▲総会後は株主と経営陣との懇親会が開かれました。乾杯の音頭をとったのはカルロス・ゴーンCEO! ▲総会後は株主と経営陣との懇親会が開かれました。乾杯の音頭をとったのはカルロス・ゴーンCEO!

「株主総会」に潜入せよ!

トヨタ、日産、ホンダ、マツダにスバル……。もちろんすべて自動車メーカーですが、こうした企業にはひとつ共通点があります。それは株式会社であるということ。株式会社である以上、株主にこれまでの企業の経営や今後の戦略について説明しなくてはなりません。

というわけで、年に一度「定時株主総会」がそれぞれの企業で開かれます。いったいどのようなことが話されるのか、中身が気になります。「ホリエモンのような株主と経営陣との白熱した舌戦が繰り広げられる……」なんて妄想してしまいます。となれば、行って確かめてみるしかありませんね。

日産自動車定時株主総会 in パシフィコへGO!

6月23日(火)、日産自動車株式会社の第116回定時株主総会が開かれました。場所はみなとみらいにあるパシフィコ横浜。株主総会自体は撮影禁止のため、みなとみらいの風景を泣く泣く撮ります。が、はたから見たらどう見ても観光客にしか見えません。

▲会場となったパシフィコ横浜。日産の株主総会は例年ここで行われているようです ▲会場となったパシフィコ横浜。日産の株主総会は例年ここで行われているようです

気をとり直して会場に入ります。ちなみにメディア陣は2階からの見学。壇上とは距離がありますが、仕方ないのでしょう。もちろん株主の方々は1階でした。

さて総会は定刻10時ちょうどに開始。CEOであるカルロス・ゴーン氏の「お越しいただき、ありがとうございます」という日本語でのあいさつで幕を開けました。株主総会で最初に何をするのかといえば、議決権についての説明。株主総会は取締役の選任など決議が必要なものについて話し合うわけなので、何人の株主が存在し、全体としてどれほどの票数があるかは大切なのですね。

余談ですが、筆者は高校2年のとき、男子10人女子29人という歪な男女比のクラスにぶちこまれた経験があります。文化祭の出し物を決めるときには男子が1人3票持っていないと女子の意見を覆せません。しかも学級会当日に風邪で休んだ男子がいたため、1人4票持っていないとダメという悲劇に。実に大変な1年間でありました……。

意外!?質疑応答は冷静だった

議決権報告の後は、事業について担当の役員からそれぞれ説明がありました。2014年度、国内では順風満帆とはなかなかいえませんでしたが、北米を中心に販売が好調で世界全体では前年比2.5%アップの販売台数を記録したそうです。

ところで株主総会のハイライト(?)といえば、やはり株主と経営陣による質疑応答でしょう。といっても怒号が飛び交うようなものではもちろんありません。例年話題となるゴーン氏の役員報酬に関する話もありましたが、他社の燃料電池自動車発売を受けた今後の電気自動車の戦略についてや、ルノーと日産の提携関係に関する質問が主な内容で、全体としては落ち着いたトーンでした。

■株主総会で出された主な質問内容
・ゴーンCEOはルノーのCEOも兼務しているが、仕事に割く時間の割合はどれくらいか
・EVの普及へ向けた課題は技術的なもの以外にあるか
・(役員報酬を他社と比較して適正と説明したが)一般社員の給与や株主配当は他社と比べて適正か
・日産はルノーに対し議決権を持たないが、平等な関係となっているか

質疑応答が終わると議決へ。このあたりもスムーズでそのまま総会が終了。新役員の紹介が行われた後は懇親会となりました。

質問だけでなく役員と歓談も可能な株主の方々。総会に参加し思ったのは「自動車メディアの人間はもちろん購入できないけど、そうでなければ自分も株主になりたい!」ということ。企業のいろんな面を肌で感じられるので、視野を広げる意味でも有意義な会なのでした。