とにかく暇さえあれば「今のうちに海外旅行に行っておかないといけないんじゃないか?」という話をするうちの妻。
来年1月に第一子を出産予定なので、子供が生まれたら未来永劫自由な「旅行」から縁遠くなってしまうような気でもしているのでしょう。
身重になってしまうと海外は確かにリスクも多いし、お金も準備期間も必要です。でも、日常を離れるという意味では、気軽に行ける関東近郊でも楽しい旅行はできると私は思っていまして。
とりあえず次のスケジュールが合う日に、温泉にでも行ってみよう! と妻に持ちかけました。

▲デート第3弾は個室でゆっくりくつろげる温泉旅館はなのやへ▲デート第3弾は個室でゆっくりくつろげる温泉旅館はなのやへ
 

車で海外気分を味わえるか?

今回の車は白のフィアット。
海外旅行ではない分、せめて妻が好きなヨーロッパの雰囲気でもということで……。関越自動車道にイタリアの風が吹きます。 コンパクトですが、ゆったりしたシートと静かな乗り心地が妊婦にも優しい車です。
埼玉は雨模様でしたが、すいすいと秩父まで到着。秩父は先日もミューズパークに来ているので、この変な看板はこないだも見たねえ、なんてささいな会話も、嬉しい旅行気分を高めてくれます。
 

▲都内から約2時間。白い車体が深緑に映えます▲都内から約2時間。白い車体が深緑に映えます
 

相手は妊婦ということで、旅館選びの条件とは!?

今回宿泊する温泉旅館選びで考えたのは、まず妊婦にとって泊まりやすい旅館であること。
妊婦は急に変わる体調も心配ですし、食べられない食材も多いので、細やかに気遣ってくれる旅館でなければ安心して旅を楽しめません。

今は、妊婦向けのマタニティプランを用意してくださっている旅館もたくさんあります。
とはいえ、妊婦一般の注意事項だけ気にしていればいいというわけでなく、そもそもうちの妻の趣味嗜好もいろいろありますので、そこも考慮に入れなければいけません。というかそっちの方が難関です!

そんなわけで、今回選ばせていただいたのが「ちちぶ温泉 はなのや」さんです。

選ぶときに重要視したのが、まず何より、妊婦が大きなおなかを気にせず入れる貸切露天風呂があること。それから、移動しなくても食事ができる、お部屋食であること。
これは、妊婦であることと妻の個人的好みを考慮してマストの条件でした。
「はなのや」さんは全室露天風呂付きでお部屋食。
事前に電話で妊婦であることをお話すると、色々細やかに対応していただけそうだったので決めました。

元々、秩父温泉で大人気だった「白雲荘」が2013年に閉鎖後、2014年にリニューアルオープンしたのが「ちちぶ温泉 はなのや」。
秩父エリアではとてもリーズナブルだという宿泊料も魅力です。
 

▲到着すると、門の外まで従業員の方にお迎えしていただきました ▲到着すると、門の外まで従業員の方にお迎えしていただきました

宿のある静かな里山は緑も多く空気がきれいで、妻が外に出ると、車の中に気持ちのよい風が流れ込みます。
 

客室ごとに違う露天風呂

案内していただいたお部屋は広いだけでなく、天井が高いのでかなりの開放感があります。これには妻もテンションが上がっていました。
確かに、新婚旅行で行ったフランスの宿も、天井が高かったら喜んでいた記憶が。完全に偶然ですがよかったです!

▲浴衣にはお花が飾られていました ▲浴衣にはお花が飾られていました

さっそく浴衣に着替えて、私からお風呂につかります。妻は風呂が長いからです。
小雨が降っていましたが、やっぱり露天風呂に入りたいので、内湯ではなく露天風呂を選びました。
岩で作られた開放感のあるお風呂は、小雨ぐらいなら逆に気持ちよかったです。
妻も見に(いたずらしに?)来ましたが、雨だったのでそのうち退散していき、ゆっくりつかることができました。
こちらのお風呂は、客室ごとに作りや雰囲気が違うということで、機会があればぜひ別のお部屋に泊まってお風呂に入ってみたいものです。
 

▲小雨の中のお風呂がいい感じ。体は内風呂で洗えばいいし ▲小雨の中のお風呂がいい感じ。体は内風呂で洗えばいいし

お風呂をあがったら、妻がお風呂に入っている間に、マッサージチェアを堪能。
気持ちが良く、途中居眠りもしながら長々とやってしまいました……。温泉は何も考えない時間が最高です。
 

