▲A4よりも膨らんでいるフェンダーには255/35R19サイズの極太大径タイヤが収まっています ▲A4よりも膨らんでいるフェンダーには255/35R19サイズの極太大径タイヤが収まっています

0→100㎞/h加速は4.8秒! まさに羊の皮を被った狼です

原稿執筆時点でカーセンサーnetに1台のみ掲載されている希少車をご紹介します。今回、2014年8月19日に発見したのは「アウディRS4」。アウディのスモールセダンであるA4がベースですが、まるでボディビルダーのようなマッチョな車です。

極太タイヤが収まるフェンダーの膨らみや、いぶし銀のドアミラー、フロントマスクに設けられているエアインテーク、ラジエーターグリルに申し訳程度に付けられた「RS4」のマーク。どれもあからさまではなく、どこまでも控えめです。

ドアを開けると、フロントシートはサイドサポートが大きく張り出したレカロ製本革バケットシート。座る人の身体を受け止めるという実利だけでなく、ドアを開けた瞬間に気分を高揚させる秘策のような気がします。物凄い存在感です。

ボンネットに収まるエンジンは、最高出力420ps、最大トルク430N・m(43.8kg-m)を叩き出す自然吸気の4.2L V8です。0→100㎞/h加速は4.8秒なので、ポルシェ 911カレラ(旧型)よりも速く、ポルシェ 911カレラS(旧型)と同等という、瞬足ぶりです。

▲抜群の加速性能とスピードを支えるのは、8ポットキャリパーをもつブレンボ製ブレーキ。サーキット走行も難なくこなします ▲抜群の加速性能とスピードを支えるのは、8ポットキャリパーをもつブレンボ製ブレーキ。サーキット走行も難なくこなします

アウディの4WDシステム「クワトロ」が搭載され、必要に応じて前後へトルクを配分します。さらにDRC(ダイナミック・ライド・コントロール)というサスペンションが採用されています。これは対角線上のダンパーのオイルをパイプでつなぐことで、電子デバイス抜きに前後のピッチングやロールを抑えるもの。4WDと相まって、4輪が路面を“掴む”ような走りを実現しています。

昨今の省燃費、低排出ガスを意識したエンジンの小排気量化、過給機を用いた高効率化は大変結構なことです。でも、自然吸気エンジンならではのアクセルペダルの踏み込み量に応じた忠実なパワーアウトプットを味わうと「やっぱり良いなぁ」とシミジミします。おまけにMTですから、すべてはドライバーと車の“対話”次第です。

▲エクステリアは控えめなのに、ドアを開けるとレーシングカーのようなシートがお出迎え。高揚感を誘います ▲エクステリアは控えめなのに、ドアを開けるとレーシングカーのようなシートがお出迎え。高揚感を誘います

当該中古車、新車時登録から8年が経過していますが走行距離は3.5万kmと少なめ。ドライバーズシートは若干使用感がありますから、走行距離の割に乗り降りの回数は多かったようです。とはいえ、写真を見るかぎりでは、8年落ちとは思えない奇麗な状態だと思います。

新車時価格は990万円。この物件の支払総額は467万8000円で、額としては決して安くはありません。しかし、同等のパフォーマンスを誇るポルシェ 911カレラSが500万円台半ばで流通していることを鑑みるとバーゲンプライスです。

スモールセダンながら弾丸ロケットのように速く、インテリアには精緻な雰囲気と高級感が両立しているRS4。ある意味、“羊の皮を被った狼”です。この手の車が好きな方にはたまらない1台じゃないでしょうか?

■本体価格(税込):428.0万円 ■支払総額(税込):467.8万円
■走行距離:3.5万km ■年式:2006(H18)
■車検:2015(H27)年12月 ■整備:別 ■保証:付
■地域:神奈川

text/古賀貴司(自動車王国)