最近生産中止になったモデルやここ数年で世代交代したモデルの中には
現行型にはない独自の魅力をもった“名車”が数多く存在する
そんな名車の中には長くつき合うほど魅力が増すモデルも多く
中古車の未来遺産とも呼べる、そんな絶版&旧型中古車をセレクト
中古車でしか手に入らなくなった名車たちを安く選べる今こそ狙い目!

スバル フォレスター(旧型)

スバル フォレスター(旧型)|中古車でしか手に入らない名車
30万円から買える日本の名脇役
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背が高いSUV風のワゴンから、正真正銘のクロスオーバーSUVへ。サイズもひと回り大きくなったし、車高もついに1.6mを超えてしまった。現行モデルは華麗なる変身を遂げたわけですが、逆にいえば“あのカタチが好きだった”“あのスタイルが使いよかった”と思っている人には裏切り以外の何物でもない。インプレッサベースだし、車高を下げても“イケる”カタチだったし、運動性能だって乗用車並みをキープできたからこそスバルもSTIバージョンを設定したのですからねえ。

正直ボクは、3代目を初めて見たときガクッときました。これでまた、日本の名脇役がいなくなった、と。2002年デビューで2007年夏の生産終了まで、ほんといろんなバリエーションが登場しました。これもひとえにSUVというより乗用車的なワゴンに近かったから。確かにコンセプトワークという点では現行モデルのほうがハッキリしています。きっと、マーケットもでかい。しかし世界的に見れば中途半端な先代モデルも、日本的には使い勝手のいいMPV。前2世代の割り切りのなさ、よく言えばスバルのこだわりが日本という特殊な環境、市場には似合っていたのです。

とはいえ、こういう車は長生きできず、今では中古で手に入れるしかない。個人的には初代の潔いスタイリングが好きですが、2代目ならその流れをくむ前期型がいいと思います。後期型はちょっと顔つきがあざといからね。

トヨタ bB(旧型)

トヨタ bB(旧型)|中古車でしか手に入らない名車
ハマれる2BOXは格安2000年式を狙え!
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断然、旧型のほうが潔いと思う。実は最近の車にしては珍しく、現行型へのモデルチェンジで若干だけどダウンサイジングしていた。にもかかわらず、スタイリングをあんなにあざとくまとめあげたものだから、bBの四角い個性はすっかり失われ、いじる楽しみもほとんど失せて、メーカーお仕着せのサウンドマシンに成り下がった、というのがボクの評価。

旧型でもエアロ系はさすがに乗り手を選ぶけれど、現行型のあのうねうね強面はもっと乗り手を限ってしまう。旧型標準スタイルの、あのシンプルなカタチだからこそ、幅広い年齢層がマルチ・デイリーユースカーとして評価したのです。アレならボクだって今、乗れる。

2000年のデビューは衝撃的でした。四角い車というコンセプトは新しくも何ともないけれど、あのクラスで実現したところが新しかった。強面のエアロが人気でしたけど、ボクには標準ボディ(窓に色ナシ)をツッツーと何げなく乗りこなしている人が格好よく見えて仕方なかった。その感想は今も変わらず。ビジネスに使うもよし、日々のアシにするもよし。標準ボディを選べば、カタチに飽きがくることなどありません。走りだってヴィッツベースの旧型標準モデルなら、何となく懐の深さもあってハマれる。そういやオープンデッキなんていうピックアップタイプもあったっけ。相当なマニアックアイテムだけど、海辺じゃ格好良かったり。おどろおどろしいbBは嫌です。

マツダ デミオ(旧型)

マツダ デミオ(旧型)|中古車でしか手に入らない名車
格安で少走行車もまだ手に入る
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コンパクトカーとして正統派の、言わばあるべき姿を目指した現行デミオもボクは高く評価しています。まだまだ志半ばという面もあるけれど、小さくしよう/軽く作ろう/欲張らないでおこう、という意識がコンパクトカーにはいつの時代も絶対に必要だと思うから。

一方で、フィットのような全方位でわがままなコンパクトカーもあっていい。翻って旧型のデミオ。初代の、有名バスケットボール選手がすっぽり収まって腰を抜かしたパッケージングを受け継いでいます。ワゴンのように使えるコンパクトカーとして現行とは一線を画する存在です。シンプルなんだけど積載性などを捨てていない。フィットほどじゃないにしても、デイリーユースにそこそこ詰め込めるワゴンスタイルのコンパクトカー。そこが魅力だった。

