H 邸・週末外出しない家 + 西ノ宮 潔
カテゴリー: カーライフ
タグ: EDGEが効いている / ガレージハウス
2013/07/24
家への思い、趣味への思いを自ら設計
自らが設計し、こだわりのアイテムで統一したH邸。そこは、どの空間も極上の快適さが味わえる、愛情がたっぷりと注がれた「出かけたくない家」であった
クールな愛車たちと温かみのある邸内の作り込み
訪れたのは、横浜市でも鎌倉寄りに位置する緑豊かな土地。梅雨入り宣言直後だったが、幸い晴天に恵まれ5月の爽やかな風が感じられた。
H邸は広い土地と、門から建物まで十分な距離がとられていることもあり、日本離れしたゆとりが感じられる邸宅であった。向かい側は広い公園。この存在も開放的な雰囲気を生み出す大切な要因になっている。
正面から観察すると、ガレージに十分以上のスペースが確保されている。通りすがりの人が見ても、「ここの主は車好きに違いない」と誰しもが思い、次に「どんな車が収まっているのだろう」と想像を巡らすだろう。そのガレージや、玄関に続くアプローチは適度なRを描いている。直線にしないことで、奥行きが感じられるし、なによりもアプローチをたどることが楽しくなりそうだ。
じつはこの邸宅、設計はHさんご本人の手による。Hさんは建築家ではない。某タイヤメーカーに勤める著名なホイールデザイナーだ。「ふだんCADを使って仕事をしているので、ごく自然に家の図面を引くようになりました」と、Hさん。
「ホイールのデザインと似ているな、と思いました。作品として完成した満足感と、モノを仕上げた達成感を覚えました。モノを作っているからこそ、設計を人任せにはできなかったんでしょうね」
とはいえ、Hさんの設計図がそのまま現実のものになったわけではない。「建築士と二人三脚で」進めた結果が、この素晴らしい作品を生んだそうだ。お話を伺うにつれて、いかにHさんが自邸の設計に情熱を傾けたか。そして、その相談を受けた建築家の西ノ宮潔さんと一級建築士の細井克利さんが、いかにHさんをリスペクトし全力をあげてバックアップしたかを理解した。
その結果、Hさんご夫妻が声を揃えて表現した「週末外出しない家」が完成したのだ。Hさん渾身の自邸には、数多くのコダワリが詰め込まれている。
庭のプールは、フランス・デジュユ社製。デザインの自由度が高いことや、つねにクリーンな水質を保つろ過システムなどが特徴のブランドだという。庭に面するリビングルームとダイニングルームの窓は折れ戸となっていて、どちらも全開が可能。内と外の境がなくなったような感覚がもたらす開放感は抜群で、向かい側の公園の豊富な緑が借景となり、また内と外が連続する空間が驚くほど快適で、自宅にいながらにして非日常を味わえる要素となっている。
そしてガレージ。ここには、BMW M3、ポルシェ ボクスターS、マツダ RX-7が整然と並べられているが、ノーマル状態のものは1台もない。Hさんは、富士フレッシュマンレースにはじまり全日本F3選手権やグループAでも戦った元トップドライバー。車=スポーツカーであることはもちろん、「私流のカッコよさは、レースカーのメカニカルビューティです」というポリシーに従って、愛車たちに磨きがかけられたというわけなのである。ちなみに取材の直前に納車されたばかりのボクスターSは、H夫人の愛車だ。
一見すると、道楽でスポーツカーを集めているように誤解されてしまうかもしれない。しかし、Hさんの車に対する情熱は、それほど安っぽいものではない。事実、1台1台に対する思い入れは強く、RX-7は13年、M3は6年、ボクスターSと入れ替えたSLKは9年大切に乗り続けた。車を「長い間人生を一緒に過ごす」モノであると表現するHさん。その愛情は、例えば13年たったRX-7でも、まるで昨日納車された新車のような輝きを放っていることからも十分に理解できる。車以上に情熱を込めて設計した自邸。これからずっと、奥さまと笑顔の絶えない週末を過ごされることだろう。
「H 邸・週末外出しない家」
設計・施工・管理:株式会社ニシノミヤ 西ノ宮 潔
tel:0467-86-1101
主要用途:専用住宅 構造:木造金物工法
敷地面積:300.00㎡ 建築面積:190.24㎡
設計・施工・管理:株式会社ニシノミヤ 西ノ宮 潔
文・菊谷 聡 text / KIKUTANI Satoshi
写真・茂呂幸正 photos / MORO Yoshitada
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