メルセデス・ベンツ Bクラス

【連載:どんなクルマと、どんな時間を。】
車の数だけ存在する「車を囲むオーナーのドラマ」を紹介するインタビュー連載。あなたは、どんなクルマと、どんな時間を?

「乗りたい車に妥協せずに乗ってみよう」と人生初のチャレンジ

登山と釣りが趣味という鈴木さん。コロナまでの例年は、隔週で山に登り、隔月で船に乗って海釣りを楽しんできたそうだ。

愛車の白い2014年型のメルセデス・ベンツ B180は、オーナーの穏やかな雰囲気によく似合っている。

かつて北海道赴任時代には、初代スバル フォレスターでフライフィッシングやスノーボードに出かけた。

家庭をもち、赴任先から戻った神奈川では、2代目ホンダ フィットが子育ての供として活躍した。

10年ほどフィットに乗り続け、そろそろかと考え始めた4年前、「次は乗りたい車に妥協せず乗ってみよう」と、初めて輸入車にチャレンジしたのだという。
 

メルセデス・ベンツ Bクラス

鈴木さんはB180を選んだ理由のひとつに、ブレーキがきちんと利くことを挙げた。

聞けばブレーキシステムに関わるお仕事をされているそうで、いわばブレーキのプロ。

「走る曲がる止まるという基本性能は気になりますね。それに家族のためにも安全性能は大切。ちょっとラフな入力もいなしてくれるのはありがたいです」と控えめに笑う。

奥さまのB180評はというと、初めこそメルセデスベンツ独特の操作系にとまどったものの、慣れてしまえば問題ないそう。

「特に不平を聞くこともないですから、大満足ということでしょう」と鈴木さんも安心している様子だ。

「SUVもいいなとは思ったんですけど、SUVは中古でも価格が高いので、値段が手頃というのも輸入車の入門編としてはよかったです」
 

メルセデス・ベンツ Bクラス▲荷室の広さも申し分ない。趣味の用具だけでなく、4人家族で小旅行する際の荷物も楽々積むことができるそうだ

「それから予想以上にランニングコストがかからないのは意外でした。ディーラーで買って、整備や車検もディーラーで通しましたけど、部品が高いわけでもないし、壊れないし」と、B180はコスト面でも満足いく選択だったようだ。
 

山へ出かける理由

お子さんは大学進学を機に九州へ旅立ち、奥さまは登山をされないそうで、「新しい生活様式を先取りしてたんです(笑)」と、山へは鈴木さんだけで出かける。

例年北アルプスには年2回は登る。昨年の8月は立山をベースキャンプに4泊し、ピストンで北アルプスの岩稜地帯を味わった。
 

メルセデス・ベンツ Bクラス

昨年10月には過酷な黒部峡谷の中でも最も危険といわれる「下ノ廊下」を踏破してきたという。

断崖をコの字型にえぐって作られた登山道の幅はわずか50cmほど、足元には100m以上の谷底が落ち込むその道は十数km続く。

「なんでそんな所に? 」と問うと、鈴木さんはひょうひょうと「涼を求めて、ですかね」という。穏やかに見えてじつはかなりエクストリームな人だ。

なるほど、よく切れるナイフには丈夫な鞘が必要なように、車にはブレーキが、登山には知性が欠かせない。
 

メルセデス・ベンツ Bクラス
文/竹井あきら、写真/阿部昌也

メルセデス・ベンツ Bクラス

鈴木康之さんのマイカーレビュー

メルセデス・ベンツ Bクラス(2代目)

●購入金額/約250万円
●年間走行距離/約7000㎞
●マイカーの好きなところ/充実した安全装備、走る曲がる止まる基本性能
●マイカーの愛すべきダメなところ/ランフラットタイヤかつ初期モデルのためか乗り心地が硬く、変速ショックが少し大きい
●マイカーはどんな人にオススメしたい?/近所の買い物はもちろん、4人家族で小旅行も楽々こなしたいと考えている人。FWDで床下空間が若干確保されており、背が高いので圧迫感も少ないです

竹井あきら

自動車ライター

竹井あきら

自動車専門誌『NAVI』編集記者を経て独立。雑誌や広告などの編集・執筆・企画を手がける。プジョー 306カブリオレを手放してから次期愛車を物色しつつ、近年は1馬力(乗馬)に夢中。