シャーシはフォードと共同で開発した新プラットフォーム(現行にも使われている)で、走りも思いのほかいい。車としての完成度を初代と比較すると、段違いに○。さすがに現行には負けますけどね。走り重視なら後期のスポルトを。締まりのある足回りが期待以上にスポーティな走りをみせてくれます。ちょっと顔つきが冗漫になってしまったけれど。キャンバストップ仕様の存在も、気軽にオープン派には嬉しい限り。もういっちょ、デミオの派生モデルのベリーサも面白い車。ちょっとハズシの利いたコンパクトカーで、ポルシェカイエンみたいなシルエットも見所アリ。

トヨタ アルファードハイブリッド(絶版型)

トヨタ アルファードハイブリッド(絶版型)|中古車でしか手に入らない名車
Lサイズハイブリッドは相場下落の今が買い
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トヨタのハイブリッド戦略は今後も衰えることなく戦線拡大は間違いありません。ただし、物事には優先順位がある、ってことでしょう。格好優先で選ばれるでかい贅沢ミニバンよりも先に充実させなきゃいけない車があった。現行型のエスティマハイブリッドなんかに乗ってみると、そりゃもう素晴らしい走りをみせるわけですが、だからってあれでカタチをアルファード/ベルファイアにして(エスティマと中身は一緒ですから、今)即、いっぱい売れるのかというと疑問だ、と。

実際、前の“アルハイ”はそれほど見ませんよね。そのあたりのビジネス的な落としどころもトヨタは考えたんでしょう、残念ながら旧型アルファードベースが今のところ最初で最後のハイブリッドLサイズミニバンになりそうな気配(絶対に最後とは言えませんが)。というわけで、ミニバンスタイルと流行りのハイブリッドという言葉の両方を手に入れたいのであれば、旧型を買うしかない。実用燃費は当然、良好。使い方や環境にもよるが、郊外路中心ならば12km/L前後は稼げるはず。極端な話、フツウのハイブリッドに比べて魅力はそこだけ。逆に重量増ゆえのかったるさなど、走りに関しては目をつぶらなきゃいけない場面も確かにある。

2008年4月、ベースモデルのフルモデルチェンジを機に生産を終了。ベースが人気モデルゆえ、希少なハイブリッドへの注目度は今後さらに高まることでしょう。

ホンダ MDX(絶版型)

ホンダ MDX(絶版型)|中古車でしか手に入らない名車
高級SUVが100万円台で!
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わずか3年と少し。その輸入期間は極めて短く、日本で見かけることは極めて希です。それゆえ、今やスペシャリティカー的な要素が色濃いSUVシーンでは目立つこと請け合い。カナダ製のホンダ車で、現在はすでに2代目へと進化している。日本への導入予定はないし、日産ムラーノ同様、派手派手な雰囲気に変わってしまったので、旧型の武骨だけれどちょっと愛くるしい表情が今となっては嬉しいかも。

北米ではアキュラブランドの最高級SUVとしてラインナップされるだけあって、全幅2m近い迫力のスタイリングと、貴重な7シーターパッケージ、V6VTEC+VTM-4システム搭載などなど、他社ライバルにはない存在感を見せつけます。純粋なアメリカンSUVと違って、フルモノコックボディのいわゆるクロスオーバーだから、雰囲気/アメリカ、性能/ニッポンのいいとこ取り。Aバッジに替えて乗ったりすれば、もう国籍不明のスペシャリティカー。でもってナカミは実用重視の7人乗りで安心の国産ブランド。多人数乗車必須でちょっと変わった車を探しているという人にはぴったりな選択肢でしょうね。実際、アメリカではミニバンのような使い勝手とホンダ車らしいモダンな走りに人気が集まっているのだとか。

あまり見かけない車ゆえ、もうコレ以上、陳腐になることはありません。長く乗っても自慢できる、そんなSUVの筆頭格といっていいでしょう。
西川 淳=文
※この記事は、カーセンサー関東版12号(5月21日発売)の特集をWEB用に再構成したものです