THE!対決

PART2 取り回し性能対決

Report/島崎七生人 Photo/奥隅圭之、奥村純一
トヨタ マークXジオ

↑前後でデザイン上のバランスに誤差があるため、感覚が少しつかみづらい。エルグランドのアラウンドビューのような支援システムがあると嬉しい
ホンダ オデッセイ

↑長いボディながら、スーッとした形状のため感覚はつかみやすいく駐車しやすい。リアビューカメラに表示されるラインのが可動式であればなお良しだ

ジオは視界確保のカメラを絶対に付けたくなる

まったく意外だったのだが、今回、マークXジオの取り回しに少々てこずらされてしまった点。とくに縦列駐車では、車のノーズ回りの感覚がつかみにくい点が気になった。

評論してしまうと、コレはボディ前後でのデザイン上のバランスに誤差があるからだと思う。キャビン部分はベルトラインが水平基調でやや高めなので、懐が深く安心感のある居心地。が、そこから先、ノーズ部分にかけての感覚がキャビンとつながって感じられず、ノーズのボリューム感、形状、長さがイメージしにくい。さらにAピラー付け根付近のボディの厚みが取り回し上の阻害要因にもなるため、結果として見えにくい(想像しにくい)部分の割合が多く、自分の勘を頼りにする気力が萎えてしまう。

ただし、フロントオーバーハングが長めながらコーナーは面取りされており、イメージしにくい状態で外から確認してもらうと、障害物との余裕は実は十分にある。たとえ最小回転半径5.7mの18インチタイヤ装着車であっても、だ。なので対応策としては、ボディ全周を目で確認できるカメラのような支援システムを搭載するといった手段を講じると良さそうだ。

オデッセイのデザインは車両感覚をつかみやすい

対してオデッセイは、ホイールベースがマークXジオより50mm長い2830mmながら、最小回転半径は5.4mにとどめられている。が、そうしたスペック以上に、ドライバーの着座位置に対しベルトラインが圧倒的に低く、スポーツカーのような車両感覚のため、ウナギ犬のような(!?)長ーく感じるボディがいささかも苦にならない。

特に嬉しいのは縦列駐車時。マークXジオで指摘したことの正反対で、着座位置は低めながら、ショルダーラインが後ろからフロントフェンダー部までスーッとつながったボディ形状。このため車両感覚が実につかみやすく、広い視界と相まって、手に取るように車の周りの様子が把握できる。ノーズは直視できないが、まったく苦にならず、扱いやすさを実現している。三角窓の大きさもマークXジオよりも広く視界に有効。

ただしリアビューカメラ使用時に、モニターにマークされるガイドラインは“固定式”で、マークXジオのそれのように可動式ではない。が、車庫入れも有視界で操作が可能なので、あまり不便には感じない。
今回のまとめ
家族で使うというミニバンの一般的な用途を考えると、女性が運転する機会も多くなるはず。そんなとき取り回しがいい車だと奥さんはもちろん、ハンドルを任せる旦那さんも安心できそう。なので、この勝負はオデッセイの勝ち!
今回のテスト車両


■トヨタ・マークXジオ
・テスト車両
240G(2WD)
286.0万円
・駆動方式
2WD(FF)
・トランスミッション
CVT
・全長×全幅×全高
(mm)
4695×1785×1550
・ホイールベース(mm)
2780
・車両重量(kg)
1570
・最小回転半径(m)
5.7
・乗車定員(人)
6
・エンジン種類
直4DOHC
・総排気量(cc)
2362
・最高出力
[kW(ps)rpm]
120(163)/6000
・最大トルク
[N・m(kg-m)/rpm]
222(22.6)/4000
・使用燃料
無鉛レギュラー
・燃料タンク容量
60L
・10・15モード燃費
(km/L)
12.8
・タイヤサイズ
225/45R18



■ホンダ・オデッセイ
・テスト車両
L(2WD)
300.3万円
・駆動方式
2WD(FF)
・トランスミッション
CVT
・全長×全幅×全高
(mm)
4770×1800×1550
・ホイールベース(mm)
2830
・車両重量(kg)
1660
・最小回転半径(m)
5.4
・乗車定員(人)
7
・エンジン種類
直4DOHC
・総排気量(cc)
2354
・最高出力
[kW(ps)rpm]
118(160)/5500
・最大トルク
[N・m(kg-m)/rpm]
218(22.2)/4500
・使用燃料
無鉛レギュラー
・燃料タンク容量
65L
・10・15モード燃費
(km/L)
12.2
・タイヤサイズ
215/60R16