BMWアルピナ B3 ▲O邸を訪れると敷地内へと誘導するアプローチの先には、外からうかがい知ることができないスペースが……。そこは愛車を眺める場所、子供の遊び場として欠かせない広場だった

格子越しに眺める愛車と子供たち

道路から続くアプローチを上り切ると、白くて広い世界が開ける。

今回訪れたO邸は、敷地の中央にある大きな広場を挟んで2台ずつ収まるガレージが左右にある。その奥に1階と2階に格子を備える母屋が構えている。

夫婦と小学生の子供2人という4人家族のOさんだが、その自宅には4台分のガレージを用意している。最近さらにもう1台分のカーポートまで備えたという。このことからもOさんの愛車を大切にする姿勢がうかがえる。

こよなく愛するからこそセキュリティーや色あせが心配。それを防ぐため、台数分のガレージを用意したという。

ガレージに車を収める際、取り回しやすくするために設けたという中央の広場は、小学生の2人の子供にとっては、安心して遊べる格好の空間でもある。

「夏になればプールを広げて楽しんでます」

彼らはここで自転車の練習もしたし、友達を呼んでサッカーを楽しむこともあるそうだ。

母屋のリビングから続くウッドデッキに身を置けば、目の前の広場で遊ぶ子供たちの気配を格子越しに感じられる。

正面にそびえるマンションなど外部からの視線は格子が防いでくれる一方で、吹き抜ける風や子供の声はしっかりと届ける。

その格子越しに眺める愛車の姿も格別だとOさんは言う。晴れた夜に愛車を広場に止め、リビングから格子越しに眺める。

「お酒のすすむ風景です」。広場は愛車を眺めるための格好の舞台でもある。

施主の希望:
作業がしやすいよう、広いガレージが欲しかった

BMWアルピナ B3 ▲ガレージでは昨年、新車時から所有していたB3の足回りをブッシュからリフレッシュした。そうした整備ができるよう、床はオイルを弾くタイプにしている

敷地の南側にマンションがあるので、そこから家の中が覗かれないようにお願いしたところ、大きな格子を備えたこのプランを提案してもらいました。後にそのマンションから覗いてみたことがあったのですが、全然見えませんでした。

ガレージへの要望は、①4台止められること、②スムーズに出し入れできること、③作業がしやすいように車のドアを開けても大丈夫な広さが欲しいということ。

いずれもすべてかなえてもらいました。

建築家のこだわり:
格子はこちらの意図で外部の視線を操作できる

▲1階の格子戸は開閉できる。網戸も張られているので、格子戸を閉めれば夏の夜にウッドデッキに出ても虫の心配がない ▲1階の格子戸は開閉できる。網戸も張られているので、格子戸を閉めれば夏の夜にウッドデッキに出ても虫の心配がない

格子は和のテイストがあり、規則正しく並べたり、不規則でもバランスが取れていれば美しく感じられるアイテムです。

また、外部からの視線を遮断できるなど、こちらの意図で視線を操作することができます。

この敷地は南を除く3方向が崖のため、崖に寄りすぎないよう建物とガレージの配置や大きさを決めるのに苦労しました。

最終的にガレージを道路側に面するのではなく、多目的な広場を設けられるこの案を提案しました。

ジャガー Fペイス ▲2つあるガレージのうち、ひとつは日常的に乗るメルセデス・ベンツ Cクラスと、奥さま用のジャガー Fペイスを収納。家族の自転車も置かれている
BMWアルピナ XD3 ▲上のガレージに対面するように配置されたもう一方は、Oさんが趣味で楽しむ車用のガレージ。現在はBMWアルピナのXD3とB3がある
▲左のガレージには母屋へ続くアプローチがある。また母屋の勝手口は右のガレージ側にあるので、こちらもアクセスがスムーズ ▲左のガレージには母屋へ続くアプローチがある。また母屋の勝手口は右のガレージ側にあるので、こちらもアクセスがスムーズ
▲寝室のある2階からも格子越しの景色が眺められる。「上からの眺めもまた格別です」 ▲寝室のある2階からも格子越しの景色が眺められる。「上からの眺めもまた格別です」
▲右側ガレージにはプライベートルームを併設。ガラス越しに愛車を眺めることができる。以前に所有していた愛車のレカロシートを、椅子にアレンジして使用している ▲右側ガレージにはプライベートルームを併設。ガラス越しに愛車を眺めることができる。以前に所有していた愛車のレカロシートを、椅子にアレンジして使用している
▲地元の遠州鉄道の車両で実際に使われていた扇風機をガレージに備える ▲地元の遠州鉄道の車両で実際に使われていた扇風機をガレージに備える

■主要用途:専用住宅
■構造:木造軸組構法
■敷地面積:703.92㎡
■建築面積:245.37㎡
■延床面積:293.47㎡
■設計・監理:LIC・山本建築設計事務所
■TEL:058-273-2176

※カーセンサーEDGE 2019年10月号(2019年8月27日発売)の記事をWEB用に再構成して掲載しています

文/籠島康弘、写真/尾形和美