初代メルセデス・ベンツSLKは優雅だ!(しかも100万円以下と好コスパだ!)
カテゴリー: クルマ
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2015/10/15
総額100万円以下で堪能できる最高レベル(?)の贅沢
輸入中古車評論家を自称するわたしだが、自慢じゃないがカネはない。いや日々の生活に困窮するほど貧乏しているわけではないが、「クレジットカードは変に見栄を張らず、年会費無料のやつだけを作る!」と固く心に決めながら、ニッポンの中流ど真ん中を生きている。
しかしそんなわたしにも「たまには優雅なひとときを味わいたい」という欲望は当然ある。何ごとも節約一本やりでは疲れてしまうし、セコいばかりの毎日では生きている意味もない。
で、自動車生活においては「オープン2シーターがある生活」こそが「優雅なひととき」の代表格であるように思うわけだが、優雅なオープン2シーターは優雅であるだけに非常にお高い場合が多い。具体的な例を挙げるなら、メルセデス・ベンツ SLクラスは一番安いやつでも新車価格1248万円であり、アストンマーティンV8ヴァンテージロードスターは1677万円であるという。
……ふざけているのだろうか? オレのことをナメてるのか? いや、メルセデスおよびアストンマーティンの両社はふざけているわけでもナメているわけでもなく、単にわたくしのような者は相手にしていないだけなのだろう。両社とわたくしとでは、いろいろなモノの「カテゴリー」が異なるのだ。
よろしい。それならそれで、わたくしは自らのライフスタイルならびにおサイフに見合ったオープン2シーターを探すのみである。当然、探すフィールドは新車市場ではなく、目の前に広がる広大な輸入中古車市場だ。
……などと独り言をつぶやいているうちに、「それ」はあっという間に見つかった。メルセデス・ベンツが1997年から2004年にかけて販売した初代SLKクラスである。
ご存じの人も多いと思うが、初代SLKはSLKクラスの初代であるだけでなく、バリオルーフ(電動開閉式ハードトップ)を採用した初めてのメルセデスでもあった。搭載エンジンは2.3L直列4気筒DOHCのコンプレッサー(スーパーチャージャー)付きで、2000年11月からの後期型では3.2Lの自然吸気V6SOHCエンジンも追加された。
そんな初代SLKは新車当時495万円(SLK320は610万円)となかなかのお値段を誇るオープン2シーターだった。しかし、今ではカーセンサー掲載物件の平均車両価格が約64万円(2015年10月13日現在)、ボリュームゾーンがおおむね45万~90万円という、まごうことなきお手頃車として市場に君臨している。いや君臨しているかどうかは知らないが、「手頃で優雅な輸入オープン2シーター」として、それなりの人気を博している。
そう、初代SLKは「優雅」なのだ。
ボディ形状がなんとなくスポーティなせいで「初代SLK=スポーツカー」という誤解をしている人もいるかと推測しているが、実際の初代SLKの走りは非常に鷹揚(おうよう)である。遅いとかトロいというわけでは決してないのだが、速く俊敏に走りたいのであれば、同世代のドイツ製オープン2シーターだったBMW Z3や、後の世代の初代Z4あたりを選んだ方が良いだろう。
初代SLKは全然遅くはないのだが(※わたし数年前、実際に乗ってました)、ゆるりと鷹揚に加速し、そしてゆるりと鷹揚に(しかし確実に)曲がる。つまり初代SLKとは「往年のメルセデスのマナー」をその身に備えたオープン2シーターであり、それがたまたまスポーツカー的フォルムをまとっているだけなのだ……と思っておけば、その全貌はほぼつかめたも同然だ。
もちろん小ぶりで(比較的)軽量な車であるため、ただただ鷹揚なだけではなく、ドライバーはそれなりに小気味の良い走行感触を楽しむことができる。
このあたりが非常に絶妙なのだ。
つまり、「オープンカーとは目を三角にして高速道路を違法速度でぶっ飛ばすためのものではなく、洒落た街並みや海岸沿いなどを優雅にのんびりと、でも場合によっては小気味良く快走するためのものである」と定義している者にとっては、下手に俊敏で高出力すぎるオープン2シーターよりもかえって好ましかったりする……ということだ。
そのようにステキきわまりない初代SLKがおおむね45万~90万円。もはや古めの車ゆえ、素性の良い個体をじっくり選ぶ必要があるのは言うまでもなく、燃料ポンプ&フィルターなどを納車時にケアする必要はあるが、それでもなお「メルセデス・ベンツの初代SLKは優雅でステキなオープン2シーターであり、人生全体から見て好コスパな1台である」と言い切りたい筆者なのであった。