フェスを知り尽くす“フェスおじさん”が語る「フェスとは何ぞや?」|Carsensor IN MY LIFE


クルマで行きたいイベント。海やキャンプ。そして野外フェス! 普段とは違う空間で、気の合う仲間たちと気ままに音楽を楽しめる。 今夏にフェスデビューし「来年も参加しよう!」と早くも決意した人もいることだろう。

そこで毎年20ヵ所以上のフェスに参戦し“フェスおじさん”として知られる菊地崇さんにインタビュー。フェスの楽しみ方や魅力などについて聞いた。その答えは、カウンターカルチャーマガジン『DEAL』の編集長でありながら「キャンプよろず相談所」のメンバーとしてキャンプインフェスの運営にも携わる菊地さんならではのものだった。

フェスで重要なのは「全力で楽しむこと」と「しっかり休むこと」

菊地崇

「私が初めてフェスに参加したのは20年以上前。海外のフェスではアレもコレも! とステージを何往復も移動できました。しかし今はもう若くなく……(笑)。ですので、1日の歩ける距離を考えてスケジュールを組むようにしています」

フェスは連日で開催されることが多い。だから菊地さんは計画的なタイムスケジュールが重要だという。

「ライブは、もちろん最前線かPAブースで観たいですね。やっぱり良い音を聴きたいですから。でも、休めるときに休憩の時間をしっかりと設けるというのも大事にしています。遊び疲れて翌日動けなくなるというのは本末転倒ですからね」

フェスグッズは「楽しむために必要な物」に厳選

菊地崇

「キャンプインフェスに行くことも多いので、よっぽどのことがなければクルマを利用します。テントやシュラフ、マット、椅子などのキャンプ用品をクルマに積み込んで、あとは細かなフェスグッズを持ち運び用のバッグに入れています」

快適なフェスライフを満喫するために、菊地さんはさぞかしハイスペックなアイテムを持っていくのだろう……。そう思っていたが、実態はその逆。菊地さんがフェスに持ち込む物は、この20年で厳選された。

菊地崇

「私が勝手にフェスグッズって呼んでいるだけですが……。夏フェスであれば、リュックに着替え用のTシャツと雨対策にレインウェアと巻きスカート、帽子、ライト、アーミーナイフ、水筒を2つ入れて会場に持っていきます」

キャンプ道具同様、フェスグッズも非常にミニマム。しかし、なぜ水筒だけ2つ用意するのか?

「ひとつは水やお茶を入れるための大きなボトルで、もうひとつは保冷タイプの水筒。ビールなどのお酒を入れるのに重宝します。お酒を美味しく飲むためだったら、荷物が少し多くなっても構いません(笑)。楽しむときは徹底的に。それがフェスでのモットーです」

フェスの醍醐味は「コミュニティーが自然と広がること」

菊地崇

フェスには色々なヒト・モノが複合的に集まる。ライブに出演するアーティストや運営スタッフ、出店を営むスタッフ、そしてお客さん。そんな方との出会いもフェスの魅力のひとつだ。

「これだけフェスに行くと、顔なじみも増える。基本的に1人でフェスに行きますが、会場には知り合いがたくさんいます。フェス自体を楽しむだけでなく、“みんなに会うためにフェスに参加している”という感覚もありますね(笑)」

菊地さんにとって、いつしかフェスは「コミュニティーの幅を広げる場」になっていた。初めて聴くアーティストのライブは、彼にとっては新たな出会いの場なのだ。

「1人でフェスに行っても、やっぱり会場での喜びや感動は誰かと共有したくなるじゃないですか? 人間ですから(笑)。友達と一緒に行ってそれを分かち合うのもいいですが、当日知り合った人と共有するのも案外面白い。そういう、普段関わりのない人と語り合うのもフェスの醍醐味なのかもしれませんね」

文/伊藤千尋 写真/鈴木寿教

PROFILE
DEAL:60~70年代のアメリカで起こったカウンターカルチャーを今のライフスタイルへつなげるフリーペーパー。2016年12月に創刊され、エコロジー、オーガニック、フェスなど様々なカルチャーを発信する。春夏秋に刊行。