▲特撮ドラマに登場する車両は各種戦闘兵器が装備され、カラーリングもド派手に! 大人でも夢中になっている人が大勢いますよね。写真は『ウルトラマンギンガS』に登場した日産 リーフとe-NV200 ▲特撮ドラマに登場する車両は各種戦闘兵器が装備され、カラーリングもド派手に! 大人でも夢中になっている人が大勢いますよね。写真は『ウルトラマンギンガS』に登場した日産 リーフとe-NV200

憧れのヒーローとともに戦った車に乗りたい!

懐かしいキャラクターがリバイバル登場する新作が次々と公開されるなど、今年の春は、特撮ファンにとってたまらないシーズンだったのではないでしょうか。

中でも、『劇場版 ウルトラマンX きたぞ!われらのウルトラマン』公開でアツいウルトラマンシリーズ。ヒーローと怪獣の戦いが見どころなのはもちろんですが、ともに戦う特捜隊の活躍からも目が離せません。そして、彼らが乗る様々なマシンも子供たちの憧れです。

「いつか特捜隊に入ってウルトラマンと一緒に戦う!」と本気で思っていた人も少なくないはず。ウルトラマンや怪獣のフィギュアを集め、マシンのプラモデルを作って遊んだ経験もあるでしょう。今回は、そんな影の主役!? ウルトラマンシリーズに出てきたマシンのベース車を紹介。同じ車に乗って、幼い頃の夢を叶えてみませんか?

『帰ってきたウルトラマン』マツダ コスモスポーツ

▲1967年にデビューしたコスモスポーツのデザインは今見ても古さを感じさせません。マットビハイクルは写真の後期型がベースとなっています ▲1967年にデビューしたコスモスポーツのデザインは今見ても古さを感じさせません。マットビハイクルは写真の後期型がベースとなっています


1971年4月から放送が始まった『帰ってきたウルトラマン』。怪獣攻撃部隊であるMATの特捜車両として登場したのがマットビハイクルです。白いボディ に赤いラインが入ったマットビハイクルは、ド派手な改造は施されていないので、ベース車両を知っている方も多いでしょう。

そう。ベースとなったのはマツダ コスモスポーツ。世界で初めてロータリーエンジンを搭載したことで知られる2ドアクーペで、低いボンネットと長くのびたリアのオーバーハングが特徴的。全高は1165mmしかありません。上の写真をよく見るとドアやボンネットなどの開口部以外、ボディに継ぎ目が一切ないのがわかります。

『ウルトラマンタロウ』バモスホンダ

▲今でも“珍車”として語り継がれるバモスホンダですが、一方でコアなファンが存在するのも事実。フルオープンのトラックはアウトドア需要も高かったようです ▲今でも“珍車”として語り継がれるバモスホンダですが、一方でコアなファンが存在するのも事実。フルオープンのトラックはアウトドア需要も高かったようです


1973年4月から放送が始まった『ウルトラマンタロウ』。怪獣と戦う地球防衛チームはZATです。ZATには戦闘用車両が何車種も配備されていましたが、中でも特徴的だったのが小型特捜車のラビットパンダでしょう。フロントガラス下に大きなレーダーを装備し、ルーフやボディサイドにもいろいろな武器が付いています。

フロントライトまわりくらいしか原形をとどめていませんが、ベースとなったのはスズキ ジムニーと同時期(1970年)にホンダが市場投入した360ccの軽自動車、バモス ホンダです。フルオープンでドアすらないスタイルは建設現場や工場での運搬作業に適していたそうです。

『ウルトラマン80』マツダ サバンナRX-7

▲前期型はNAエンジンでしたが、後期型はターボモデルが追加され、最高出力165psに。劇中ではカラーリング以外ほぼ原形のままのサバンナRX-7が登場しました ▲前期型はNAエンジンでしたが、後期型はターボモデルが追加され、最高出力165psに。劇中ではカラーリング以外ほぼ原形のままのサバンナRX-7が登場しました


1980年4月から放送が開始された『ウルトラマン80』。1975年に終了した『ウルトラマンレオ』以来、久しぶりの実写版ウルトラマンです(1979年放送の『ザ☆ウルトラマン』はアニメ作品)。初代ウルトラマンを彷彿とさせるシンプルな姿に大人は懐かしさを感じ、少年たちは新鮮な気持ちでテレビの前に座っていたのを覚えている人も多いでしょう。

劇中に登場するのは高速パトロール車、スカウターS7。これは2ローターのロータリーエンジン、12Aを積んだマツダ サバンナRX-7をベースにしています。ボンネットが低くて長いロングノーズスタイルと、そこに搭載されたリトラクタブルヘッドライトは、スーパーカー好きの少年を夢中にさせました。

