アメリカで“空飛ぶシビック”の量産1号機の生産が開始された。空飛ぶシビックとは、ホンダの航空機事業子会社 ホンダ エアクラフト カンパニーの「HondaJet」のこと。すでに量産ラインに主要部品が納入され機体の最終組み立て段階だという。

HondaJetは、快適さと燃費の良さを追求した小型ビジネスジェット。低燃費、低価格でアメリカ自動車業界に衝撃を与えた初代シビックのような機体を目指し設計された。

主翼上面にエンジンを取り付けたデザインが特徴で、これによって速度と燃費性能を向上。搭載されたエンジン「HF120」は、自動車用ターボエンジンのノウハウを生かして自社で製造されている。最大巡航速度は約778km/hで最大運用高度は約1万3000m。一般旅客機と比べても遜色ない飛行性能を達成している。

HondaJetは2003年12月にアメリカにて初飛行。量産型機体は2010年12月に初飛行に成功している。2012年10月には米国アリゾナ州にて高温環境下での飛行試験を実施し、燃料システムの動作や推進系補機の冷却性能などを実証した。現在は量産ラインを整備、拡張しつつ米国連邦航空局と欧州航空安全局の型式認定に向けた試験を行っている。

ホンダ エアクラフト カンパニーは、カナダの航空機総合サービス会社 スカイサービス ビジネス アビエーションと提携し、カナダにおけるHondaJetの販売とサービスを強化。さらに、北米と欧州では、すでに9社のHondaJetディーラーがあり、HondaJetの受注を行うと同時に各種サービスの準備を進めている。

受注自体は2006年から開始され、年間100機の生産予定機数だったが、それを上回る受注を獲得しているという。

HondaJetの生産ライン。ホンダは1986年から本格的に航空機研究を開始。創業者本田宗一郎の夢であった飛行機製造への道を歩みだした

HondaJetの生産ライン。ホンダは1986年から本格的に航空機研究を開始。創業者本田宗一郎の夢であった飛行機製造への道を歩みだした

アリゾナ州ユマ市での高温環境試験の様子。ほかにもHondaJetはウインドシールドへの鳥衝突試験、着氷試験などを済ませている

アリゾナ州ユマ市での高温環境試験の様子。ほかにもHondaJetはウインドシールドへの鳥衝突試験、着氷試験などを済ませている