【伊達セレクション】異端の中古車評論家・伊達軍曹、アルファロメオ ジュリエッタを推す
2014/03/20
「アール・ド・ヴィーヴル」を目指すならアルファロメオしかない?
日々の生活そのものをちょっとしたアートに変える魔法の車
アート・オブ・ライフ……というとX JAPANになってしまうので、ここは一つフランス語でアール・ド・ヴィーヴルとしておこう。「暮らしの芸術、生活芸術」という意味だ。そのアール・ド・ヴィーヴルを自家用車を通じて実現しようとすると、じつは難しい問題に直面する。
それを実現できる車がなかなかないのだ。
たとえばフェラーリ。あれぞまさにアートで、自家用車というよりは工芸美術品だが、あれでライフするのはなかなか難しい。ならばポルシェはどうかといえば、あの走りはたしかに芸術的だが、全体としては、アートと呼ぶには実務臭が強すぎるように思える。メルセデスやBMW、アウディ、ボルボなどは部分的にアートを感じる部分こそあれ、基本的には実務の極致。アール・ド・ヴィーヴルではなく純ヴィーヴル(ライフ)である。
「おしゃれなフランス車はどうか?」という意見がここで出てこようが、フランス車=おしゃれというのは日本人の勝手な思い込みだ。実はフランス車ほど実用一辺倒なカテゴリーもめずらしく、あれほどアール・ド・ヴィーヴルにこだわる国民性なのに、こと車に関しては徹底的に実利を重視している。フランス人七不思議の一つである。
となれば、残るは「実用イタリア車」しかあるまい。とりわけフィアットではなくアルファロメオが、日々のアール・ド・ヴィーヴルを実現させる一助となるだろう。なにせあのデザイン、あの内装、あのエンジンである。ほとんど現代美術である。それでいて一部の特種なモデルを除けば、ごく普通の自家用車として使い倒すこともできる。それゆえアルファに乗りさえすれば、親戚の家に向かうしょぼい国道でさえ、アートな瞬間に変わるだろう。しかも、ちゃんと親戚の家まで移動することもできる。完璧ではないか。
「アート」と「ライフ」のバランスが絶妙なジュリエッタ
問題は「じゃ、アルファの中でどのモデルを選ぶか?」ということだが、基本的には個人の自由というか、予算と嗜好に合うものを選べばそれで良いと思われる。が、蛇足かもしれないが筆者なりのオススメを挙げるとすれば、それは現行ジュリエッタである。
「アート」という観点ではどのアルファロメオを選んでも(好みに合ってさえいれば)大差はないが、差が付くのは「ライフ」の部分である。
例えばの話、筆者が過去に乗っていたアルファGTVというクーペは、クラシカルでステキなV6エンジンを中心に、アート全開な車ではあった。しかしクラシカルなエンジンゆえに、燃費は少々厳しかった。また年式的に故障(というか消耗部品の交換)の不安というのも避けては通れない問題だ。アート目線でいえば「故障何するものぞ!」だが、ライフ目線では「故障……やっぱイヤだよね」となるのが普通の人間である。
しかしジュリエッタであれば何の問題もない。外観は(好みにもよるが)若干アート成分に欠けているように思えるが、内装はほとんどニューヨーク現代美術館である。エンジンも、過去のアルファV6と比べてしまうと凡庸だが、その分だけ燃費と信頼性は優れている。グッドなライフを実現できるだろう。
そんなアルファロメオ ジュリエッタの中古車が、このところめっきり安くなっている。いや「めっきり安くなった」というと印象が悪いが、実際は「ほどよく安くなり、それでいて車自体のイメージはまだ全然劣化していないため、中古車としてはベストのタイミングにある」ということだ。
具体的な価格は、12年式スプリントの走行1万km前後物件で支払総額おおむね240万円といったところ。ライフのなかでもとりわけ重要なサイフの観点から見ても最高だと思うのだが、どうだろうか。
ということで今回の伊達セレクションはずばり「アルファロメオ ジュリエッタ」だ!

2011年11月登場のスポーティハッチバック。エンジンは1.4Lと1.8Lの直噴ターボ。1.4Lには6速TCTが、1.8Lには6MTが組み合わされる

微妙にエロティックな(?)曲面を組み合わせている絶妙なデザイン。日本の一般的なハッチバックではなかなか醸し出せない世界観と言えましょう

往年のアルファロメオのテイストとは若干異なるが、まるでMoMA(ニューヨーク近代美術館)に展示されている現代芸術のような内装。シビれます

【伊達軍曹 Sergeant DATE】東京都杉並区出身の輸入中古車研究家。外資系消費財メーカー本社勤務の後、出版業界に。現在は「輸入中古車は、その価格にかかわらず素晴しい!」との見方を核とする輸入中古車研究家として各誌で活躍。雑誌「カーセンサーEDGE」では「中古車相場 威力偵察隊」を連載中
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