トヨタ自動車、日産自動車、本田技術研究所、マツダ、富士重工業、三菱自動車工業、スズキ、ダイハツ工業の8社が「自動車用内燃機関技術研究組合(AICE アイス)」を設立した。目的は、さらなる燃費の向上・排出ガスの低減に向けて、自動車メーカーや研究機関で基礎・応用研究を実施し、各企業での開発を加速することとしている。

自動車産業は、世界経済の趨勢さえも左右する巨大産業。メーカーの合従連衡に留まらず、産学が連携して技術開発を行うことも珍しくない。その、産学連携で一歩先をいくのが欧州だ。特にドイツでは、産学協同の研究組合が1950年代から存在し、今では約150社が参加しているという。

一方、日本での技術開発は、主にメーカーが担う。基礎研究から製品化まで、一貫して行うのが一般的だ。ハイブリッド技術をはじめとして、低燃費エンジンに関しては、世界に誇る技術を持っている。しかし、基礎技術を産学で研究し、水平方向で技術を共有できる欧州と比べると、開発効率という面では譲る部分があるだろう。

産学連携の効果もあり、昨今では欧州勢の追い上げも厳しく、日本のお家芸だった低燃費な環境エンジンの分野でも、必ずしも安穏とはしていられない。実際、欧州でエコカーといえば、ディーゼル自動車やダウンサイジングが一般的。ハイブリッドカーは、主力とは言い難く、日本メーカの欧州での販売比率は5%程度と後塵を拝している。欧州市場を見据えると、環境負荷の少ないエンジンは必須となるのだ。そこで今回の協力体制の構築へとつながったのだろう。

競合する自動車メーカーが垣根を越えて協力する姿勢は、基礎研究以外でも広がってきている。トヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業、三菱自動車工業の4社は、電動車両用充電器の設置活動、利便性の高い充電インフラネットワークの構築を推進するため、「日本充電サービス」を合同出資で設立。

また、トヨタ自動車など国内の自動車、二輪車メーカー14社が、鋼板・鋼材、樹脂素材、半導体など汎用性の高い部品の仕様を統一するための検討会を設立したとの報道もあった。これにより、部品調達のコスト削減が見込まれるという。

今後、自動車メーカー同士の協力がさらに加速していけば、近い将来、デザインは全く違うが、部品は全く同じ車が複数のメーカーから発売される日がくるかもしれない。

研究には東京大学や京都大学なども協力するといわれており、まずはCO2の排出量を減らす燃焼技術の開発に着手するという

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エンジンは自社製という概念を破った新型スカイライン。M・ベンツ Eクラスと同じエンジンだがチューニングにより日産らしさを演出している

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