▲マッサージチェアがこんないいものだとは知りませんでした ▲マッサージチェアがこんないいものだとは知りませんでした

さて、2人ともお湯に入ったので、食事までの時間をどう過ごすか。
個人的にはテレビをぼんやり見ていてもいいのですが、妻の方が「せっかく来たのになんでテレビなんだよ!」と怒り出す危険が。
それは、妻の趣味であるボードゲームです。「カタン」とか、「モダンアート」とか、テーブルを囲んで何人かで遊ぶボードゲームは今、一部のシーンでは非常に人気があるようで、妻はよく友人を呼んでうちで遊んでいるんです。

私はコミュニケーションが下手なのと、頭を使うのがしんどくなるので、そこに参加することはほとんどないのですが、こういうときなら一緒にやるのもいいかな……と思い、家にたくさん積まれているゲームの中からいくつか見繕って勝手に持ってきたのでした。
しかし、以外と2人でできるものが見当たらなかったのもあり、結局できたのは「アルゴ」という、相手の持っているカードの数字を推理するゲーム。
何回かプレイしまして、白熱したのか、妻にとって初心者の私では物足りなかったのかは微妙なところ。
 

▲家でゲームをやるのとは気分が変わっていいかも! ▲家でゲームをやるのとは気分が変わっていいかも!

そこで、「これも持ってきた」と、今度は自分で持ってきたゲーム……というか、トランプを取り出します。
これが、普通のトランプではなく、カード1枚1枚にハロー!プロジェクトのメンバー52人(2016年春時点)がそれぞれ載っている通称「ハロプロトランプ」。別に普通に「大貧民」や「神経衰弱」などのトランプゲームをしてもいいのですが、メンバーの特性を知っていれば、それに合わせたローカルルールで独自の遊び方がいくらでも生み出せるという優れものなのです。
 

▲トランプになるとがぜん本気になった私 ▲トランプになるとがぜん本気になった私

うちの夫婦は2人ともハロー!プロジェクトのファンなので、それが可能です。
メンバーの属性で勝手に手を考えるハロプロポーカーをプレイし、これは私も必然的に白熱しました!
 

豊かな自然ゆえに味わえる秩父の旬の食材

思わずハロプロトランプに時間を忘れて没頭していると、お食事の時間になりました。
お酒を飲めない私はお茶を、妻はノンアルコールビールを選んで乾杯。
最近、2人で外食に行ってもそうなんですが、元酒飲みの妊婦と一緒にいると、ノンアルコールビールを置いているかどうかは本当に重要なんです!
 

▲次から次へとおいしいお料理が出てきます ▲次から次へとおいしいお料理が出てきます

お料理は、秩父の山の幸、旬の食材をふんだんに使った豪華な創作料理です。
お造りや秩父産山菜の天ぷらも絶品でしたが、最近にわかに料理が楽しくなってきた私にとって、おいしい創作料理は作ってみたいという意味でも興味が湧きます。
秩父のご当地グルメという「味噌ポテト」というものもあるそうで、これはじゃがいもの天ぷらに甘辛い味噌だれがかかったものなのですが、はなのやさんでは、じゃがいもでなくさつまいもを使っているそうです。これは普段料理をする自分としては見逃せません。この味噌だけ、近くのお店に売っているなら買って帰ることを決意しました。

そしてメインは「ハーブ三元豚のしゃぶしゃぶ」です。
ハーブの入った飼料を食べて育ったという豚は、臭みがなく肉が柔らかいということで、あっさりしたしゃぶしゃぶによく合う!
しゃぶしゃぶは普段、ポン酢よりゴマだれの方が好きな私ですが、これくらい豚肉がおいしいと、さっぱりポン酢で食べるのがとても良かったです。
 

▲しゃぶしゃぶってなんでこんなに幸せな気持ちになるんでしょう ▲しゃぶしゃぶってなんでこんなに幸せな気持ちになるんでしょう

まとめ

妻と温泉なんて、次に行くときは手のかかる子供も一緒だなあなんて思っていましたが、関東近郊でこんなに楽しめるなら、出産前にまだまだ行けそう。
特にこのはなのやさんは、これだけ豪華な食事、お風呂、お部屋、サービスにも関わらずリーズナブルだし、可能ならもう一度行く計画を立てたいと思っています。

温泉デートのプランを立てるとなると、宿選びの重要度がほとんどすべてみたいなところがあるかと思います。でも親切な旅館だと、事前に連絡しておくことで柔軟に対応していただいたり、お料理のことも相談に乗ってもらえたりするので、そのくらい気遣いして臨むのもいいかもしれません。

さて、「旦那おまかせデート」を3回行ってきましたが、いかがでしたでしょうか。
うちの妻の性格に合わせた計画だったため、極私的になってしまった印象は強いですが、発想だけでもなにか参考になることがあれば幸いです!
 

〈デートに使った車〉
メーカー名:フィアット
車種名:500X

text/劔樹人
photo/清水知成