すでに高速道路では自動運転が実用可能!?運転支援技術の進化を実感した
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2015/07/27
取材で借りたホンダ レジェンドで車の進化に驚かされた
以前、自動運転の取材をしていたときに、複数の専門家が口を揃えて言った意見。「今の技術なら、条件の整った高速道路では半自動運転が可能ですよ」。当時は、「マジかよ!」くらいの認識だったが、先日、取材で借りたホンダ レジェンドを運転したところ、その言葉が真実だったことを思い知らされた。
半自動運転を可能にしているのが、レジェンドに搭載されている「ホンダセンシング」。基本は先進安全運転支援システムで、下記の機能から構成されている。
・衝突軽減ブレーキ
・歩行者事故低減ステアリング
・渋滞追従機能付ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)
・LKAS(車線維持支援システム)
・路外逸脱抑制機能
・誤発進抑制機能
・先行車発進お知らせ機能
・標識認識機能
その仕組みはミリ波レーダーと単眼カメラによる車両前方の監視だ。ちなみに、ホンダセンシングはフラッグシップだけに搭載されていわけではなく、新型ステップワゴンなどにも搭載されている。
ミリ波レーダーと単眼カメラって何をしてくれるの?
ミリ波レーダーは電波で前方の車や障害物との距離や、接近速度を把握。単眼カメラは歩行者や車の存在と大きさ、道路上の車線や道路標識など、対象物の特徴を認識できる。視界が悪い環境での認識が得意なミリ波レーダーと、形や大きさを認識する能力に優れたカメラを組み合わせて、それぞれから得た情報をコンピューターが統合、状況を判断しているのだ。
これらの機能の中で、主に高速道路での半自動運転を可能しているのは、「渋滞追従機能付ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)」と「LKAS(車線維持支援システム)」の2つの機能だろう。
渋滞追従機能付ACCは、前を走る車との距離や速度差を測り、アクセルとブレーキを自動制御して、適切な車間距離を維持する機能だ。割り込みがあった場合は、自動でターゲットを切り替えてくれる。渋滞などで前車が停止すると自車も停止、発進するときにはアクセルペダル操作などで追従機能が再開される。
LKASは、単眼カメラが道路上の車線(実線、破線)を認識し、車が常に車線中央を走るようにアシストし、運転中のドライバーの疲労を軽減してくれるシステム。車線をはみ出しそうになると、ハンドルに振動を伝えてドライバーに注意を促す。
名古屋~東京の8割は半自動運転で走行できる?
筆者はこの機能を使って名古屋から東京までをドライブしたのだが、感覚的には時間にして8割以上は自動運転での走行が可能だったように感じる。直線だけでなく、カーブでもしっかりと車線中央をキープして走行。むしろ、自分で運転する方が無駄に左側に寄りすぎていることに気がついた。
ハンドリングだけでなく、渋滞追従機能付ACCで前車に追従しているので、アクセルやブレーキにも気を使う必要がない。もちろん、万が一に備えて足はペダルにあるのだが、常にアクセルコントルールを気にする必要がないので、精神的な疲れは段違いだ。また、途中ではまった渋滞時にもその恩恵を感じることができた。
最初はおっかなびっくりだったが、30分もすると挙動になれるもの。漠然と「今、心臓麻痺で死んでも、数kmは走れるんじゃないか。いや、下手したら東京まで帰れちゃうかも」なんて恐ろしい考えが頭をよぎる。
1人でのドライブでもドリンク補給がラクチン
特に便利だったのは、ガムをとったりドリンクを飲むとき。安全を確認したうえで、一瞬、LKASの機能に挙動を委ねる。ハンドル操作を行わなくても、車はしっかりと車線中央を走ってくれた。独り身には嬉しいぞ。
真面目な話をすると、落とし物を拾おうとして事故を起こすケースは珍しくない。もちろん、その行為自体は安全運転義務違反だ。が同時に、容易に車を止めることができない状況で、足元に物が転がりペダル操作に不具合をきたすというケースもゼロではないだろう。そういった際は、LKASの機能に挙動を委ねた方が危険が少ないと感じた。もちろん、可能であれば、すぐに停車すべきなのは言うまでもない。
高速道路で半自動運転が可能な理由は?
高速道路は一般道ほど複雑ではない。人が急に飛び出してくることもなければ、信号での停車や右左折する対向車もいない。なにより一般道路と違い車線がしっかりと整備されているので、単眼カメラも認識がしやすいのだろう。
もちろん、整備が不十分だったり、古い車線と新しい車線が被っていたりした場合、単眼カメラが車線を見失ってLKASが解除されるので、油断することはできない。また、ハンドルをしっかりと握っていることが条件で、手を離して15秒ほど経つと、やはりLKASが解除された。当然のことが、あくまで人間の運転を補助する機能だと認識することが重要だ。
これらの機能はホンダセンシングに限らず、各メーカーが搭載している。特徴を比較しながら、自分の生活に合わせて最も適した安全運転支援システムを選びたい。