スバルの氷上取材会に参加するため長野県の八千穂レイクまで行ってきました。

雪のちらつく天候で、氷上という過酷な路面状況。その中で、スバル独自の4WDシステム、シンメトリカルAWDを搭載した車に試乗し、スバルならではの楽しく安全な走りを体感するというイベントでした。

SUBARU主催 氷上体感プレス取材会in八千穂レイク|日刊カーセンサー

本題に入る前に、恥ずかしながら僕は今まで4WDというのは全部同じだと思っていました。“新人”編集部員なので...すみません。
しかし、このスバルのシンメトリカル AWDには4種類ものパターンが存在したのです。以下に僕なりの解釈でそれぞれ簡単に紹介していきます。

VTD-AWD(不等&可変トルク配分電子制御AWD)というのは、レガシィの上位グレードを中心にレガシィツーリングワゴン&B4の2.0GT系や3L系、さらに2.5iを除くアウトバックやトライベッカなどのAT車に採用されている4WDシステムです。通常、前後輪へのトルク配分を45:55とリアタイヤ寄りにして、その分、前輪には横方向へのグリップの余力を与えることで、優れた回頭性を発揮します。さらに、走行状況の変化に応じてトルク配分を最適化し、低μ路の発進時やコーナリング中の加速時に、駆動力を高めるよう制御します。

アクティブトルクスプリット方式AWDは、レガシィの2LのNA系を中心に、アウトバック2.5i、インプレッサ、フォレスターなどのAT車に採用されています。基本の前後トルク配分は60:40に設定。路面状況によって、前後輪をほぼ直結にする状態からほぼ前輪駆動まで、駆動配分をフレキシブルに変動させて挙動を安定させます。

DCCD(ドライバーズコントロールセンターデフ)方式AWDは、ラリーカーとして名高いインプレッサWRX STIのみに採用された4WDシステム。基本の前後トルク配分を41:59とし、トルク配分を緻密かつリニアに制御します。さらにトルクや路面の変化に対する追従性を高め、よりドライバーの意思に忠実な操縦性を実現するため、スポーツ走行やサーキット走行など速さを追求する分野で優れたポテンシャルを発揮します。

最後のビスカスLSD付きセンターデフ方式AWD。こちらはレガシィ、インプレッサ、フォレスターのMT車に採用されています。前後基本トルク配分50:50+ビスカスLSDという組み合わせで、あらゆる路面状況や走行状況で安定したトラクションを確保します。センターデフシステムの中ではスタンダードなものです。

そんな中、今回僕が試乗できたのは共にAT車で、アクティブトルクスプリット方式AWDのフォレスター2.0XTと、VTD-AWDのレガシィツーリングワゴン2.0GTです。下の写真が走行したコースです。コース中盤辺りに待ち受ける鋭角な切り返しのヘアピンカーブが最大のポイント。ほかにも左右に揺さぶられる凸凹のゾーンが設けられていたりもしました。

SUBARU主催 氷上体感プレス取材会in八千穂レイク 試乗コース|日刊カーセンサー

まずは、アクティブトルクスプリット方式AWDのフォレスター2.0XTです。これは僕が運転しても全体的に挙動が安定していて、急カーブなどもスピードを抑えれば余裕をもって曲がれました。さらにコースの途中にあった凹凸があるところも難なく走破でき、立ち上がりの際の安定感も抜群で個人的にはとても運転しやすかったです。

SUBARU主催 氷上体感プレス取材会in八千穂レイク アクティブトルクスプリット方式AWDフォレスター2.0XT|日刊カーセンサー SUBARU主催 氷上体感プレス取材会in八千穂レイク VTD-AWDレガシィツーリングワゴン2.0GT|日刊カーセンサー
↑アクティブトルクスプリット方式AWDのフォレスター2.0XT(左) VTD-AWDのレガシィツーリングワゴン2.0GT(右)

次に乗ったVTD-AWDのレガシィのツーリングワゴンでは、2回目ということで気が緩んでいたこともあり、少しスピードを出し過ぎてヘアピンコーナーに入ったのでカーブの外側に膨らんでしまいました。恥ずかしながらバックしてコースに戻る事態に...。しかし、逆にラフな運転をしたことで、発進する際に、後ろから押される感じがあったり、お尻が振られないように車がグッと踏ん張る感じを味わうことができました。

雪上や氷上は、たとえ低速でも車の挙動が出やすい環境です。なので、日常では感じることのできない“なるほど!車って実はこんな動きをしていたんだ”という感覚を味わうことができました。ただしそれは、裏を返せば非常に危険であるということ。今回は専用に設けられたコース内だったので安心でしたが、これが公道になると…。

皆さんも運転される時は急ブレーキ、急ハンドル、急加速、急発進などは控えましょう。いくら4輪すべてに駆動力を伝え動かす4WDシステムが優れているといっても、凍結した路面でタイヤのグリップが全くなくなってしまったら、一貫の終わりだからです。過信は禁物!くれぐれも安全運転を心がけてください。


おまけ
イベントの最後にプロラリードライバーの鎌田卓麻選手が運転するフォレスターの助手席に乗せていただくことができました。僕自身、テレビのスポーツニュースなどでは拝見したことはありますが、実際に同乗するのは始めてだったのでとても貴重な経験となりました。

SUBARU主催 氷上体感プレス取材会in八千穂レイク 鎌田卓麻選手|日刊カーセンサー
普通の市販車のフォレスターだったにもかかわらず自分が運転した時とはまるで別の車と感じるほど!
窓からの景色もいつも見るものとは全く違っていて、まさに走馬灯のようでした。この仕事をしていて日々つくづく感じるのですが、車って本当に奥が深いものなんですね。

Report/編集部 Photo/篠原晃一