君よ、扇風機のような車(要は古めのMT車)に乗れ!
2014/07/10
昔の機械は叩けば直った(?)が、最近のはそうもいきません
「新しいモノ」というのは大抵ひたすら便利で快適なものだが、半面、いざ壊れたときに少々やっかいでもある。例えば夏の冷房装置だ。扇風機が壊れたならば自分でチャチャッと直せる可能性もあるが、最新のコンピュータ制御エアコンが壊れた場合はもう完全にお手上げだ。要は構造がシンプルか否かという問題である。
それと同様に車も、新しい世代のものは大変便利かつ快適でステキなわけだが、複雑ゆえに、少々やっかいな壊れ方をすることもある。過日も、筆者と同じ事務所に所属する自動車評論家・MJブロンディこと清水草一の、買ったばかりのBMWが少々やっかいな壊れ方をした。
清水は先日、取材の途中で目に止まった08年式BMW335iカブリオレの認定中古車をほぼ一目ボレで購入したのだが(ラテン車ばかり買っている清水にとっては人生初のBMWであった)、買ったそばからATが故障したのだ。
症状としては「トランスミッション異常 慎重に走行してください。走行可能ですが、加速が低下します。最寄りのBMW正規ディーラーで点検を受けてください」という表示がセンターディスプレイ上に現れ、それと同時にATが2速にホールドされてしまうのだという。
最初のそれはエンジンを再起動することで簡単に治っため、「たまたまかな」と思った清水だが、翌日以降も同じ症状が頻発。結局、ATの故障であることが確定した。まぁ故障といっても機械本体の故障ではなくコンピュータのソフトウェアの何らかのエラーなのだろうが、筆者の独自取材によれば、このようなエラーは最近の輸入車ではたまに起こることのようだ。
清水のBMW335iの場合は、買ったばかりの認定中古車ということで当然保証が適用され、問題のATは無償で修理が行われる。それゆえ金銭的な問題は何もないわけだが、それでも、何というかこう不安は残る。昔の機械と違って「叩けば直る」というものではなく、中がイマイチ見えないブラックボックスであるため、「また急にこうなったらどうしよう……」と疑心暗鬼になるわけだ(まぁ清水草一さん本人は「フェラーリ様がまるで故障しない分、こちらで故障体験という功徳を積みます」と、あっけらかんとしてるんですけどね)。
「扇風機のような車」なら、故障する時期と修理費用の見当がつきます
だから……というわけでもなく、そちらにはそちら特有の問題点もあったりはするのだが、シンプルな構造のちょっと古い輸入車はイイ。特に、シンプル極まりない構造のMT車は本当にイイ。もちろん、そういった車も壊れるときは簡単に壊れるし、そういった場合に「叩けば直る」ということもない(ま、たまには直るかもしれませんが!)。しかし少なくとも「電子じかけのブラックボックス」ではないため、壊れるタイミングを何となく予想できるのだ。
単純に時間や距離から「そろそろクラッチが逝くかな?」と予想できることもあるし、異音や感触などの予兆から「あ、そろそろかも」と察知できることもある。壊れるは壊れるが、「いきなり、理不尽に」という壊れ方はほとんどしないのだ。だから、ある意味安心できるのである。
また、そういった車は、修理する際の費用も基本的にはたかが知れている。というか「おおむねの費用上限」をあらかじめ把握できる。例えばクラッチ交換なら、よほど特種な車種の特種なクラッチが特種な壊れ方をしない限り、おおむね10万円用意しておけば事足りるだろう。クラッチというのは(車種や乗り方にもよるが)だいたい8万kmぐらいは交換不要であるはずなので、「8万km(約8年間)で10万円」というコストは「ま、大したことない」と表現できるはずだ。
ということで今回のわたくしのオススメはずばり「ちょっと古い輸入MT車」だ。前述のとおり、こちらはこちらで特有の問題があったりもするが(全体的にボロい、ゴムブッシュなどが硬化してたりする、MT以外の部分がブチ壊れるetc.)、とにかくシンプルであるというただ1点において、結構な優位性はあるものだ。故スティーブ・ジョブズも常々「Think Simple!」と言ってたし、ね。