THE!対決

PART1 走行性能が優れているのはどっち?

ホンダ オデッセイ
ホンダ オデッセイ 走り|THE!対決
↑革新的な低床・低重心プラットフォームの採用により、スポーツセダンのような走りを実現。プレミアム仕様となる直4の2.4Lエンジンは十分にパワフルで不快な振動も抑えられている
ホンダ オデッセイ ドライビングポジション|THE!対決 ホンダ オデッセイ 2列目シート|THE!対決 ホンダ オデッセイ 3列目シート|THE!対決
スバル エクシーガ
スバル エクシーガ 走り|THE!対決
↑ターボを備えたフラット4は、パワフルかつ生き生きとしたフィールが魅力。スタイリングこそ背高に見えるものの、重心は低く設計されており、コーナリング中の姿勢も安定している
スバル エクシーガ ドライビングポジション|THE!対決 スバル エクシーガ 2列目シート|THE!対決 スバル エクシーガ 3列目シート|THE!対決

スポーツセダンのようなスポーティな走りを披露するオデッセイ

あらら、ジョージ・クルーニーのアップですか…と意表を突くオデッセイのCMに対し、7人の家族が登場するエクシーガのCMは、極めてまっとうというか、王道を行く。実車は、そんなCMのイメージどおり(当然か!?)。オデッセイはミニバンなのに何やら生活臭が希薄。片やエクシーガは、見るからに“気の良さそうな”ミニバンである。無論、そんなキャラは走りにも反映されている。

理屈抜きで、まるでスポーツセダンのようなのがオデッセイ。試乗車がアブソルートだったこともあり、とにかく鍛え上げたアスリートのような走りっぷりが印象的だ。乗り味は低速で18インチタイヤのゴツつき感を感じるものの、走り出せば滑らかさを実感させてくれる。

またステアリングフィールも案外と滑らかなのも特徴。エンジンは2.4Lの4気筒ながら十分なチカラを発揮してくれるし、走行中の不快な振動が小さいのも美点。ミニバンながらポジションが低めなのも実にセダンライク。総じて、こと走りっぷりにかけては、クラスを超えた上質感すら備わっている…そんな評価が可能な実力だ。

フル乗車での印象は、たとえ最新のベントレーが隣に並んでも(試乗中、実際に遭遇した)ヒケメを感じない快適さのようだ。順不同でコメントを報告すると、サードシートは「窓が広くていい。閉塞感がない」「メチャメチャ広い」など。ただし、ドア開口部が広げられたハズだが、間口は広いとはいえず「乗り降りはややキツイ」の声も。

一方でセカンドシートは「中央席のヘッドレストがない!」「2+2+2名乗車がいいかも」といった指摘も。が、「総じて静か」「快適」「1〜3列目を通して足元が広い」の評価が下された。

また2列目中央席から眺めて「実はインパネが左右対称ではないのが日本人のバランス感覚でいうと気になった」の声が。確かにドライバー視線に合わせ、奥まったナビのモニターは左にオフセットされているし、センターのスイッチ類も助手席寄りだ。

ちなみに乗り心地は、フル乗車時のほうが1名乗車より、よりシットリと重厚な印象に好転した。

乗用車の手本のようなフラットで快適な乗り味のエクシーガ

エクシーガは見た目ではオデッセイより格下に見えなくもないが、走りの味はかなりこだわりが見られる。もっとも感心するのは、乗り味がフラットで超快適ということ。背が高く見えるも、重心が低く安定感のある身のこなしは好感がもてる。コーナリング中の姿勢が実に安定している点も、さすがスバルの一員だ。ただ試乗車個体の事情だったかどうか、場面によりステアフィールが変化して感じることがあった。

さらにアシのみならず、エンジンも生き生きとしたフィールでよい。2.0GTが搭載するのは、水平対向の4気筒2Lターボ。スペックは225ps/33.2kg-mと、ミニバンとしては卓越したものだ。

さらにエンジン制御を切り替えられる「SI-DRIVE」の組み合わせで、硬軟いかような走りにも対応。出力をあえて抑え気味にする「I」、馴染みやすく標準的な走りの「S」、そして切り替えるとヴィヴィッドなパワー感が体感できる「S♯」と、変幻自在のパワーフィールを選んで走れるのが嬉しい。

とくにS♯では2500回転を超えたあたりからのパワー感は絶大で、フラット4の存在を主張する小気味良いエンジン音が立つのも、今どき、なかなか愛おしい。

フル乗車での試乗では、広大なガラスルーフのシェードを開けるなり、明るさに「おお!」の声が上がった。またオデッセイに比べ、ロードノイズが耳障りでないせいか「助手席でも静か」「サードシートも音的に(オデッセイより)ぜんぜん静か」など。フロント席のみだがシートヒーターが備わっていたが「スグにヌクヌクになる!」と評価された。

セカンドシートは「座面の前後長がもう少しあればなお良い」、平板さから「クッションの硬さが気になる」などの声が上がった。他方でサードシートは「横方向のゆとりがある」「着座位置が高く見晴らしが良く、スペースはいいが、座面の床からの高さが少し足りず、ヒザが浮き気味になる」の意見があった。

乗用車の手本のような乗り心地も「シットリしている」と好評。動力性能もターボの威力もあり、フル乗車時でもまったく不満はなかった。
今回のまとめ
アブソルートとGT。どちらもシリーズきっての、走りがイチ押しのモデル同士。だが両車のキャラの違いは明快で、「GT」という名称ながらミニバン(乗用車)らしい快適な乗り味、静粛性を実現したエクシーガを評価したい。
今回のテスト車両
ホンダ オデッセイ フロント|THE!対決
ホンダ オデッセイ リア|THE!対決
ホンダ オデッセイ インパネ|THE!対決          
ホンダ オデッセイ
テスト車両 アブソルート
289.0万円
駆動方式 2WD
トランスミッション 5AT
全長×全幅×全高(mm) 4800×1800×1545
ホイールベース(mm) 2830
車両重量(kg) 1630
最小回転半径(m) 5.4
乗車定員(人) 7
エンジン種類 直4DOHC
総排気量(cc) 2354
最高出力
[kW(ps)/rpm]
151(206)/7000
最大トルク
[N・m(kg-m)/rpm]
232(23.7)/4300
使用燃料 無鉛プレミアム
燃料タンク容量 60L
10・15モード燃費
(km/L)
11.4
実用燃費 (km/L)
e燃費提供
現在調査中
タイヤサイズ 225/45R18
※実用燃費のデータはe燃費の提供です
スバル エクシーガ フロント|THE!対決
スバル エクシーガ リア|THE!対決
スバル エクシーガ インパネ|THE!対決
スバル エクシーガ
テスト車両 2.0GT
278.25万円
駆動方式 4WD
トランスミッション 5AT
全長×全幅×全高(mm) 4740×1775×1660
ホイールベース(mm) 2750
車両重量(kg) 1590
最小回転半径(m) 5.5
乗車定員(人) 7
エンジン種類 水平対向4DOHC+ターボ
総排気量(cc) 1994
最高出力
[kW(ps)/rpm]
165(225)/5600
最大トルク
[N・m(kg-m)/rpm]
326(33.2)/4400
使用燃料 無鉛プレミアム
燃料タンク容量 65L
10・15モード燃費
(km/L)
12.0
実用燃費 (km/L)
e燃費提供
現在調査中
タイヤサイズ 215/50R17
※実用燃費のデータはe燃費の提供です
Report/島崎七生人 Photo/奥隅圭之