『ウルトラマンダイナ』ホンダ プレリュード

▲スポーツクーペから原点であるスペシャリティカーへと回帰した最終型プレリュード。排気量は2.2Lで、タイプSはNAでリッター100psとなる220psを達成。ATTSやアクティブ・コントロールABSなどの先進機能が盛り込まれました ▲スポーツクーペから原点であるスペシャリティカーへと回帰した最終型プレリュード。排気量は2.2Lで、タイプSはNAでリッター100psとなる220psを達成。ATTSやアクティブ・コントロールABSなどの先進機能が盛り込まれました


『ウルトラマン80』以来、16年ぶりに放送されたのが『ウルトラマンティガ』。『ウルトラマンダイナ』はその続編として、1997年からスタートした平成ウルトラマンシリーズ第2弾! 特捜チームの名はスーパーGUTSでした。

スーパーGUTSに配備される車両はホンダ車をベースにしたものが使われています。そのひとつであるゼレットは最終型プレリュードがベースに。カラーリングはシルバーメタリックベースに赤いラインと比較的地味でしたが、最高速度は850km/h以上と、設定はかなり派手です!

『ウルトラマンコスモス』ホンダ インサイト

▲アルミを多用した超軽量ボディ、リアタイヤにフードを付けるなど空力を最優先した流線形のボディの採用で10・15モード35.0km/Lという世界最高燃費(当時)を記録したモデルです ▲アルミを多用した超軽量ボディ、リアタイヤにフードを付けるなど空力を最優先した流線形のボディの採用で10・15モード35.0km/Lという世界最高燃費(当時)を記録したモデルです


21世紀最初の作品として2001年から放送開始となった『ウルトラマンコスモス』を見た大人は度肝を抜かれたはず。なんと、ウルトラマンが青かったのですから。特捜部隊の名はTEAM EYES。彼らの任務が怪獣の保護であることも、時代の流れを感じます。

TEAM EYESに配備された車両の名はシェパード。怪獣への攻撃が目的ではないため武器を装備していません。ホンダのハイブリッドカー第1弾であるインサイトが採用されたのもウルトラマンコスモスらしい演出を感じます。

『ウルトラマンギンガS』日産 リーフ、e-NV200

▲現代特撮+電気自動車は、ピッタリのキャスティング! 2010年にデビューしたリーフは現在、航続距離が280km(JC08モード)まで伸びました ▲現代特撮+電気自動車は、ピッタリのキャスティング! 2010年にデビューしたリーフは現在、航続距離が280km(JC08モード)まで伸びました
▲オレンジ色の車体が特徴的なUPGのリーフ。バンパー内にはバルカン砲を装備しています ▲オレンジ色の車体が特徴的なUPGのリーフ。バンパー内にはバルカン砲を装備しています
▲リーフ以外に当時デビューしたばかりのe-NV200まで使用されたのは驚き! ちなみにe-NV200は給電機能も付いた電気商用車です ▲リーフ以外に当時デビューしたばかりのe-NV200まで使用されたのは驚き! ちなみにe-NV200は給電機能も付いた電気商用車です
▲劇中で使用されるe-NV200。リアには大きなレーダーが搭載されています ▲劇中で使用されるe-NV200。リアには大きなレーダーが搭載されています


2014年に放送開始となった『ウルトラマンギンガS』。前年に放送された『ウルトラマンギンガ』の続編で、敵と戦うのは特捜チームUPGです。UPGには2種類の車両が配備されました。日産 リーフをベースにしたUPG-EV1 シュナウザーと、日産 e-NV200をベースにしたUPG-EV2 マラミュートです。

リーフは2010年にデビューした電気自動車で、日本はもちろん各国に電気自動車を普及させた立役者として知られます。e-NV200はリーフに次ぐ電気自動車第2弾でNV200バネットをベースにした商用モデルです。

ドラマと同じカスタムは無理でも……ヒーローになった気分で乗りたい!


懐かしのウルトラマンシリーズから平成シリーズまでいろいろ取り上げてみましたが、いかがでしたか?

これらの車は特撮ドラマの名わき役。果敢に戦う姿を鮮明に覚えている人も多いでしょう。劇中に出てきたのと同じ形にカスタムしようとすると様々な問題が浮上するので(笑)、カスタムはプラモデルなどで我慢し、せめて同じ車に乗りながらヒーロー気分を味わってみませんか?

text/高橋 満(BRIDGEMAN)
photo/マツダ、ホンダ、日産