新劇場版「頭文字D」で藤原拓海を演じた宮野真守が語る。「拓海は未熟なところが魅力」
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2015/05/28
藤原拓海役の宮野真守さんにインタビュー!
峠道を“攻める”走り屋の若者たちの青春を描いた、しげの秀一作の人気コミック『頭文字D』(イニシャル D)。アニメ化もされ、かつて車ブームを巻き起こした大ヒット作品だ。
その新劇場版3部作の第2弾『新劇場版「頭文字D」Legend2-闘走-』が、5月23日(土)から全国劇場にて公開される。今回は、主人公・藤原拓海を熱演した声優の宮野真守さんにインタビュー。その魅力を伺った。
「拓海の魅力は、若さゆえの未成熟さだと思う」
―『新劇場版「頭文字D」Legend2 -闘走-』の見どころはどこですか?
宮野:見所は本当にたくさんあります。お客さんやファンに向けて、そしてエンタメとして、いろんな要素が組み込まれているんです。
リアルで迫力のバトルシーンはもちろん、ライバルの中里毅や庄司慎吾といった魅力的なキャラクターや、秋名スピードスターズの仲間との絆、成長が描かれた人間ドラマなど、車に詳しくない方でも楽しめる内容になっています。
―なるほど。では、宮野さんが演じた藤原拓海の魅力について教えてください。
宮野:一見クールに見えて、どこに熱があるのかわからない拓海ですが、実際に演じてみて“クールではない”ということを感じました。拓海は高校生なのでまだまだ未成熟で、そこがすごい魅力だと思いましす。
「周りの人や、バトルを見に来た観客が喜んでくるのが嬉しい」「だんだん走るのが楽しくなってきた」というような若々しい感情が彼の中には渦巻いているんです。「どういう風に成長していくのだろう」「これからどういう思いを抱いていくのだろう」「バトルに今後どう向き合っていくのだろう」と、すごく興味を引かれるキャラクターですね。
―今回は3部作の2作目に当たりますが、前作『Legend1-覚醒-』と比べて拓海がどう変わりましたか?
宮野:前作では、拓海の中で走ることへの認識が少し変わりました。まだ勝負に関しては熱血ではないのですが、自分の走りを人に見られることや、自分の走りが特別なことを拓海が感じるきっかけになったのが前作でした。そして、今作では、走ることに関しての興味や好奇心を更に抱くようになります。
前回とは異なるタイプの全然違ったバトルが2回も行われるのですが、そういった場面に直面した拓海の心境から、彼の成長が見られます。心の声で気持ちを吐露するシーンもがけっこう出てくるので「あ、こういうことを思ってるんだ」と、ご覧になっていただける方にも感じてもらえるのではないでしょうか。
―前作では感情を表にあまり出さなかった拓海ですが、今作では感情を露わにするシーンが印象的でした。
宮野:そうですね。僕も拓海がどういう時に感情が爆発するのかということをすごく意識しました。拓海は、自分のためというよりも仲間のために怒ったり、心が揺れ動いたりすると思うんです。今回も仲間への侮辱や車への乱暴な扱いなど自分の周りに対することに心が動くなぁと感じました。
そして、中里戦では「お前じゃ勝てない」などといろいろ言われ、負けず嫌いな拓海は「やってみたい」「走ってみたい」「そんなすごいやつに挑戦したい」とワクワクした感情を抱きます。
でも、慎吾とのバトルではそれとは全然違ったベクトルになる。バトルの内容自体まったく異なるものなのですが、拓海の心の動きという点でも、中里戦とは違う熱い感情を抱くことになります。
―拓海の「熱さ」が見られる作品ですよね。
宮野:はい。本当にいろんな熱さが描かれています。中里戦では、とある事情からふつふつと奥底で渦巻く熱さを抱えていましたし、慎吾戦では完全にカチンときてしまうなど全く違った熱さでした。
「キャストが増え、現場はすごい良い空気感だった」
―そんな変わった拓海を演じるに当たって、宮野さんが変わった部分、変えた部分などありますか?
宮野:;前作を経て拓海も成長するし、いろんなバトルがあるということで車に詳しい知人にお話を聞きました。「走るときの感覚はこうだよ」とか、役者としては演じる上で足りないことがあってはいけないのでしっかり勉強しました。
―具体的に言いますと?
宮野:そうですね……。かいつまんで話すと、「運転しているとき、感情が高まったとき、いざっていうときには手や足には力が入らないで腰に力が入る」と言われて、それが僕にとってはすごく大事なことだったんです。
例えば拓海が熱くなった時の身体の感覚を言ってもらったことで、声の出し方が変換できるというか……。お恥ずかしながら僕は車の運転のことは知らないので、手とか足とかに力が入りがちになりがちになってしまう。すると声にも影響が出てしまうんですね。
そうではなく、腹にしっかり力が入った怒りや苛立ちとなると、また表現の仕方が変わってくるので、目から鱗でした。
―2回目のアフレコを迎えるにあたって現場で変わったなどがありましたか?
宮野:新劇場版ということで走り出した「頭文字D」なので、収録はまだ2回目ですが、すでにチーム感というものがアフレコ現場では感じられます。相変わらず男ばかりの現場でしたけど(笑)。
新しく参加されたキャストの方もいるので、劇場版2作目なのに僕らはもう先輩になる部分もありました(笑)。
―新しいキャストの方が増えたことで、変わったことなどは?
宮野:そうですね。阪口周平さんが慎吾役でいらっしゃって、ものすごくありがたかったのが、その日参加できたキャストの中で一番車を知っていたということ。車に関する細かいことや、専門的な車のチューンアップなど現場で「?」が出たときに助けてくださって、新キャラの方に助けてもらうという暖かい現場でした(笑)。
―映画から話はそれてしまいますが、「車」に関する思い出深いエピソードがございましたら、お教えください。
宮野:実は、僕の実家は拓海と同じく豆腐屋なんです。いつも配達の車で出かけていたりしたのですが、小学生のときに初めてウチにマイカーがやってきたんです!
配達用の車とは全然違って、好きなアニメの曲が収録されたカセットなどを聞きながらお出かけしたりして、もうそれはそれは楽しくて……。
それで、ある日、「今日はどのカセットを聞いていこうかなぁ」と思っていたら熱でカセットが溶けていたんです!「えぇ~、車の中ってこんな暑いの」って驚きました。「これ入らないよ。お気に入りのやつなのに~」って父に言ったら「もう聞けないね」って。それ以来、カセットは涼しいところにおくようになりました(笑)。子供ながらに悲しかったですね。
―では、最後に読者にメッセージをお願いします!
宮野:『新劇場「頭文字D」Legend2-闘走-』は本当に内容が盛りだくさんです。
かっこいいバトルがたくさんあり、魅力的なキャラクターもたくさん出てきて、それに伴って流れていく人間ドラマもかなり膨らんでいます。前作で培った経験を活かし、作り上げた『Legend2-闘走-』は、自信を持ってお届けできる作品です。ぜひ、ご覧になっていただきたいですね。