Android Autoの逆襲なるか!? サードパーティ製アプリの解禁で変わる勢力図【いまどき・これからの車学】
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2021/08/13
『NAVITIME(ナビタイム)』のカーナビアプリがAndroid Autoに対応
2021年6月11日、カーナビアプリの中で常に高い評価を得ているナビタイムジャパンの「カーナビタイム」がGoogleの「Android Auto」に対応した。
これだけ見るとスマ―トフォン関連ニュースのひとつにすぎないと思われがちだが、実は車載インフォテインメントの世界から見ると将来を見据えた“大きな一歩”として注目に値する。
元々、スマートフォンを専用の車載器、昨今ではDA(ディスプレイオーディオ)などに接続することで、音楽やハンズフリー通話、SNSなど、そしてカーナビとしても使えるのが車載インフォテインメントにおけるひとつのトレンドである。
その中で市場をけん引してきた2強がAppleの「CarPlay」と、Googleの「Android Auto」。これに続く形で、グローバルでのオープンソース・プラット・フォーム規格として展開しているのがSDL(スマート・デバイス・リンク)だが、まだ認知度自体は低めなのが現実だ。
実際、日本市場における車載情報システムの実情としては「CarPlay」が圧倒的に強かった。グローバルで見ると日本はAppleのシェアが高いのが特徴だが、それを差し引いてもサードパーティ、つまり他社製のナビアプリを使えることで支持を得てきた。
逆に言えば「Android Auto」の場合、基本はGoogleマップをベースとしたアプリと限られたサードパーティのみ、メッセージ系やメディア系のアプリに関してはサードパーティ製も使えるのだが、ナビ関連だけは許諾されていなかったのが現実なのである。
しかし、Googleは2021年4月に、サードパーティ製のカーナビ系アプリをAndroid Autoに対応させることで、「Play Store」からダウンロードしてDAなどで使えるようポリシー(ルールのようなもの)を変更した。
前々からこのポリシー変更の噂は流れていたが、Android OSを搭載する携帯電話の世界的シェアは70%前後ともいわれる中、今回の対応は今後のアプリ開発ビジネスの拡大にも大きく影響することは間違いない。
今回、日本でサードパーティ製としてAndroid Autoに初対応した「カーナビタイム」だが、過去にもApple CarPlay(2018年9月)やSDLにもいち早く対応した実績がある。
高い技術力とそこからアウトプットされるナビ性能は、筆者の個人的見解ではあるものの、目的地までの高い案内能力や地図更新タイミングなどから、トップレベルと言ってさしつかえないほどだ。
一方で、最近ではトヨタが展開してきた「TCスマホナビ(無償)」が2021年3月31日に、またNTTドコモがパイオニアとの協業で開発した「ドコモドライブネット(有償)」が2021年9月30日にサービスを終了することが発表されている。
トヨタの場合、車載用テレマティクスである「G-BOOK」がインフラの老朽化を理由に2022年3月末でサービスを終了するが、すでに新型車には新しい「T-Connect」が普及しており、移行自体はスムーズだ。
トヨタはその辺の顧客フォローがしっかりしているので、前述したナビアプリも同様に「moviLink」というアプリにスイッチを始めている(まだまだ発展途上ではあるが)。
しかし、自社内で複数のナビ系アプリを持つNTTドコモに関して言えば、「選択と集中」が求められた結果このサービスの終了を決めている。
通信業界の“大巨人”であるNTTドコモですらこのようなことが起きることに驚きを隠せないが、これまで単純にカーナビアプリだけを開発・提供してきたベンチャー企業も、今後はスマホ単体で動かすアプリだけでは生き残ることは難しくなってくる。
スマホカーナビアプリがここまで普及したのは、「導入が簡単(多くの人が使っている)」「無料アプリが多い」など様々な理由があるが、今の時期、スマホを設置する車内の場所によっては70℃を超える高温の中、その環境に対応していないスマホは最悪故障することも考えられる。
その点でもスマホを別の場所に置き、大画面でナビや音楽などを操作できる車載機器の市場は、従来以上に加速していくはず。今後は、無償ナビアプリのトップランナーである「Yahoo!カーナビ」が、どのタイミングで「Android Auto」に対応してくるかも注目すべきポイントと言えるだろう。