中で話題になったセラですが、生産期間は1990年3月~1994年12月と思いのほか短く、フルモデルチェンジも受けずに幕を閉じました。広大なガラスエリア+ガルウイングという組み合わせはパーツを他車と共用できないため採算を取るのが難しかったという事情もあったと思います。さらに車内が丸見えなので欲しいと思ってもいざ買う段階でちゅうちょしてしまう人も多かったのでしょう。
さらに90年代中盤以降はミニバンやステーションワゴンなど実用性の高い車が流行していきます。筆者もいつしかセラに対する熱い思いは消え、別の車で女の子をスノボや海に誘っていました。セラはある意味、お笑いで言うところの“出オチ”のような存在だったのかもしれません。
21世紀になってもフレッシュ! 街で目立ってみる?
そんなセラですが、登場から30年近くたった現在、にわかに注目を集めているのをご存じですか? 90年代にガルウイングを見て燃えていた若者たちがおじさんになり、乗るなら最後のチャンス! とばかりに中古車を物色しているんです。
昨年、ある取材で某お笑い芸人さんに話を伺ったときも、乗りたい車として真っ先に名前が挙がったのがセラ。「友達がセラに乗っていて、『羽根みたいなドアや!』と感動したんです」と言い、状態がいい中古車があればぜひ欲しいと話していました。カーセンサーで連載を担当しているスチャダラパーのBoseさんもセラに興味津々です。
車好きがひそかに注目しているセラ。2016年1月22日現在、カーセンサーnetに掲載されている中古車台数は9台です。
一般的な中古車のドアはヒンジ式なのでボディにゆがみなどがなければ年数がたっていても開閉に苦労することはありません。しかしガルウイングのセラはドア開閉に左右2本ずつのダンパーを用いています。これがヘタっていると開閉に苦労するので、購入時には何度かドアを開け閉めしてヘタりがないか確認しましょう。また古い車だけにタイミングベルトの交換歴も要チェック。
トランスミッションは4ATと5MTがあります。コンセプト的にガルウイングの雰囲気を楽しむモデルなので、ATでも十分車の良さを堪能できるはずですよ。
セラはガルウイングだけでなくオプション設定されたスーパーライブサウンドシステムも話題になりました。ファンキー、カジュアル、ハイファイの3モードで音響をコントロールするシステムですが、搭載されてる中古車はほとんどありません。憧れの装備がどうしても欲しい人は見つけたら即買いで!
セラの後、カスタムカーでガルウイングが流行った時期もありますが、メーカー純正でガルウイングを最少した国産車は1992年10月に登場したマツダ AZ-1しかありません。輸入車でも一部のスーパーカーなどごくわずかです。それだけにセラの鮮度は今でも十分!
現在はガルウイングのダンパー交換などを施した中古車が見つかりますが、今後はパーツ自体の供給がどうなるかわかりません。「あのときの感動をもう一度味わいたい」と思う人は、今がラストチャンスです! 街でガルウイングを開け、思い切り目立ってみませんか!?
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