▲2009年10月に登場した現行フォルクスワーゲン ポロ。新車価格は200万円を軽く超えますが、最近は100万円以下の中古車も続出。その安値の原因はマツダの現行デミオにあるとかないとか? ▲2009年10月に登場した現行フォルクスワーゲン ポロ。新車価格は200万円を軽く超えますが、最近は100万円以下の中古車も続出。その安値の原因はマツダの現行デミオにあるとかないとか?

本来ならポロを買うはずの層が現行デミオに流出した?

「さしあたってどうしても車が必要なので何かを買おうと思う。予算はとりあえず100万円ぐらい。で、本当はちょっとこじゃれた輸入車がいいんだけど、その予算じゃ無理だろうなぁ……」と考えている人もいるでしょう。たしかに、「ちょっとこじゃれた輸入車」で比較的高年式なモノは値が張るのが一般的です。しかし、あきらめる必要はありません。実は今、現行フォルクスワーゲン ポロの2011~2013年式がかなり安くなっていて、本体価格100万円以下でも十分狙える状況なんです。

相場の中心はまだまだ120万~150万円付近なのですが、最近は前述のとおり車両価格100万円以下の物件もけっこう出回るようになってきました。それも「過走行で、正直ちょっとボロい……」というような物件や、TSIエンジン(効率的なダウンサイジングターボエンジン)を採用していなかった超初期モデルではなく、走行5万km以下のTSIエンジン搭載車が100万円以下で狙えるようになっているのです。

▲2009年10月登場の最初期グレード「1.4コンフォートライン」だけは普通のエンジンを積んでいましたが、2010年6月以降はすべてのグレードがフォルクスワーゲン自慢のTSIエンジンを採用しています ▲2009年10月登場の最初期グレード「1.4コンフォートライン」だけは普通のエンジンを積んでいましたが、2010年6月以降はすべてのグレードがフォルクスワーゲン自慢のTSIエンジンを採用しています

安値の理由は、あくまで推測ではありますが、現行マツダ デミオの存在です。本来はポロに流れるはずの層の一部がデミオに流れた結果、現行フォルクスワーゲン ポロの中古車相場が崩れたのだと考えられます。

車に詳しくない人からすると「なんか最近、マツダのTVコマーシャルとかディーラーの建物とかがおしゃれになった気がするなぁ~」ぐらいの印象かもしれませんが、車好き、特に輸入コンパクトカーが好きな人間からすると最近のマツダ車は「衝撃」でした。

それまでは輸入コンパクトカーの特権と思われていた「センスの良い内外装デザイン」「クラスを超越した走行性能」が、いきなり“特権”ではなくなったのです。そして「……マツダ車のデザインとか走行性能ってもはやヨーロッパ車と同等っつーか、もしかしたら上じゃね?」ということに輸入コンパクト愛好家が気づいた結果、全員ではありませんが、けっこうな人数が現行マツダ デミオに流れたと思われます。その結果として、前述のとおり現行フォルクスワーゲン ポロの中古車相場が若干崩れ、「本体価格100万円以下でも好条件な物件が狙える」という状況が現出したのです。

▲ビジュアルも走りも下手なヨーロッパ車より断然格上といえる現行マツダ デミオ。それまで頑なに輸入車にこだわっていたユーザーの一部が思わず「改宗」し、デミオ購入に走ったと思われます ▲ビジュアルも走りも下手なヨーロッパ車より断然格上といえる現行マツダ デミオ。それまで頑なに輸入車にこだわっていたユーザーの一部が思わず「改宗」し、デミオ購入に走ったと思われます

購入時は7速DSGの整備履歴と状態をチェック

本体価格100万円以下で狙える2011年式以降の現行フォルクスワーゲン ポロ(修復歴なし、走行5万km以下)を具体的に見てみますと、1月22日現在の流通台数は全国で38台。そのうち最も多いのが最廉価グレードである「TSIコンフォートライン」ですが、上級グレードの「TSIハイライン」や、自動アイドリングストップ機構などが付いた「TSIコンフォートライン ブルーモーションテクノロジー」もそれなりの数が流通しています。

グレード選択としては気に入ったモノ、ご縁があったモノを選べばそれでいいと思いますが、基本的には最廉価仕様の「TSIコンフォートライン」でも何ら問題ないはずです。「最廉価」といっても、それは豪華装備になっているのが当たり前の日本仕様の中では……という話で、本国の最廉価グレードと比べれば十分以上の快適装備が初めから付いています。よほどのことがなければ不満に感じることはないでしょう。もちろん、装備がより充実している「TSIハイライン」の良質物件を似たような価格で見つけることができたなら、それを選ぶに越したことはありませんが。

▲細部のデザインや質感も小型車離れしている現行ポロのインテリア。写真はTSIハイライン ▲細部のデザインや質感も小型車離れしている現行ポロのインテリア。写真はTSIハイライン
▲こちらの写真もTSIハイライン。サイドのサポート性が高いスポーツシートが採用されています ▲こちらの写真もTSIハイライン。サイドのサポート性が高いスポーツシートが採用されています

具体的な物件の選び方は、内外装のコンディションやエンジンの作動状態、整備履歴をしっかり確認するという「中古車選びの基本」にのっとるのは当然として、それに加えて「7速DSG」というトランスミッション(変速機)の状態も確認するようにしてください。

DSGというのはフォルクスワーゲンの商標で、一般的にはDCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)と呼ばれる非常に便利なトランスミッションなんですが、フォルクスワーゲンの7速DSGは14年1月にリコールを受けています。対策部品に替えるというリコール作業をきちんと受けた個体かどうか? またすでにリコールを受けていたとしても、現状、変速時に異音やショック、振動などが生じていないかだけは、必ず確認するべきです。

▲2012年12月6日~2013年9月17日に輸入されたポロは7速DSG制御プログラムのリコールを受けています。リコール作業が済んでいるか、また変速に不具合がないかだけはしっかり確認を ▲2012年12月6日~2013年9月17日に輸入されたポロは7速DSG制御プログラムのリコールを受けています。リコール作業が済んでいるか、また変速に不具合がないかだけはしっかり確認を

まぁ逆にいえば、ココさえ大丈夫なら「本体価格100万円以下のフォルクスワーゲン ポロ」というのはかなりお買い得な存在です。とてもじゃありませんが100万円以下で買える車とは思えないほどの動力性能と良好すぎるハンドリング性能、そして内外装のステキな質感を、あなたは数年間にわたって堪能することができるでしょう。7速DSGのことがどうしても心配でしたら、業界随一の保証内容を誇る「カーセンサーアフター保証」を付帯させるという手もあります。

現行マツダ デミオの新車もかなりステキですが、その間隙を縫う形で(?)100万円以下になった現行フォルクスワーゲン ポロにも、ぜひご注目いただけたら幸いです。

text/編集部
photo/フォルクスワーゲン グループ ジャパン、マツダ