原稿執筆時点でカーセンサーnetに1台のみ掲載されている希少車を紹介するこの企画。今回、2013年4月8日に発見したのは「ボルボ 780」です。ボルボといえばスウェーデンを代表するブランドですが、780は“イタリア生まれ”なんです。海外の自動車メーカーではたまにあるのですが、カロッツェリア(自動車工房)へデザインだけでなく生産まで委託することがあります。そう、780はイタリアの名門カロッツェリア「ベルトーネ」が手がけたクーペなんです。

この当時のボルボらしい直線を基調としたデザインでありながら、低いスタンスでクーペらしい優雅さを表現。しかし、ルーフはベースの760シリーズ(セダン)からほとんど低められておらず、ヘッドルームはしっかり確保されています。さらに、クロームを随所に施し、当時ならではの高級感も演出されています。最近では、リサイクルの観点からか、クロームパーツって少なくなったように感じます。

開発当初は、ルノー 25やアルピーヌと同じV6ターボエンジンの搭載も議論されていました。しかし、エンジンルームが小さくオーバーヒートする恐れがあるため、話は流れてしまったそうです。結局、780に搭載されたのは2.8LのPRV(プジョー、ルノー、ボルボの共同開発)エンジンでした。総生産台数は8500台強で、日本に輸入されたのは500台と噂されています。現存台数は、きっと少ないでしょう。失礼ながらボルボのクーペは存在感が薄く、“通”な選択だと言っても過言ではないと思います。

当該車両の走行距離は9.9万㎞。22年前の車なので、単純計算で年間4500㎞“しか”走っていない計算になります。物件の詳細情報を見ると定期点検記録簿も完備。さらに、この販売店がメンテナンスを管理してきた車両であるとのこと。

販売店のホームページでは入庫する車両のトラブルが日記として公開されていて、親身に対応していることがわかります。車はノートラブルに越したことありませんが“機械”が壊れないことはありません。780のように22年落ちとなると、トラブル対処の“主治医”がいるといないでは安心感が全然違います。

75万円の780を高いとみるか、安いとみるかは人それぞれでしょう。しかし、これほど強烈な個性を放ち、ベルトーネが手がけた歴史ある車です。さらに、最近ではノスタルジックにさえ感じられる直線基調の昔ながらの“ボルボらしさ”……・。とても貴重な1台だと思います。

これ以上デザイン的に古く感じることもないでしょうし、飽きることなく長く付き合えるのではないでしょうか? グッときたのは、トランクと給油口オープナーのレバーが、ランボルギーニ カウンタックやフィアット X1/9などと同じ部品であることです(笑)。

Text/古賀貴司(自動車王国)

ボルボ 780

ボルボ 780

本体価格(税込)75.0万円
支払総額(税込)---万円
走行距離9.9万km
年式1991(H3)年式
車検
整備
保証付(100日/距離無制限)
地域大阪