▲日本科学未来館で自らの機能を説明するASIMO。認識した画像をリアルタイムにディスプレイ表示している様子。プロトタイプ・モデルで2足歩行技術を実現したホンダは、培ったノウハウを活かし進化し続けている ▲日本科学未来館で自らの機能を説明するASIMO。認識した画像をリアルタイムにディスプレイ表示している様子。プロトタイプ・モデルで2足歩行技術を実現したホンダは、培ったノウハウを活かし進化し続けている

デビューから14年、最新型ASIMOはどれだけスゴい?

最近話題になったロボットといえばソフトバンクが発表した“pepper”。「こんにちは、僕、pepperです」と挨拶するシーンをご覧になられた方も多いでしょう。挨拶だけでなく、相手の表情や音声、言葉の意味を認識し、冗談を言ったりすることも可能です。孫社長とやりとりをする映像を見て驚きませんでしたか?

すでにSoftBankモバイルの表参道店や銀座店では接客をしており、2015年2月には19万8000円で一般発売されることも決まっています。これから年末にかけて“pepper”が盛り上がることは間違いないでしょう。

しかし、車好きなら忘れてはいけないロボットがいますよね。そう、ASIMO先輩です。芸歴14年、2000年のデビュー時には、ゆっくりと歩く愛らしい姿が話題になりました。その印象が強かったのでしょう。「あー、ホンダのゆるキャラみたいな歩くロボットね」なんて思っている人もちらほら。そんなあなた、ASIMO先輩に謝って下さい。

デビューから14年、当然、ASIMOも進化をしています。実際、ホンダのショールーム「ウエルカムプラザ青山」では、毎日2回デモンストレーションを実施。その進化を見せつけています。そこには、ゆーっくり歩いていたASIMOはもういません。なんと人の小走り程度の速さで、ときには旋回しながら、所狭しと動き回っているんです。さらに、上半身を器用に動かしながら、音楽に合わせたダンスを披露。手や腕の動きなど、まんま人間の関節の動きですよ。

▲Hondaウエルカムプラザ青山では、平日は13:30~と15:00~の2回。土日祝日は11:00~と13:30~と15:00~の3回、ASIMOによるショーが見られる。ほかにも、日本科学未来館やツインリンクもてぎでも出演中 ▲Hondaウエルカムプラザ青山では、平日は13:30~と15:00~の2回。土日祝日は11:00~と13:30~と15:00~の3回、ASIMOによるショーが見られる。ほかにも、日本科学未来館やツインリンクもてぎでも出演中

ちなみに、最新のASIMOは、時速9kmで走り、両足・片足でのジャンプも可能。手では、水筒を握ってフタを開け、紙コップに水をそそぐことも出来るようになりました。身体機能だけでなく、頭脳も絶賛進化中。3人が同時に発する言葉を聞き分けたり、人の歩く方向を予測して、ぶつからないように進んだりすることもできるんです。

また、複数のASIMOをネットワークで結ぶことで、各々の状態を共有して、チームとして効率良く仕事をすることもできるようになっています。最も作業をする場に近い所にいたり、バッテリー残量が豊富だったりするASIMOが率先して業務を行うなどの判断も可能です。これを応用することで、トレイの運搬やお客様の案内などができるようになったのだとか。一時期、実験的にお客様のご案内やお茶出しをしていたこともあるそうです。

鉄腕アトムに憧れた未来のロボットが実現するかも

さらにスゴいのは、自律行動制御技術の搭載です。簡単にいえば、自分で考えて行動するってこと。例えば、転びそうになったら、とっさに足を出して姿勢を保つことができます。複数のセンサーから周囲の人の動きなどを捉えて、情報を総合して変化を推定・予測し、人からの操作なしに自ら次の行動を判断するのです。んー、確実に子供のころに夢見たロボットに近づいていますね。

その成果のひとつが、先日のオバマ大統領とのサッカーだとか。日本科学未来館に訪れた大統領に挨拶を行い、サッカーに興じたのです。オバマ大統領は、日本のロボット技術に驚き、賞賛したと報道されました。

▲オバマ大統領と同じポーズを取るASIMO。「ロボットはまるで生きているようで、ちょっと怖かった」との感想もあったとか ▲オバマ大統領と同じポーズを取るASIMO。「ロボットはまるで生きているようで、ちょっと怖かった」との感想もあったとか

ちなみに、ASIMOで培われた技術は、前後左右や斜めへの自由自在な動きをコンパクトな一輪車スタイルで実現した「U3-X」や「UNI-CUB」、人が立ち入れない危険な場所や足場が不安定な場所で作業を行う「高所調査用ロボット」や「作業アームロボット」などにも活用されています。

▲ASIMOの技術は福島第一原発でも活躍。遠隔操作で原子炉建屋内の構造把握と現場調査を行う「高所調査用ロボット」。ホンダはASIMOの技術を応用し、11の関節を持つ調査用アーム部分を手がけた ▲ASIMOの技術は福島第一原発でも活躍。遠隔操作で原子炉建屋内の構造把握と現場調査を行う「高所調査用ロボット」。ホンダはASIMOの技術を応用し、11の関節を持つ調査用アーム部分を手がけた
text/コージー林田