トヨタ RAV-FOUR(1989年東京モーターショー)→RAV4(1994年)

1989年の東京モーターショーに出展されたトヨタのコンセプトカーRAV-FOUR。当時主流だった大型SUVを押しのけ、会場でも人気が殺到した。4年後の1993年東京モーターショーにプロトタイプを出品し、1994年に市販車デビュー。当時のキムタクのCMを覚えている方も多いことだろう。

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1989年の東京モーターショーに出展されたRAV-FOUR。SUVというよりはまだまだクロカン臭さが残っている

ライトなSUVに話題集中

RAV-FOURリヤ | 日刊カーセンサー RAV4は1989年開催の東京モーターショーで、「RAV-FOUR」という名前のコンセプトカーとして初出展された。当時のSUVといえば大型で、かつトラックやバス、ヘビーデューティ車などに採用されるフレームボディのモデルが主流の時代であった。

そんな中、小粋でコンパクトなRAV-FOURは会場でたちまち話題が集中し、「いつ発売されるのか?」といった問い合わせも多かったという。ランクルのイメージをも感じさせる、丸目ランプの愛くるしいスタイルが特徴的だ。パワートレインはスプリンターカリブから流用されたということである。外装はコンセプトカーの域を脱していないが、内装は市販車のような出来映えであった。

4年後の1993年開催の第30回東京モーターショーでは、ほぼ初代市販車に近いプロトタイプ的要素をまとって、出展された。そして翌年1994年にデビューを果たす。

本格派にも人気のあった都市型SUV

RAV4 5ドア | 日刊カーセンサー RAV4は1994年5月にまず3ドアが、そして1995年4月に写真の5ドアが発売された。当初は「RAV4J」「RAV4L」があり、Jが当時のオート店(現ネッツ店)、Lがカローラ店で発売されていた。両車の違いはほとんどなく、取り扱うディーラーチャンネルごとに車名を変えることが主な目的だったようだ。

サイズは全長3695×全幅1695×全高1655mm。塔載される2Lエンジンは3S-FE型ハイメカツインカムで、135馬力(NET)を発生。

当時自動車雑誌でライバル対決させていたのがスズキ・エスクードだ。ただし、エスクードは現在まで、ラダー(はしご型)フレームを採用している。ラダーフレームとは、前述のフレームボディの代表的な種類であり、都市型SUVとして登場したモノコックボディのRAV4とは、一線を画している。それゆえ、エスクードなどフレームボディをSUV、モノコックボディのRAV4を、クロスオーバーSUVと呼び分けることもある。

以前の勤め先で90年代初頭にエスクードに乗っている同僚がいて、たまにみんなでドライブに行っていたが、後席に座ったときの突き上げる感じなどは、クロカンのようだったと覚えている。

初代RAV4はCMキャラクターにキムタクを起用するなど、当然ながら若者をターゲットに広告戦略を打っていた。しかし、意外なニーズが人気を高めた。この頃から徐々に増えつつあった「リタイア層」、つまり、定年退職した60歳以上の人たちの需要であった。当時「定年退職したらRAV4あたりの小さいクロカンで秘境の温泉をめぐりたい」という話を耳にしたことがある。

1995年4月にロングホイールベースの5ドア「RAV4 V」がデビュー。同年10月には、ホンダの初代CR-Vがデビューすることになる。この子ろになると、メーカーの狙いどおり、RAV4ユーザーの中心は街中走行メインのファミリー層へと移った。

ただし、RAV4は2代目になっても3ドアモデルを継続して設定した。オフロード走行会に参加する初代ユーザーが予想外に多かったという経緯もあり、ラフロードでの走行性能を高めたという。このあたりのところに、本格派にも受けた秘密があったのかもしれない。