▲愛くるしさ満点のフロントフェイス ▲愛くるしさ満点のフロントフェイス

「四輪メーカー ダイハツ」の華麗なるデビュー作

原稿執筆時点でカーセンサーnetに1台のみ掲載されている希少車をご紹介します。今回、2014年9月17日に発見したのは「ダイハツ コンパーノ」です。イタリアのカロッツェリア(コーチビルダー)、アルフレード・ヴィニャーレがデザインを手がけたもので1963年、ダイハツが初めて投入した四輪乗用車でした。

全長3800mm、全幅1445mm、全高1410mm(前期型)と昨今の車と比較すると極めてコンパクトですが、当時のカタログには「中型車並みの広さ」とうたわれていました。また、ちょっと面白いのは「スポーツカーと間違えないでください」とまでうたわれていたことです(笑)。

ウインドウはほぼ直立で高さが確保されているので車内はサイズの割に広く感じられます。また、当時のフルサイズ・ゴルフバッグが4つ入るラゲージなど、コンパクトなボディながら積載性は抜群です。

▲ほぼ直立のウインドウの他にもボンネットやトランクの低さが個性的 ▲ほぼ直立のウインドウの他にもボンネットやトランクの低さが個性的

デビュー時、アルミ合金のシリンダーヘッドをもつ800㏄の直4エンジンを搭載し、最高出力は41ps、0→60㎞/hは10.7秒で最高速度は110㎞/hでした。当該中古車は1969年式の後期型で、エンジンの排気量は1Lになっています。このスペックが約半世紀前の車であることを雄弁に物語っています。

この頃、トヨタ パブリカや日産 ブルーバードはモノコックボディを採用していましたが、コンパーノはラダーフレームでした。明言こそされていませんが、おそらく派生車種への展開しやすさを重視したのでしょう。事実、コンパーノはセダン、ワゴン、バン、コンバーチブルと展開されました。

当該中古車、残念ながらホイールは社外のものに交換されているようですが、写真を見る限り45年前の車にしては程度は上々のようです。このまま乗ってもカッコいいですし、コツコツとリフレッシュしていくのも楽しいでしょう。

▲全幅が1410㎜しかないため、運転席と助手席はベンチシート並みに接近しています ▲全幅が1410㎜しかないため、運転席と助手席はベンチシート並みに接近しています

めったに見かけることのない車なので、コンパクトながら存在感があります。今見ると愛くるしい雰囲気ですし、まわりとの差別化を図るにはうってつけです。コンパーノは決して高級車ではなかったので、歴代オーナーが廃車処分しなかったことは奇跡に近いと言えます。

もはや中古車というよりもアンティークです。中古車相場は存在しないので、車両本体価格50万円を高いと捉えるか安いと捉えるかは人それぞれでしょう。個人的にはこれほど存在感あふれる車を車両本体価格50万円で手に入れられると思うと安く感じます。

もちろん、新しい車よりも部品調達に苦労したり、メンテナンスに気を使うかもしれません。でも、手間のかかる子ほどかわいいのは車でも同じだと思います。

50万円で始めるクラシックカーライフ…憧れます。

■本体価格(税込):50.0万円■支払総額(税込):60.0万円
■走行距離:6.8万km ■年式:1969(S44)
■車検: 2016(H28)年8月 ■整備:無 ■保証:無
■地域:岩手

text/古賀貴司(自動車王国)