▲デビュー直後からSUPER-GTなどのモータースポーツでも大いに活躍したGT-R ▲デビュー直後からSUPER-GTなどのモータースポーツでも大いに活躍したGT-R

笑いで活気を取り戻した平成19年

皆さま、令和になって最初の1週間、どのように過ごされたのでしょうか?

なんか世間はすっかり令和やっほ~い、平成っていつだっけ? な感じですが、この企画では変わらず平成という時代を振り返っていきましょうね。

さて今回は平成19年。

前年の平成18年に安倍さんが最初に総理大臣になり、19年に辞任した頃のお話です。

世間ではお笑い番組「○ン○の神様」「爆笑○ッドカーペッ○」出身のタレントが大ブレークし、「そんなの関係ねえ」などのギャグが大いに流行りました。

「どんだけぇ~」もこの時期に生まれたんだって!

同じ流行語でも、「どげんかせんといかん」は元宮崎県知事の東国原さんから発せられた言葉。

本当は「どげんかせんないかん」って言ったのに、間違って伝えられちゃったんだそうです。

ちなみに昭和の時代を知らない若い人のために一応言っておくと、東国原さんも元お笑いタレントね。

今じゃすっかり元政治家って感じだけど、かつては、たけし軍団の一員として熱湯風呂などで頑張っていたのです。

その前はツーツーレロレロ。

おっと失礼、平成じゃなくて昭和を振り返っちゃいました。

話を平成19年に戻すと、お茶の間では前年の「ハンカチ王子」に続いて、「ハニカミ王子」ことゴルフの石川遼くんが大人気に。

オバサマたちは今も昔も王子が大好きね、どんだけぇ~!

軽自動車もスポーツカーも切磋琢磨

▲平成19年2月18日、第1回東京マラソンが開催された。つまり今年でもう13回目!
▲平成19年2月18日、第1回東京マラソンが開催された。つまり今年でもう13回目!

さて車界隈の話題では、1970年代からスズキが守り続けてきた軽自動車の販売トップの座が、ダイハツへとチェンジ。

その後、ダイハツ vs スズキ、それにホンダも加わって、軽自動車界の競争がますます熾烈になっていきました。

そしてスバル インプレッサWRX STI、三菱 ランサーエボリューションXなど、国産屈指の性能をもつスポーツカーが相次いで登場したのも、この年。

90年代にバブル景気が弾けてからスポーツカーは長らく冬の時代が続いていましたが、ようやくココにきてカテゴライズがあらためて見直され、当時の最新技術もバンバン投入されてハイパースポーツカーへと生まれ変わったのです。

ハコ型本格オフロード四駆という独自性

▲デリカスターワゴン時代を思わせるボクシーな外観で人気を博したデリカD:5
▲デリカスターワゴン時代を思わせるボクシーな外観で人気を博したデリカD:5

それでは恒例の(?)私的トップ3発表にいきましょう。

第3位は三菱 デリカD:5。

この車、先代にあたるのは13年の長きにわたって生産されたデリカスペースギアです。

デリカD:5はその後継ですが、中身も外観も大胆に変化。

パジェロ譲りで伝統的な構造だったシャシー&駆動系はアウトランダーをベースにした現代的なものに改められました。

本格四駆のデリカらしいオフロード性能をほどほどに備えながらも、FFベースとなったことでフロア高がグンと下がり、ミニバンとしての使い勝手が抜群に良くなったのです。

ステップワゴンやノア&ヴォクシーなど他のミニバンが大ヒットしている状況を受けての進化。

古くからのデリカ・ファンからすると、その変貌ぶりはショッキングなものでしたが、まあ時代の要望ってやつですね。

デリカD:5はデビューからしてこんなふうにラジカルな存在なのですから、今年2月の大胆なフェイスリフトも納得できるというものです。

日産車なのに英国車のムードが薫る1台

▲マイクラCプラスCのフルメタルトップは電動式で、約22秒で開閉する▲マイクラCプラスCのフルメタルトップは電動式で、約22秒で開閉する

第2位は……日産 マイクラCプラスCなんてどうでしょう?

なんじゃそりゃ、という人も多いかと思いますが、これ、2002年に登場した3代目マーチをベースにカブリオレ化しちゃったモデル。

なんでマーチCプラスCじゃないの? という疑問も湧くところですが、欧州市場で先にデビューし、その後、国内導入されたために欧州での名前がそのまま使われたのですね。

架装を手がけたのは、「カルマンギア」でお馴染みのドイツ、カルマン社。

流麗なスタイリング、開閉機構のスムーズさはお見事です!

なんといっても、国産では超希少な4人乗りメタルトップのフルオープンというところがランクインのポイント。

あ、国産じゃありませんでした、製造もイギリス日産で行われるれっきとした欧州車でした。

1500台の限定だったため、現存する車両は決して多くありませんが、それだけにプレミア度高し。

男の子の夢をかなえる本気の国産スーパーカー

▲エンジンは直6からV6へ、トランスミッションはリアデフ前に、スカイラインという名前も捨てて登場したGT-R
▲エンジンは直6からV6へ、トランスミッションはリアデフ前に、スカイラインという名前も捨てて登場したGT-R

平成19年に登場した車で最も印象的だったのは、なんといっても日産 GT-Rでしょう。

最初にステアリングを握ったときの衝撃たるや。

6速デュアルクラッチのシフトを入れるとシートの後ろの方からガシャコンと音がして、ズバゴーンと強烈なトルクでカタパルト発射されちゃうわけです。

思わず、「こいつ、動くぞ!」と叫んでしまったのは私だけではないでしょう。

エンジンは前、トランスミッションは後という駆動系のレイアウトの他、メカニズムの独創性、完成度の高さは言わずもがな。

フェラーリ? ポルシェ? そちらはどうか知らないけど、ニッポンが本気でスーパーカーを作ったらこうなるのよ、という新生日産の車作りに対する姿勢を体現していました。

名車である証拠に、今も現役続投中!

スカイラインがトップに輝いた平成18年編に続いて、今回も日産になってしまいましたが、GT-Rはスカイラインから独立したわけだし、まあいいでしょ。


平成19年は他にもインプレッサWRX STI、ランサーエボリューションXなど、国産車の歴史に残る優秀なスポーツカーが相次いで登場したセンセーショナルな年でした。

文/田端邦彦、写真/田端邦彦、日産、三菱、Adobe Stock

田端邦彦(たばたくにひこ)

自動車ライター

田端邦彦

自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。